日本皮膚科学会雑誌
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114 巻, 9 号
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生涯教育講座
原著
  • 西村 久美子, 江 挙, 中尾 裕史, 坪井 良治, 小川 秀興
    原稿種別: 原著
    2004 年 114 巻 9 号 p. 1507-1516
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎のモデルマウスと考えられているNC/Ngaマウスに,抗アレルギー薬の一つであるフマル酸エメダスチンを経口投与し,皮膚炎に対する予防効果と治療効果を検討した.通常環境下で飼育して湿疹様病変を発症したNC/Ngaマウスと,清浄環境から通常環境に飼育場所を変更して湿疹様病変を未だ発症していないNC/Ngaマウスに,フマル酸エメダスチンを1 mg/kg/dayないし10 mg/kg/dayで10週間ないし14週間投与して非投与群と比較検討した.評価項目として肉眼所見は,紅斑,浮腫,出血,びらん,脱毛,乾燥の程度をスコア化し,その他に30分間の搔破行動,血漿IgE値,皮膚組織中の肥満細胞数と好酸球数を測定した.皮膚症状と搔破行動の推移から判断したフマル酸エメダスチンの効果は,投与量1 mg/kg/dayで発症抑制効果を認め,10 mg/kg/dayで抑制効果はさらに増強された.また湿疹様病変発症後の治療効果は10 mg/kg/dayで認められ,皮膚症状は軽快し,搔破行動は抑制された.また,フマル酸エメダスチン10 mg/kg/dayの投与は病理組織学的に病変局所の好酸球と肥満細胞の浸潤を有意に抑制した.しかし,血漿IgE値に対する抑制効果は認められなかった.以上の結果より,①NC/Ngaマウスが抗アレルギー薬の効果を判定するための優れたモデルマウスであること,②フマル酸エメダスチンが湿疹様皮膚病変に対して優れた予防効果と治療効果を有することが判明した.
  • 根本 治, 川村 邦子
    原稿種別: 原著
    2004 年 114 巻 9 号 p. 1517-1527
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    新しい光線療法として注目を浴びているnarrowband UVB(NB-UVB)とUVA1療法について,2000年1月から2003年6月までに,当院外来を受診し,通常の治療に抵抗性を示す患者に施行した.NB-UVBについては尋常性乾癬,局面性類乾癬,尋常性白斑を対象に,UVA1についてはアトピー性皮膚炎,結節性痒疹に使用した.診療所における治療法として,NB-UVBについては0.5 J/cm2から開始して0.1 J/cm2ずつ増量し,UVA1については5.0 J/cm2から開始して1.0 J/cm2ずつ増量していった.治療は原則として2回/週で開始し,NB-UVB療法においては,著明改善以上(67~99%改善率)が尋常性乾癬で38.6%,局面性類乾癬で100%,尋常性白斑で37.5%であった.また,UVA1療法においては,著明改善以上が,アトピー性皮膚炎では47.1%,結節性痒疹では71.5%であった.これらの治療中において,水疱形成などの高度な副作用は見られなかった.
  • 榎並 寿男
    原稿種別: 原著
    2004 年 114 巻 9 号 p. 1529-1533
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    narrow-band UVBは,311 nmにピークを持つ狭い波長の紫外線光源で,欧米ではこれを使った療法が難治性皮膚疾患に有効である報告が散見されるが,本邦においてはまだ報告が少ない.我々は79歳日本人の男性の難治性汎発型尋常性白斑に最少紅斑量を基本としたnarrow-band UVB療法を行った.体幹・四肢ではnarrow-band UVB単独療法が有効であったが,難治性の手背では効果がみられなかった.
  • 赤木 竜也, 森田 栄伸, 松尾 裕彰, 草竹 兼司, 黒田 倫代, 新原 寛之, 出来尾 哲
    原稿種別: 原著
    2004 年 114 巻 9 号 p. 1535-1538
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    61歳男性.約1年前から食パンやうどんの摂取後に運動をすると膨疹が出現するようになった.軽度のショック症状となることもあった.原因精査目的で当科受診.血清総IgE値44.5 IU/ml,RAST(Index)小麦2.3,グルテン2.3.小麦(うどん120 g)摂取後,トレッドミル法で運動負荷を加えると膨疹とショックが再現され,小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシーと診断した.誘発試験時の血清中のグリアジンを測定したところ,小麦摂取のみ,運動負荷のみの条件下では検出されなかったが,二者負荷し症状が誘発された条件ではじめて検出された.以上の所見より食物依存性運動誘発アナフィラキシーの発症機序における運動誘発の役割は,原因食物抗原の腸管から血中への吸収を促進させることであると考えた.
  • 吉野 公二, 青木 見佳子, 川名 誠司
    原稿種別: 原著
    2004 年 114 巻 9 号 p. 1539-1542
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    我々は広範囲に病変を認める乳房外パジェット病におけるsentinel lymph node biopsyで,トレーサーをどこに投与すべきかを検討した.その結果,トレーサーの投与部位を変えるとsentinel lymph nodeの同定に差が生じることが明らかになった.すなわち,肉眼的にみた病変の最外周に投与した場合には広範囲にわたって複数個のSNが描出され,病変部が硬結やびらんを伴っているような高度な部位にのみ投与した場合は左右一個ずつのsentinel lymph nodeが描出されたのである.sentinel lymph node biopsy本来の目的を考えると,病変の高度な部位のみに投与するのが最適であると考える.
学会抄録
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