天疱瘡・類天疱瘡の重症度分類,病勢評価,治療効果判定には,臨床症状を客観的にスコア化した天疱瘡におけるPDAI(pemphigus disease area index),類天疱瘡におけるBPDAI(bullous pemphigoid disease area index)が重要な役割を果たす.今後PDAI・BPDAIは,指定難病の臨床調査個人票の記載に必要なだけでなく,国際共同治験などでも汎用されると考えられ,皮膚科医には習熟が求められる.
自己免疫性水疱症の治療は,副腎皮質ステロイド剤の全身投与が基本となるが,各種治療に抵抗性をしめす重症例もしばしば経験する.副腎皮質ステロイド剤の補助療法として,免疫抑制剤,ステロイドパルス療法,血漿交換,大量γグロブリン療法(IVIG療法)などがあるが,IVIG療法は唯一免疫を抑制しないと言われている治療である.
自己免疫性水疱症は天疱瘡群と類天疱瘡群に分かれる.天疱瘡診療ガイドラインは広く普及し,この活用により治療水準が画期的に向上したことは周知の通りである.一方,類天疱瘡診療ガイドラインは未だ作成中である.いずれの治療もステロイド内服が基本となるが,免疫抑制剤併用については特に類天疱瘡診療において一定の見解がない.今回,免疫抑制剤の基本の確認と自己免疫性水疱症治療における免疫抑制剤の位置づけを行うこととした.
当施設で経験した抗SRP抗体陽性皮膚筋炎患者3例の臨床的特徴について検討した.平均年齢は57歳で全例女性であり,皮膚症状としてゴットロン徴候が共通してみられた.3例とも筋力低下があり,筋原性酵素は高値だった.間質性肺炎と悪性腫瘍は1例ずつにみられた.悪性腫瘍を合併した1例は抗TIF1抗体が共存していた.1例はステロイド内服単独で,2例はステロイド内服に加え免疫抑制剤を併用し症状は寛解した.
右眼窩内肉芽腫により右眼を失明し,肺病変を伴った多発血管炎性肉芽腫症の35歳女性.プレドニゾロン,シクロホスファミド内服で寛解したが4カ月後に再燃した.リツキシマブを投与し再度寛解導入したが,投与8カ月後にPR3-ANCAの上昇と9カ月後にCD20陽性細胞数の回復を認め,2クール目のリツキシマブを投与し維持療法中である.近年,再発性難治性血管炎に対する治療法としてリツキシマブが注目されているが,維持療法におけるリツキシマブの治療法は未だ確立されていない.