日本皮膚科学会雑誌
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122 巻 , 8 号
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皮膚科セミナリウム 第87回 遺伝と皮膚疾患
  • 中野 創
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第87回 遺伝と皮膚疾患
    2012 年 122 巻 8 号 p. 2057-2063
    発行日: 2012/07/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    皮膚科領域の遺伝子診断の主な目的は診断確定と遺伝的・臨床的予後の推定である.得られた結果が真に病因と関連しているかどうかを判定するためには家系内での分析が重要である.通常の塩基配列決定法で変異が同定できない場合は,定量的遺伝子解析法が必要になる場合がある.遺伝子診断は栄養障害型表皮水疱症の遺伝形式決定や,骨髄性プロトポルフィリン症の発症前診断に必須の検査となっている.
  • 柳 輝希, 秋山 真志, 清水 宏
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第87回 遺伝と皮膚疾患
    2012 年 122 巻 8 号 p. 2065-2069
    発行日: 2012/07/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    出生前診断は,妊娠の段階で胎児が何らかの疾患に罹患しているか否かを判定する検査と定義される.皮膚科領域で出生前診断の主な対象となる疾患は,常染色体劣性遺伝形式をとる重症型の遺伝病である表皮水疱症,魚鱗癬が挙げられる.本稿では,遺伝性皮膚疾患の出生前診断の現状,胎児皮膚生検による出生前診断,羊水・絨毛採取による遺伝子レベルでの出生前診断について,当科での実施例を紹介しつつ,その診断理論と実践について概説した.
  • 三橋 善比古
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第87回 遺伝と皮膚疾患
    2012 年 122 巻 8 号 p. 2071-2076
    発行日: 2012/07/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    遺伝性疾患の診療における遺伝カウンセリングの役割をまとめた.東京医大皮膚科遺伝外来の症例をまとめたところ,レックリングハウゼン病が最も多数をしめた.そこで,レックリングハウゼン病を中心に最近の話題と遺伝カウンセリングの問題点を述べた.レックリングハウゼン病の遺伝カウンセリングでは診断が問題になることが多い.すなわち,乳幼児期では症状はカフェ・オ・レ斑のみで神経線維腫は見られない.しかし,時期が来れば症状がそろうので,過剰に反応せず経過をみてゆく.分節型(NF5)と遅発型(NF7)は遺伝的モザイクと考えられている.モザイクの場合でも,次世代に遺伝子変異が遺伝することがあり,遺伝すれば児はレックリングハウゼン病になる.60歳,男性の遅発型の例を提示した.この例の血液細胞を用いて遺伝子検索を行ったところ,NF1遺伝子のエクソン55の前後に欠失(c.del7808-8053)を認めた.しかし,遺伝子変異が血液細胞中でモザイクの状態で存在しているか,他の組織でも遺伝子変異がみられるかは不明であった.レックリングハウゼン病の遺伝カウンセリングにおいて,モザイクの問題は今後重要になってくるものと考える.レックリングハウゼン病の症状は多彩で,多くの科が関係する.そのため,患者全体をみて,適宜,適切な科に紹介するコーディネイターが必要である.このような意識を持つ医師を増やし,人材を育成する必要がある.遺伝カウンセリングは,遺伝性疾患を持ちながらも充実した人生を送るための支援のひとつである.
総説
  • 高田 実
    原稿種別: 総説
    2012 年 122 巻 8 号 p. 2077-2084
    発行日: 2012/07/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    メラノーマに対する手術の多くは,がん細胞を完全にとり切りメラノーマを根治させることを目的に行われている.しかし,近年の研究によりメラノーマは発がんの早期から腫瘍細胞の全身播種が起こること,播種した腫瘍細胞は増殖が抑制された状態で長期に亘り潜在すること,この増殖抑制が解除されると臨床的に検出される転移となることが強く示唆されている(parallel progression model).また,メラノーマの進展は原発腫瘍と転移腫瘍が双方向性に複雑に関与しながら起こることも示唆されている(tumorself-seeding).メラノーマに対する手術の意義は,これらの進展モデルに基づく全身病としての生物学的特性を十分に考慮して再評価されなければならない.Tumor self-seeding によるメラノーマの進展を阻止するために原発腫瘍の切除(ステージIV 症例を含む)は意義があると考えられるが,parallel progression model が正しいとすればセンチネルリンパ節生検陽性例に対する予防的リンパ節郭清の意義は少ないものと考えられる.
原著
  • 小林 律子, 中野 敏明, 濱本 貴子, 佐藤 佳代子, 瀬山 邦明, 衛藤 光
    原稿種別: 原著
    2012 年 122 巻 8 号 p. 2085-2090
    発行日: 2012/08/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    44歳,女性.左大腿部に消長を繰り返す腫脹を自覚し,徐々に増悪した.左大腿内側を中心に潮紅を伴う浮腫が存在し,皮膚生検組織では真皮内にリンパ管の増生と拡張を認めた.CTにて肺内に多発する薄壁嚢胞と腹部と骨盤内に嚢腫状の腫瘤影を認め,リンパ脈管筋腫症(Lymphangioleiomyomatosis,以下LAM)と臨床的に診断した.呼吸器症状や腹部症状は認めなかった.LAMは遺伝子変異に基づいた平滑筋様のLAM細胞が増殖,リンパ管の増生を促し,更にはリンパ管を介して遠隔部位に転移する腫瘍性疾患である.生殖可能年齢の女性に多く発症し,肺,および体軸リンパ節を中心とした縦隔や骨盤腔に病変を形成する.進行すると呼吸不全をきたし,肺移植適応疾患と認定されている.多くは呼吸器症状で発症し,リンパ浮腫を初発症状とする報告は稀である.本例ではリンパ浮腫を契機に診断に至り,早期に保存的治療を開始し,症状の軽快を認めた.皮膚科医が早期診断に貢献し得る全身性疾患として稀ではあるが知っておくべき疾患と考えた.
  • 喜多川 千恵, 中島 英貴, 樽谷 勝仁, 佐野 栄紀
    原稿種別: 原著
    2012 年 122 巻 8 号 p. 2091-2096
    発行日: 2012/07/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    34歳,女性.発熱,中枢性尿崩症,眼瞼黄色腫および体幹の皮下腫瘤,長管骨病変があり,皮膚生検および骨生検にてCD1a陰性,S-100蛋白陰性,CD68陽性の組織球の増殖を認めたため,非Langerhans細胞組織球症のうち,Erdheim-Chester病(ECD)と診断した.ステロイドや免疫抑制剤内服等の各種治療を行うも効果は乏しく,皮下腫瘤は徐々に増大した.今回免疫染色にて,浸潤している泡沫細胞が,びまん性にTumor Necrosis Factor (TNF)-α陽性を示したことより,TNF-αシグナルがこの組織球増殖症に関与していると仮定した.そこで,患者の承諾および倫理委員会の承認を得て,抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体製剤(インフリキシマブ)による治療を試みたところ,2回目投与後より,皮下腫瘤の増大抑制効果が得られた.ECDの治療は未だ確立されておらず,抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体製剤は,選択肢の一つとして期待できるのではないかと考えた.
  • 廣川 景子, 西村 景子, 菅谷 直樹, 鈴木 加余子, 福田 俊平, 橋本 隆, 松永 佳世子
    原稿種別: 原著
    2012 年 122 巻 8 号 p. 2097-2104
    発行日: 2012/07/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    79歳男性.既往歴として糖尿病,B型肝炎,高血圧.初診の数日前より両耳後部に水疱が出現.徐々に顔面に拡大したため当院を受診.ELISA法による抗BP180抗体,抗Dsg1/3抗体は共に陰性.病理組織学的に表皮下水疱を認め,蛍光抗体直接法では表皮基底膜部にIgG,C3の線状沈着を認めた.正常ヒト皮膚を基質とした蛍光抗体間接法でIgG抗表皮基底膜部抗体を認め,1M食塩水剥離皮膚の真皮側に反応し,表皮抽出液と真皮抽出液の免疫ブロット法は陰性,精製ヒトラミニン332ではα3,β3,γ2サブユニットに反応した.以上より抗ラミニン332型粘膜類天疱瘡と診断した.プレドニゾロン(以下PSLと略す)60 mg/日に,DDS(ジアフェニルスルホン)内服を併用したが,皮疹は軽快しなかったため,400 mg/kg/日の大量免疫グロブリン静注(IVIG)療法を5日間施行したところ,速やかに皮疹は改善した.初診1年3カ月後にPSLを中止したが,症状の再燃はない.初診8カ月後の皮疹軽快時(PSL 15 mg/日内服中)に抗原抗体解析を再度施行したところ,蛍光抗体間接法でIgG抗表皮基底膜部抗体は陰性化していた.精製ラミニン332を用いた免疫ブロット法では,IgGがγ2のみに反応し,α3,β3サブユニットは陰性であり,本症例の病原抗原はα3,β3サブユニットと考えられた.
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