1)諸種皮膚疾患患者にedetic acid testを行ない,その副甲状腺機能を検した.2)諸種皮膚疾患患者46名に行なった48回のedetic acid testは,そのうちの16名(34.8%),18回(37.5%)に相対的副甲状腺機能障害を示した.3)皮膚疾患中,膠原病に高率の相対的副甲状腺機能障害を認めた.4)乾癬性紅皮症は副甲状腺機能低下と関係を有し,尋常性乾癬も関係があるのではなかろうかと推定した.皮膚疾患と副甲状腺機能との関係は,機能亢進の際の石灰沈着症を除けば,ほとんど知られておらず,わずかに汎発性鞏皮症についての研究をみ,あるいはその機能低下症の皮膚症状が稀有症として観察されている程度である.これはCa負荷試験,燐再吸収率,燐クリアランス等の副甲状腺機能検査法が不備であったためと考えられる.1959年,KaiserおよびPonsoldは副甲状腺機能試験に,ethylendiamin-tetra-acetic acid(以後edetic acidと略記する)の血清Ca低下作用を応用した負荷試験法を考案して報告した.この方法はその後多くの研究者によって追試され,殊に潜在性の副甲状腺機能障害に対して優秀な検査法であることが確認されている.そこで諸種皮膚疾患について本法によって副甲状腺機能との関連を検したので下記したい.
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