日本皮膚科学会雑誌
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81 巻, 4 号
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  • 花岡 宏和, 大城戸 宗男, 服部 保次, 丸田 忠雄, 新井 敏夫
    1971 年 81 巻 4 号 p. 259-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    皮膚疾患と皮脂腺機能との関係を量的な面から検索しようとする試みは,尋常性痤瘡の研究にみられるように,多くの研究者によつてなされている.Kligmanらによつて皮脂腺機能と皮表脂質量との間の相関が報告されて以来,一般に皮脂腺機能を量的に表現する方法として,被検部より採取した皮表脂質量をこれにあてている.しかし皮表脂質は皮脂腺由来の脂質と表皮細胞由来の脂質が混りあい,さらにそれらの排泄過程や皮膚表面において変化したものまで含んでいる.したがつて皮表脂質の増減で皮脂腺機能を論ずるには,かなり問題が残る.皮脂腺由来の主なる脂質にはtriglycerideとsqualeneがある.前者は皮膚表面に出現するまでにlipolysisを受けるため,その量で皮脂腺機能を表わせるとはいい難い.いつぽうsqualeneについては,その生理的な意義をも含めて未解決な点はあるが,皮脂腺から直接未変化のままで皮膚表面にたどる唯一の物質と考えられている.このような見地から皮表脂質中のsqualeneを定量化しようとする試みがすでに行なわれているが,そのいずれの方法もがヨウ素滴定法,あるいは比色法であるため,定量障害物質たとえばsqualene以外の不飽和化合物とかsteroid類の影響を受けやすく,いまだ皮表脂質におけるsqualeneの確立された定量法はない.今回われわれは皮表脂質研究の一環としてgas chromatography(以下GLCと略す)と用いて皮表脂質中のsqualeneを定量することを企画し,あわせて皮脂腺機能との関係について検討を行なつた.
  • 増田 三千男
    1971 年 81 巻 4 号 p. 264-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    皮膚科領域における血管腫瘍を,北村らは,1)血管腫,2)広義の血管芽細胞腫に分け,後者を更に狭義の血管芽細胞腫(中川),血管内被細胞腫,血管外被細胞腫に細分している.一方,1)血管腫については従来臨床的にも組織学的にも種々の分類が行なわれていたが,今日では次の如きLeverの3型分類が慣用されている.すなわち単純性血管腫(portwine nevus):皮膚面より隆起しない毛細血管拡張性のもの,苺状血管腫(strawberry mark):皮膚面より半球状結節状ないし丘状隆起し鮮紅色,紫紅色で苺状にみえるもの,海綿状血管腫(angioma cavernosum):深在性ないし皮下血管腫に相当するものに分けている.就中苺状血管腫(以下S.B.M.と略称)が自然に消褪する事実はListerが報告して以来多くの研究者によつて確認され,1)成長期,2)静止期,3)消褪期の経過をとることが知られている.臨床上S.B.M.には苺状の典型疹を示さず,一見単純性血管腫を思わせる症例もある.しかし幼児における単純性血管腫の組織像はほとんど血管拡張を認めず正常皮膚と大差がない点により鑑別できる.一方海綿状血管腫のかなりの症例も自然治癒傾向を示すという報告もある.しかし全く自然治癒傾向を認めないとする者もあり,現在まで一定の結論は出ていないようである.またその組織像もSchnyderは薄い一層の壁よりなる海綿状の管腔の小葉状集合よりなり,内被細胞増殖はほとんどないと記載し,水谷は未熟な管腔形成の不完全なものよりなるとしており,この両者の見解は全く相反している.以上を総合すると皮下に腫瘤を有する血管腫中にはS.B.M.とangioma cavernosum(Lever)の両者が含まれるようである.この理由により私が本研究において資料症例として使用したS.B.M.では皮下に腫瘤を有する水谷のいわゆる皮下型は除外し,局面型(第1図)のみを対象とした.S.B.M.の組織学的研究は数多く報告されており,電顕的観察もすでに発表されている.しかしながらS.B.M.の発症より自然治癒に至る過程を組織学的に追求した報告は,私の知る限り文献的には存在しなかつた.この自然治癒機転を解明するために行なつたS.B.M.の成長期消退期および本疾患の特殊な状態と考えられるKasabach-Merritt症候群のそれぞれについて光学顕微鏡的,電子顕微鏡的に研究した結果,さらにこれらと対比する意味で行なつた正常皮膚細小血管(毛細血管,細小静脈)の微細構造について知見を報告する.
  • 田久保 浩
    1971 年 81 巻 4 号 p. 284-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    最近同種臓器移植の問題が治療の面で脚光を浴び臨床上の応用も既に試みられ,術後に起る拒否反応が治療成績を左右する最も大きな問題点としてclose upされている.一方ある種の疾患ではかかる拒否反応が陰性ないし減弱することが報告されており,われわれも本反応がツベルクリン反応・皮膚接触アレルギー反応と同様遅延型アレルギー反応に類する現象と考えられるところから,三種の反応の比較検討,さらに免疫不全性疾患殊に細胞免疫不全性を示す疾患群に強く障害がみられることなどを既に報告して来た.今回はそのうち同種皮膚移植を独自の方法で種々の疾患患者に施行,観察した様々の拒否反応像を総括報告するもので,言わば最終的には同種皮膚移植拒否反応を臨床検査面で応用せんとする意図に基づく成績である.なお同種皮膚移植拒否反応の人における基礎的実験は,Converseら・Rapaportら・Marshallら・Henryらの外国文献にその詳細なる観察が報告されているが,本邦においては僅かに倉田・薄らの実験動物における報告の中で極く少数例についての観察成績が記載されているだけである.従つて本研究における正常人対照群の成績は主として外国文献にみる成績をもつて比較検討した.
  • 麻生 和雄
    1971 年 81 巻 4 号 p. 299-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    皮膚のlipogenesisは皮膚代謝活動の比較的鋭敏な指標であるといわれる.代謝異常,たとえば糖尿病でその活性は低下し,乾癬など表皮細胞のturn overのいちじるしく亢進した場合,活性は急速に増加する.病的な皮膚では燐脂質やステロールの量的な変動を生ずる.食事(絶食)あるいは恐らくホルモンに対する影響にも鋭敏であろう.角層の形成や表皮細胞そのものの構成に脂質は重要な関係を有している.皮表の脂質はくわしくしらべられてきたが,そのわりに表皮の脂質生合成に関する知見は少ない.著者は表皮の脂酸生合成系をしらべ,表皮細胞における脂酸合成系は可溶性画分のいわゆるmalonyl CoA pathwayとミトコンドリア画分のelongation,マイクロゾーム画分の混合系よりなることを確認した.成績の概要を報告したい.
  • 堀 嘉昭
    1971 年 81 巻 4 号 p. 310-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    白斑あるいは白皮症に関する研究は,多くの学者によつてなされてきたが,色素脱失の原因は,それぞれの疾患において異なつている.色素脱失症は,先天的のものと,後天的のものに二大別できるが,先天的のものには,Total albinism(Oculocutaneous albinism),Partial albinism(Piebaldism),Nevus depigmentosus,プリングル氏病における白斑,フェニルケトン尿症,Chediak-Higashi症候群などが挙げられ,後天的のものに尋常性白斑,Suttonの白斑,老人性白斑などがあげられる.また,これらの疾患において,どのレベルでの障害が,脱色素をもたらすかについて考えるとき,それぞれ異なつていることに気付く.1950~1960年代の初めまでは,ランガーハンス細胞は,メラノサイトと同系統の細胞との仮説が一般的であつたが,その後のランガーハンス細胞内小器官特に,Birbeck顆粒に関する諸家の研究によつて,ランガーハンス細胞の本態論は振り出しに戻つた.ランガーハンス細胞がどの系統の細胞であるかを論ずるにはBirbeck顆粒の本態を究明することが先ず必要となつてくる.また一方,尋常性白斑のときに,表皮内に見られるドーパ陰性樹枝状細胞を,ランガーハンス細胞と気軽く呼ぶこともできない.しかし,尋常性白斑や,Suttonの白斑のときに,明らかに,表皮メラノサイトの消失あるいは,その数の減少が認められるが,消失するメラノサイトの運命については,未だ解明されていない.一方,実験的に,Bleehenらは,一種のカテコールを用いて褐色モルモットの表皮から,メラノサイトを消失させる実験を行なつたが,これがどういう機序によるものかは,未だ明らかでない.すなわち,普通に,電子顕微鏡のみを用いることによつては,病因を知ることはできない.しかし,電子顕微鏡によつて細胞の状態と,organelleの状態を知ることができるし,さらに組織化学や,生化学や,ラジオオートグラフィの組合せで,動的に細胞の状態を把握することも可能となつて来た.本報では,種々の形の色素脱失症における表皮メラノサイトと,メラノソーム,さらにメラノソームの表皮細胞への移行について述べ,脱色素症の鑑別,病因について検討したい.また本報において用いられるメラノソームのStageについては,Clarkらが,Stages Ⅰ,Ⅱ,ⅢおよびⅣなる用語を用い,著者らもこれを用いる方が,より科学的であるとの見地から,簡単に説明すると(第1図), Stage Ⅰ-Melanosome:ほぼ球形で,その中に不定形の物質を有し,チロジナーゼ活性は陽性である. Stage Ⅱ-Melanosome:紡錘形ないし卵型,特有のperiodicityを持つ膜様のfilamentsを保有する.チロジナーゼ活性は陽性. Stage Ⅲ-Melanosome:メラニンの形成と沈着によつて特有のperiodicityが,ややはつきりしなくなる.チロジナーゼ活性は陽性. Stage Ⅳ-Melanosome:メラニンの生成が殆んど終了し,内部構造は殆んどわからなくなる.
  • 1971 年 81 巻 4 号 p. 327-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
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