日本皮膚科学会雑誌
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109 巻 , 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 豊田 雅彦, 諸橋 正昭
    1999 年 109 巻 5 号 p. 725-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
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    近年皮膚科領域における神経系因子に関する知見が集積されてきている.皮膚における最も重要な神経系因子は痒みという特有の知覚であるが,最近では神経系の免疫・炎症反応の調節および成長因子としての役割の重要性が認識されている.皮膚には約20種類のニューロベプタイドが存在し,神経原性炎症をひきおこすとともに,種々の皮膚疾患の病態に関与していることが明らかにされている.各ニューロペプタイドは,標的細胞上に存在する固有のレセプターと結合しその生物活性を発揮するとともに,エンドペプチダーゼなどの不活化酵素により影響を受ける.さらに末梢神経の成長・機能維持に働く神経成長因子も,ケラチノサイトに対する増殖活性など多彩な機能を有することが明らかにされている.皮膚,中枢神経系,末梢神経系(自律神経,体性神経),免疫系および内分泌系は,各情報伝達物質を介した相互作用を有しており,これらをneuroimmunocutaneous systemとして一つの枠組みの中でとらえ,皮膚疾患への関与の研究を進める必要がある.また,ストレスは,アトピー性皮膚炎,乾癬,円形脱毛症などの皮膚疾患の病態あるいは増悪因子として経験的にその重要性が述べられてきたが,ストレスの皮疹増悪機序の解明は未だ途上であり,我々皮膚科医にとって非常に興味深い.今後,精神・心理療法の皮膚科領域への導入およびニューロペプタイドをはじめとする神経系因子の皮膚疾患の治療への応用が期待される.
  • 溝口 将之
    1999 年 109 巻 5 号 p. 739-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    表皮の最終分化過程におけるタンパク質脱イミノ化酵素Peptidylarginine deiminase(PAD)の機能を検討した.ヒト角層より尿素により抽出したケラチンをPADと反応させ,脱イミノ化によるケラチン線維の形態学的変化を観察したところ,ケラチンは小さな球状の凝集塊として電顕的に観察された.また脱イミノ化により反応液の粘度の上昇が認められたが,これは可溶化したケラチンが増加したことを示唆する所見と思われる.さらに光散乱法により,この脱イミノ化ケラチンの水溶液中における形態を解析したところ,反応液中ではケラチンは半径29nm,長径300nmの特徴ある形状を呈していた.これらの結果より,PADはケラチンを脱イミノ化し線椎構造を分解することにより,角層上層におけるケラチンパターンの崩壊に関与している可能性が示唆された.
  • 濱田 重雄, 嵯峨 賢次
    1999 年 109 巻 5 号 p. 745-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    いわゆる皮膚混合腫瘍の5例について免疫組織化学染色およびcationic colloidal goldをもちいた染色を行い,その分化について検討した.抗CEA抗体,抗EMA抗体の染色所見は本腫瘍が汗器官由来であることを示しており,抗HMFG抗体染色,cationic colloidal goldをもちいた染色では本腫瘍の管腔部がアポクリン汗腺分泌部に分化していることが明らかとなった.
  • 関東 裕美, 栗川 幸子, 小関 光美, 深澤 大, 伊藤 正俊
    1999 年 109 巻 5 号 p. 751-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    糖尿病性特異病変による壊疽では,neuropathyがその成因に最も密接に関与しており欧米ではneuropathic ulcerと命名され,通常は足の動脈には閉塞性病変を伴わない.一方,糖尿病に血管閉塞性病変arteriosclerotic occlusion(ASO)が合併して生じる潰瘍は,ischemic ulcerと呼ばれている.もちろんこの両者間には両病変が混在するmixed typeがある.我国では糖尿病患者に合併する下肢の壊疽性病変は欧米に比し少なかったこともあり,その病因や治療について混乱を生じていた.ところが最近では耐糖能異常とmacroangiopathyすなわち硬化性の動脈閉塞(ASO)による壊疽の関連も明らかになってきた.本邦でも高齢化社会,食餌,生活習慣の欧米化に伴い糖尿病性閉塞性動脈硬化症による足病変患者が増加している.我々は糖尿病性腎症で透折中の患者に生じたischemic ulcer2例,眼病変の合併したmixed type1例,内服治療されていたneuropathic ulcer2例を経験した.Ischemic ulcerの2例は下肢切断後死亡.Mixed typeの1例は教育がうまくいかず,両下肢切断.Neuropathic ulcerの2例は,連日の局所処置とインスリン自己注射を通じて,糖尿病との関連やその管理の重要性を指導できた.これらの症例の病態や治療経過を通じて,我々は糖尿病教育における足管理の重要性を再認識し,今後も積極的に糖尿病教育に参加していきたいと思っている.
  • 石井 則久, 杉田 泰之, 中嶋 弘
    1999 年 109 巻 5 号 p. 763-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    1993年から1997年までの5年間におけるハンセン病新患調査を行った.日本人は35名で,内24名は沖縄県出身者であった.新患者の平均年齢は61.4歳で高齢発症が増加していた.一方外国人は53名で,内ブラジル人が23名と多数を占めていた.平均年齢は35.5歳で,日本人と比較すると若かった.病型では多菌型が多く,B群が多かった.患者が診察に訪れる先は皮膚科医が多く,治療はWHOの推奨する多剤併用療法(MDT)が多かった.以上からハンセン病新患者は皮膚科医を訪れることが多く,皮膚科医で診療されることが多くなると推察され,皮膚科医の疾患に対する理解,診断,治療の習熟,サーベイランスへの協力などが必要になると思われた.
  • 内宮 礼嗣, 島田 祥子, 川畑 久, 神崎 保, 吉井 恵子
    1999 年 109 巻 5 号 p. 769-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    90歳,鹿児島市出身の女性.下顎部,左上眼瞼の浮腫性紅斑局面,左上肢の腫脹を主訴に1997年4月22日当科紹介受診.病理組織学的所見,抗酸菌染色,PCR法にてハンセン病(borderline type)と診断.WHOの多剤併用療法(multidrug therapy)にのっとり治療開始し,経過は大変良好であつたが,6月3目自殺.
  • 篠原 三秀, 田中 洋一, 片山 一朗, 近藤 達郎
    1999 年 109 巻 5 号 p. 775-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
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    29歳,男性.1歳の頃より四肢に紫斑,全身にアトピー性皮膚炎様の湿疹病変が,認められるようになった.以後,易感染性,出血傾向が出現し始め,10歳の頃に血小板のサイズの低下を伴う血小板減少症,血清IgMの低下などの検査値の異常が明らかとなり,Wiskott-Aldrich syndromeと診断されていた.平成9年2月頃より湿疹病変の急速な拡大増悪傾向を呈してきたため,当科外来を紹介され受診した.皮疹は臨床的にも組織学的にもアトピー性皮膚炎との鑑別は不可能なものであった.しかし同部の免疫組織染色では,ランゲルハンス細胞の高親和性IgEレセプターの発現は非常にweakで,湿疹病変成立の機序としてアトピー性皮膚炎とは異なることが考えられた.またWiskott-Aldrich syndromeの病因の一つとして,sialophorin(CD43)の発現の欠乏がT細胞数の減少や機能不全を引き起こすと考えられていたが,血中,組織中ともCD43はリンパ球に正常に発現されており,一次的な病因ではないと考えられた.
  • 1999 年 109 巻 5 号 p. 781-
    発行日: 1999年
    公開日: 2014/08/19
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