日本皮膚科学会雑誌
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106 巻, 11 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 須藤 一, 羅 智靖
    1996 年 106 巻 11 号 p. 1377-
    発行日: 1996年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    ヒト血清中のIgEを,組み換え型のヒト高親和性IgEレセプターα鎖細胞外ドメイン(solubleα)を用いたsolubleα-ELISA(FcεRIα鎖に結合しうるIgE)と従来のサンドイッチ-ELISA(血清中の総IgE)にて測定し,アトピー性皮膚炎における種々の臨床的パラメーターとの相関を検討した.対象はアトピー性皮膚炎(AD)患者84名,正常人25名である.その結果,1.solubleα-ELISAによるIgEの測定値:FcεRI-結合性IgEは,AD患者において有意に増加していた(p<0.01).2.AD患者においては,solubleα-ELISAにて測定した血清FcεRI-結合性IgE値のサンドイッチ-ELISAにて測定した総IgE値に対する割合(FcεRI-緒合性IgE/総IgE)は有意に低値であった(p<0.01).3.臨床的パラメーターではADの重症度スコアならびに好酸球数とFcεRI-結合性IgE値との間に相関が認められた.以上より,AD患者血清中のIgE分子にはFcεRIに結合し得ない種類の分子の存在,あるいは抗IgE抗体や抗FcεRI抗体など,IgEのレセプターへの結合を阻害する因子の存在が示唆され,現在解折中である.FcεRI-結合性IgEの絶対値は,一つのグループで,ADが重症になるほど増加しており,このグループのADの重症度を反映することが示唆された.
  • 今村 優子, 松田 真弓, 昆 宰市, 山下 達雄, 山崎 直也
    1996 年 106 巻 11 号 p. 1385-
    発行日: 1996年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    悪性黒色腫29例,Spitz母斑5例,母斑細胞性母斑15例のパラフィン包埋標本に対し,フローサイトメトリー(FCM)による核DNA量の測定を行った.DNA index(DI)は1.00から2.34の範囲にあり,従来の方法に超音波処理を加えたことで,測定値のcoefficient of variation(CV)値は3.88±1.48(平均±標準偏差)%と良好な値を得ることができた.Aneuploidyは悪性黒色腫で29例中10例(34.5%),Spitz母斑では0、母斑細胞性母斑で15例中1例(6.7%)に認められ,良性群と悪性群との間で,aneuploidyの出現頻度に有意差が認められた.また悪性黒色腫においてtumor thicknessが増すにつれてaneuploidyの出現頻度が増す傾向が認められた.以上よりFCMによる核DNA量の測定が,色素性腫瘍の良・悪性の鑑別に役立ち,また悪性黒色腫の予後因子となり得る可能性が示唆された.
  • 崔 昌益, 高橋 昌江, 手塚 正
    1996 年 106 巻 11 号 p. 1393-
    発行日: 1996年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    足底角層の剥離パターンと足底角層プロテアーゼの角層における活性の分布を調べ,プロテアーゼのinhibitorが角層の剥離に及ぼす影響について検討した.足底角層は体外に取り出した状態でも外側から剥離されることが定量的検討で明らかとなり,足底角層プロテアーゼの活性は深層より表層の方で高いことがzymography法と合成基質を用いた定量的方法で判明した.又,これらのプロテアーゼのinhibitorであるaprotininとPMSFは角層の剥離をも著しく抑制しており,プロテアーゼが角層の剥離に深く関与することが示唆された.
  • 西岡 和恵, 村田 雅子, 石川 武人
    1996 年 106 巻 11 号 p. 1397-
    発行日: 1996年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    平成3年11月から平成7年12月の4年2ヵ月間に山口赤十字病院皮膚科を受診し,PPDのパッチテストを施行した363例中,ICDRG基準で+以上の陽性を示した症例は45例(12.4%)であった.陽性例の内訳は,男17例,女28例,年齢は19歳から82歳(平均54.3歳)で40歳代から60歳代に多かった.陽性例のうちヘアダイに接触歴のあったもの39例,ヘアダイに接触歴のなかったもの2例,接触歴不明のもの4例であり,また初診時自家感作性皮膚炎を併発していたものが6例,黒ゴム製長靴(田靴)による接触皮膚炎例が3例認められた.ヘアダイに接触歴のあったもの39例のうち被染毛者は34例,美容師は5例であり,ヘアダイ接触開始後,皮膚炎を発生するまでの期間は,最短で4ヵ月,最長で30年であった.PPD関連物質に陽性を示した症例は45例中36例(80%),その他のアレルゲンに陽性を示した症例は45例中20例(44.4%)で,PPDに加え,PPD関連物質およびその他のアレルゲンのうちの何らかのアレルゲンに陽性を示した症例は45例中41例(91.1%)に及んだ.PPD関連物質の陽性頻度は,パラアミノアゾベンゼンが28/39例(71.8%)と最も高く,次いで塩酸パラトルエンジアミン14/31例(45.2%),パラアミノフェノール10/30例(33.3%),4N-オルトフェニレンジアミン8/26例(30.8%)の順で上位を占めた.その他のアレルゲンで,陽性例の多かったアレルゲンは,ウルシオール,ペルーバルサム,ネオマイシン,硫酸ニッケル,塩化コバルトおよび香料ミックスであった.
  • 尾藤 利憲, 高島 務, 原田 晋, 堀川 達弥, 市橋 正光, 足立 厚子
    1996 年 106 巻 11 号 p. 1403-
    発行日: 1996年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    重度の妊娠中毒症のため約2ヵ月間にわたってラテックス製尿道バルーンを留置された後,ゴム製品やバナナ,栗などとの接触で蕁麻疹や喘息症状,さらには1ヵ月に1度の割合でアナフィラキシー様症状をおこすようになった30歳女性の症例を報告する.検索の結果,ラテックス,バナナ,栗に対する即時型アレルギーがこれらのエピソードの原因と判明した.ラテックスは様々な果物と交叉反応を起こすことが報告されており,自験例の栗やバナナによる即時型反応もラテックスとの交叉反応によるものと考えられる.栗とラテックスの交叉反応の報告はまだ少ないが,栗による即時型アレルギーはアナフィラキシーなど重篤な症状を示す頻度が高い.最近ゴム製品使用者を中心にラテックスアレルギーの増加が注目されているが,そのような患者においては様々な果物,特に栗に対する即時型アレルギー合併の有無を検索する必要がある.
  • 佐藤 まどか, 石川 治, 宮地 良樹, 友政 剛, 長嶋 完ニ
    1996 年 106 巻 11 号 p. 1409-
    発行日: 1996年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    15ヵ月女児.生下時より多毛と四肢の輪状皮溝があった.組織学的にはsmooth muscle hamartomaと断裂した弾性線維を認めた.臨床および組織像よりMichelin tire baby症候群と診断した.本症はこれまでに20例の報告しかない稀な疾患である.これまでの報告例をまとめ,若干の考察を加えた.
  • 高橋 英俊, 浅野 一弘, 中村 哲史, 飯塚 一
    1996 年 106 巻 11 号 p. 1415-
    発行日: 1996年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    最近polymerase chain reaction(PCR)法の開発により,従来の方法では検出できなかった微量な遺伝子産物が検出可能となった.我々は流血中にメラノーマ細胞の存在を示唆するtyrosinase mRNAについてreverse transcription-polymerase chain reaction(RT-PCR)法を用いて24例の悪性黒色腫患者の血液を解析した.stageⅠ(5例)では全例tyrosinase mRNAを検出しなかったが,stageⅡでは3例中1例に,stageⅢでは7例中1例に,stageⅣでは9例全てにmRNAを検出した.以上の結果から,この方法は原発巣はもとより,転移巣の存在の検出に有用な方法の1つと考えた.
  • 1996 年 106 巻 11 号 p. 1419-
    発行日: 1996年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
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