日本皮膚科学会雑誌
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105 巻, 5 号
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  • 神田 憲子, 時光 玲子, 川島 眞
    1995 年 105 巻 5 号 p. 691-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
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    細胞膜は,種々の蛋白質からなる膜骨格によって細胞内側から裏打ちされている.この膜骨格の構造と機能についてはこれまで主にヒト赤血球で解析されてきたが,ヒト表皮角化細胞においても数種類のヒト赤血球膜骨格に類似した蛋白質の存在が免疫化学的に確認されている.本研究では,主要な裏打ち蛋白質であるスペクトリン様蛋白質(フォドリン)に着眼し,培養ヒト表皮角化細胞内にelectroporation(電気穿孔)法を用いて抗ヒト赤血球スペクトリン抗体を導入し,アクチン線維の分布動態を共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した.その結果,細胞内で抗スペクトリン抗体とフォドリンの免疫複合体が形成され,Ca2+で誘導されるアクチン線維の分布変化が阻害された.このことからフォドリンがヒト表皮角化細胞のアクチン線維の細胞内分布の規定に重要な役割を果たしていることが示唆された.
  • 丸山 幸治, 張 建中, 小嶋 幸夫, 岩月 啓氏, 小野 一郎, 金子 史男
    1995 年 105 巻 5 号 p. 699-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    乾癬治療薬の皮膚細胞に対する作用を明らかにするために,われわれは正常ヒト表皮角化細胞(NHK),真皮線維芽細胞(HDF)の増殖とそれらの細胞が産生するサイトカインに対する影響を検討した.乾癬治療薬として,corticosteroids〔hydrocortisone(HC),dexamethasone(Dex)〕,VitaminD3誘導体〔1,25dihydroxyvitamin D3(1,25(OH)2D3),MC903〕,合成retinoids〔etretinate(Etret),Am-80〕,cyclosporin A(CsA)を対象とした.細胞増殖の検討はMTT法,サイトカインについてはinterleukin(IL)-6,IL-8をELISAにより測定した.Dex,CsA,1,25(OH)2D3,MC903は10-8~10-6M濃度範囲においてNHKの増殖を濃度依存性に抑制した.その10-6M濃度における増殖抑制率はDexとCsAが約50%,1,25(OH)2D3とMC903が約30%であった.また,10-6M濃度の1,25(OH)2D3とMC903はHDFの増殖を約30%抑制したが,DexとCsAはHDFの増殖には影響しなかった.一方,EtretはNHKの増殖に対して軽度の促進傾向を示した.サイトカインの産生に対する影響において,DexはIL-1α刺激NHKとHDFによるIL-8産生を著明に抑制し,さらにHDF産生のIL-6を有意に抑制した.CsAはIL-1αおよびphorbol 12-myristate 13-acetate(PMA)刺激によるNHKのIL-8産生を抑制した.1,25(OH)2D3とMC903はPMA刺激によるNHK産生のIL-8,IL-1α刺激によるHDF産生のIL-8をそれぞれ抑制した.一方,EtretはPMA刺激によるNHKのIL-8産生を抑制したが,IL-1α刺激に対する調節効果はほどんど認められなかった.以上の結果から,皮膚細胞の増殖とサイトカイン産生に対して乾癬治療薬はそれぞれ特徴的な調節作用を有することが示唆された.
  • 横関 博雄, 松永 剛, 谷口 裕子, 片山 一朗, 西岡 清
    1995 年 105 巻 5 号 p. 707-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    成人型アトピー性皮膚炎(AD)に特徴的な皮膚症状を中心とした重症度の点数化を試みた.東京医科歯科大学皮膚科に受診した59症例(15歳から37歳)の患者の重症度をアンケート用紙を用い,自覚症状を中心とした簡便は点数化方法(Patient score,PS)と,皮膚科医師が診察して得た他覚所見を中心にした重症度を点数化する方法(Clinician score,CS)の2方法を用いて評価した.また,それぞれの点数と好酸球数,血清IgE値,ダニのRAST値との相関性を検討した.各重症度と検査所見それぞれの間で相関関係を調査したところ,PSとCSの間では相関係数が0.65となり統計学的に有意に正の相関関係がえられた(p<0.01).CSは血中IgEレベルとの間で0.5015の相関係数が得られ,統計学的に有意な相関関係が認められた(p<0.05).臨床像よりADを軽症,中等症,重症に分類し,PS,CA,血中好酸球数,血清IgE値,ダニのRAST値を比較検討したところ,PS,CS共に軽症と中等症,中等症と重症間でそれぞれ統計学的に有意差が認められた(PS:p<0.005,CS:p<0.001).好酸球数および血清IgE値,ダニのRAST値は重症AD,中等症AD,軽症ADの間で統計学的に有意差は認められなかった.以上の結果より成人型ADの皮膚症状を中心とした重症度スコアは,PS,CSも共に15歳以上の成人ADにおいてはADの重症度を反映していると考えられた.またアンケート用紙による重症度も,医師による重症度判定と同程度であったことから,簡便かつ十分に重症度を評価しうると考えられた.
  • 梅林 芳弘, 大塚 藤男
    1995 年 105 巻 5 号 p. 713-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    数量化理論Ⅱ類を用いて,悪性黒色腫の患者30例の初診時転移の有無に関する判別分析を行った.検討した因子は,発症から初診までの期間,治療歴,病型,level,thickness,細胞核DNA量の6項目である.30例の内訳は初診時転移巣の存在しなかったもの20例と,転移巣の存在したもの10例である.細胞核DNA量はDAPI(4'6-diamidino-2-phenylindole)顕微蛍光測光法により測定した.6因子中,最も初診時転移の有無に関係するのは細胞核DNA量であり,最も影響の小さいのは治療歴であった.治療歴を除く5因子で30例中24例が正しく判別された.原発巣の細胞核DNA量の高い悪性黒色腫は高い転移能を有することが示唆された.
  • 飯島 茂子, 小辻 智恵, 大塚 藤男
    1995 年 105 巻 5 号 p. 717-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    68歳女性.転移巣の検出にN-isopropyl-p-[123I]-iodoamphetamine(以下IMP)シンチグラフィが有用であった右第1趾の悪性黒色腫の1例を報告した.この転移巣は,右足関節部の9×4mm大の皮下結節で,ガリウムシンチグラフィでは描出されなかった.さらにIMPシンチグラフィでは,3個の鼠径リンパ節転移巣が描出され,7×2mm大の小さいものまで可能であった.IMPシンチグラフィは,ガリウムシンチグラフィに比べてメラノーマ特異性が高く,画質が良好なことより,本腫瘍のより小さい転移巣の検出に優れており,今後ガリウムシンチグラフィと適切に組み合わせることにより,転移巣をより確実に把握することが可能と考えた.
  • 吉沢 公人, 森嶋 隆文
    1995 年 105 巻 5 号 p. 723-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    われわれはガーゼ滲出液中5-S-CD値測定による悪性黒色腫の術前診断法の開発を試み,次の興味ある結果をえた.本法は皮膚の湿潤性隆起性~潰瘍性病変に24時間乾ガーゼを圧迫固定し,鼻腔や腟ではタンポナーゼし,ガーゼ滲出液中5-S-CD値をHPLCで測定するという病変に対して侵襲の少ない方法である.悪性黒色腫群では皮膚色素性原発性黒色腫10例中7例(SSM 2例,NM 5例)で,滲出液中5-S-CD値は検出可能で,その平均値は744.8ng/PCAml(167.1~3,196.2)と高値で,ALM3例は検出不能であった.皮膚無色素性の原発2例と転移1例の5-S-CD値は平均953.1ng/PCAml(434.3~1,294.0)であった.粘膜黒色腫例では腟原発例が31,234.5ng/PCAml,鼻腔原発例が3,429.3ng/PCAmlと皮膚黒色腫に比し高値であった.併せて行った蛍光法で,全例蛍光性黒色腫細胞の存在を確認しえた.非黒色腫群で,滲出液中5-S-CD値が検出可能であったのは色素性基底細胞上皮腫4例で,その値は28.0ng/PCAml(11.4~38.1)と皮膚黒色腫例に比し低値であった.以上の結果から,滲出液中5-S-CD値が100ng/PCAml以上の高値を示せば,色素性あるいは無色素性病変が黒色腫である可能性が大で,本法は侵襲の少ない悪性黒色腫の術前診断法であると考えられた.
  • 古屋 勉, 曺 慶洙, 玉置 邦彦
    1995 年 105 巻 5 号 p. 733-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    妊娠性疱疹(HG)の2症例を報告した.症例1は28歳経産婦.第2子妊娠6ヵ月に顔面に瘙痒を伴う浮腫性紅斑が出現し,漸次,躯幹,四肢に拡大した.全経過を通じて水疱を認めなかったが,蛍光抗体法所見にて診断.妊娠に伴う瘙痒性皮疹の診断に際しては,積極的に蛍光抗体法を行い,HG軽症例を鑑別する必要があると思われた.症例2は,27歳初産婦.第1子分娩3日後に胸腹部に,瘙痒性の,水疱を伴う環状紅斑が出現し,漸次,四肢へ増数拡大した.組織学的に表皮下水疱を認め,蛍光抗体直接法にて,無疹部基底膜部および表皮下層細胞表面にC3の沈着を認めた.分娩後に発症し,分娩後初めての月経より9ヵ月間,月経毎皮疹の再燃が見られており,極めてまれな症例であると思われた.
  • 大浦 一, 野本 正志, 浦野 芳夫, 荒瀬 誠治, 村山 力
    1995 年 105 巻 5 号 p. 741-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
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    右第Ⅱ指指尖部に潰瘍と同指基部に皮下硬結を認めたリンパ管型非定型抗酸菌症の58歳男性例を報告した.外傷の既往は明らかで海釣りに行った時,魚の背ビレが指尖部にささり潰瘍となった.病理組織学的には真皮に肉芽腫性炎症を認め,組織培養で抗酸菌集落を認めた.抗酸菌鑑別のために従来よりの同定法と,今回新たにDNA-DNA hybridization法を試みたがいずれの同定法でも分離菌はMycobacterium marinumと同定された.DNA-DNA hybridization法は迅速かつ簡便で抗酸菌の同定に有用な検査法であると考えられた.
  • 1995 年 105 巻 5 号 p. 747-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
  • 1995 年 105 巻 5 号 p. 808-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
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