日本皮膚科学会雑誌
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132 巻, 11 号
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新・皮膚科セミナリウム 自己炎症性疾患と自己炎症性角化症
  • 井上 徳光
    2022 年 132 巻 11 号 p. 2487-2493
    発行日: 2022/10/20
    公開日: 2022/10/20
    ジャーナル 認証あり

    補体成分が関連する疾患というと,易感染性や自己免疫疾患を想像するかもしれないが,最近,補体が原因で発症する皮膚症状を伴う疾患が注目されている.本稿では,最近,明らかになった補体関連皮膚疾患として,繰り返す蕁麻疹・無菌性髄膜炎などの自己炎症を伴う発作性夜間ヘモグロビン尿症と,腎糸球体に抗体の沈着を伴わない補体が沈着するC3腎症と同様にC3の沈着を認める顆粒状C3皮膚症の分子病態の可能性について紹介したい.

  • 乃村 俊史
    2022 年 132 巻 11 号 p. 2495-2500
    発行日: 2022/10/20
    公開日: 2022/10/20
    ジャーナル 認証あり

    化膿性汗腺炎は,腋窩・臀部・鼠径部などの間擦部を中心に炎症性結節や囊腫,排膿,瘢痕,瘻孔を繰り返す難治性皮膚疾患であり,かつて本邦では慢性膿皮症と呼称されていた.診断には,好発部位での皮疹出現と慢性再発性の経過が重要であるが,未だ本症についての医師の疾患理解は十分とは言えず,診断と治療の遅れが本症の難治例の多さに繋がっている可能性がある.本症は,かつてはアポクリン汗腺を主座とする細菌感染症のひとつと考えられていたが,2010年に一部の患者にγセクレターゼをコードする遺伝子群(NCSTNPSENENPSEN1)に機能喪失変異を持つことが発見されてからその病態理解が進み,現在は毛包を主座とする自己炎症性疾患と考えられている.化膿性汗腺炎に対しては,以前は抗生剤の内服と外用,外科的治療が行われていたが,2019年にアダリムマブが使用可能になり治療成績が向上している.今後,さらに治療が多角化していくことが予想されるが,皮膚科医が本症の疾患概念や病態を正しく理解することで治療新時代にうまく適応し,本症の治療成績が向上することを強く期待している.

  • 武市 拓也
    2022 年 132 巻 11 号 p. 2501-2505
    発行日: 2022/10/20
    公開日: 2022/10/20
    ジャーナル 認証あり

    自己炎症性発症機序を有する一連の炎症性角化症を包括する概念が,自己炎症性角化症(autoinflammatory keratinization diseases;AiKD)である.AiKDの代表的疾患である,CARD14の機能獲得バリアントやIL36RNの機能喪失変異を発症因子として有する汎発性膿疱性乾癬は,近年,自己炎症性の側面がより明確になってきている.また,proteasome maturation proteinをコードするPOMP変異により引き起こされるKLICK症候群は,プロテアソーム関連AiKDと考えられる.AiKDに含まれる疾患も増えており,この概念で各疾患を捉えることは,病態機序の正確な理解を可能とし,精密医療へと繋がる.

原著
総説
  • 伊藤 泰介, 下村 裕, 井阪 圭孝, 西川 厚嗣, 荒西 利彦, 板倉 仁枝, 大山 学
    2022 年 132 巻 11 号 p. 2523-2530
    発行日: 2022/10/20
    公開日: 2022/10/20
    ジャーナル 認証あり

    円形脱毛症は,外見上の印象を大きく左右し心理社会的・感情的苦痛を伴う疾患である.しかし,現在の治療は主に頭部の脱毛への対症療法であり,本邦では脱毛改善に伴う疾病負担の軽減を評価した報告は数少ない.本稿では,円形脱毛症患者の疾病負担を理解するため,これまでにそれがどのように評価されてきたかをまとめた.医師による客観的な症状評価に加え,患者による主観的な疾病負担の評価も取り入れた多角的な評価方法が広く用いられることにより,円形脱毛症患者が抱える負担への理解が深まると考えられる.

学会抄録
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