日本皮膚科学会雑誌
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91 巻, 8 号
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  • 大久保 正己
    1981 年 91 巻 8 号 p. 809-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    塩化コバルトは接触皮膚炎の原因物質であるが,また,これに接触すると即時反応による接触募麻疹を生ずる. 塩化コバルトのイソプロピルアルコール溶液と水溶液はいずれもパッチテスト開放法により接触蕁麻疹を生ずるが,線状スクラッチテストを行うと一層蕁麻疹の発現は明らかである. この反応は非アレルギー機序により生じ,クロルフェニラミンのほか,ヒスタミン遊離物質であるcompound48/80,および塩酸シノメニン等の阻止薬剤で阻止されない.1 塩化コバルトは血管活性をもつ遊離化学物質の作用機序と同様に,直接血管に働き透過性を完進させる作用をもつ物質と考えられる.そのほか,接触蕁麻疹の発症機序および誘因について若干の考察を加えた.
  • 橋本 隆
    1981 年 91 巻 8 号 p. 815-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    従来,種々の天疱瘡患者において,患者病変皮膚表皮細胞間(IC)に lgG の沈着の他に補体の沈着が高率に認められる l)-4)にもかかわらず,in vitro においては,患者血清中に認められる IC 抗体には拙体結合性は認められないとされてきた 5).しかし,近年,通常の蛍光抗体補体法を用いることにより,一部の患者の治療前の病勢の著明な時期のみ,血清中に補体結合性を有する IC 抗体が存在し,その抗体価は IC 抗体の抗体価に比して低値を示すという報告かある 6) 7) ,一方,IC 抗体を有する天疱瘡患者の血清を培養液として正常皮膚片を器官培養すると,その IC に lgG の沈着と棘触解様変化を生じ,その反応には拙体は関与しないとも言われている 8)-14). 今回,著者は,9例の補体結合性 IC 抗体を有する患者血清を含む16例の種々の天疱瘡患者血清を用いて正常ヒト皮膚を器官培養し, in vitro における補体結合性 IC抗体の作用と補体系の関与を検討したので報告する.
  • 高橋 夫紀子, 鈴木 啓之
    1981 年 91 巻 8 号 p. 823-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    偏側性ダリエー病の1例を経験し記載し,本症の概観を述べた.次いで光顕ならびに電顕的所見に基づき,表皮内汗管の特異性につき考察した.即ち病巣部の棘融解の結果生じた裂隙内にみられる表皮内汗管は正常の形態を保つ.電顕的検索でも汗管細胞相互間はよく発達した細胞質突起が複雑に嵌合し,デスモソームは全く正常の形態を保ち,数の減少もみとめられなかった.これらの所見から,表皮内汗管が表皮細胞から独立したユニットであるという主張に賛同したい.
  • 北村 和子, 池澤 善郎, 村上 淳子, 永井 隆吉
    1981 年 91 巻 8 号 p. 829-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    FCA 加セファロチン(CET)感作モルモットに, CET を腹腔内大量投与することにより作製した実験的薬疹 (CET疹)について検討し,以下の結果を得た. ① CET 皮内反応は,肉眼的に24時間をピークとする遅延型の反応で,皮内反応部は,硬結を伴わない軽い浸潤性の紅斑を示した. ② CET 皮内反応部の組織所見は,遅延型の経過をたどり,表皮細胞間浮腫,表皮および真皮への単核細胞,多形核細胞の浸潤,毛細血管の拡張充血を主とする反応であった.ギムザ染色標本では,肉眼的紅斑の消槌する48時間以降に,好塩基球浸潤が多数認められた. ③ CET 疹は,肉眼的に,24時間をピークとする遅延型の反応で, flare-up 部の組織所見は,表皮細胞間浮腫,3時間後より観察され72時間前後まで持続する毛細血管拡張と,6時間後に最も著明な単核細胞浸潤が主な所見であった.ギムザ染色標本では,48時間から72時間後にかけて,多数の好塩基球浸潤が認められた. ④ CET 疹誘発時の末梢血液白血球像は,経時的には,早期に好中球と好酸球が増加し,リンパ球と塩基球は,やや遅れて,48~72時間後に最も増加していた 以上の成績から CET 皮内反応は cutaneousbasophilhypersensitivity(CBH) の特徴を,実験的 CET 疹は,systemic CBH の特徴を持つことが示された
  • 柿沼 寛, 藤澤 重樹, 宇佐美 善政
    1981 年 91 巻 8 号 p. 837-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    24歳,男子の両下腿,両足および左上腕に生じた NLD の1例を約10ヵ月にわたり観察し下記の結論を得た. 1)臨床的には種々の紅斑が多発し,それに混じて紅色丘疹および膿疱がみとめられた非定型的な NLD であった. 2)皮疹とその組織像の経過について検討し,初期疹,組織学的典型疹および加療後の皮疹の組織学的特徴を述べた. 3)白験例は dipyridamoleとAspirin の内服が有効と思われた.
  • 穐山 富雄
    1981 年 91 巻 8 号 p. 847-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    アトピー性皮膚炎患者において,20種の抗原に対する特異 lgE 抗体を Enzyme-Linked Fluorescence Assay (ELFA)を用い測定し, RAST との相関性, ELFA 陽性率ELFA と皮内反応との一致率について検討し以下の結果を得た, 1)抗 mite lgE 抗体を ELFA および RAST により測定した結果, ELF A value (log) と RAST count (log)との間には有意の相関がみられ (r=0.9042, p<0.001),ELFA と RAST との一致率は90.2%であった 2) mite 抗原に対する ELFA 陽性率は41.9%であり,血清 lgE 値高値群において,また他のアトピー性疾患(喘息,アレルギー性鼻炎)を合併する群において高くなる傾向がみられた. 3)20種の抗原のうち, mite, house dust, egg white,milk, Aspergillus, Cladosporium, Alternaria, wheat, buckwheat. ragweed で10%以上の陽性率がみられた. 4) ELFA と 皮内反応との一致率は,65~85%であった
  • 須藤 成章, 前田 哲夫, 五十嵐 良一, 諸橋 正昭
    1981 年 91 巻 8 号 p. 855-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    皮膚アミロイドーシスの患者4例について補体を中心とした免疫組織学的検索を行なった.免疫グロブリンでは IgM ,補体では C1q, C3, C9 の沈着か全例に認められた.同時に測定した血清補体値及び免疫グロブリン値は正常範囲の成績であった.
  • 西川 武二, 栗原 誠一, 杉浦 丹, 清水 宏, 東條 毅
    1981 年 91 巻 8 号 p. 859-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    教室経験の11例の限局性強皮症患者血清中の抗 0g 抗体(強皮症特異抗 ENA 抗体)を検討したが全例陰性であった.対象例の病変皮膚表皮基底膜部 lgM 沈着,真皮リソパ球浸潤が少数例にみられたことは,本症の病変発生に局所的な免疫異常が示唆される.
  • 1981 年 91 巻 8 号 p. 861-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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