接触性過敏症の実験モデルとして,マウスを用い DNFB (dinitrofluorobenzene) の塗布感作後, DNFB を塗布した耳翼の腫脹を指標とする方法によって,以下のような所見が得られた. 1. DNFB 1回塗布感作法によって成立する接触性過敏症は,反応の時間的経過,ならびに病理組織学的所見から,いわゆる遅延型過敏症に属する反応であった. 2. adult thymectomy により,反応性は減弱した. 3.感作処置前後に摘牌を行ったが,接触性過敏症成立には影響を及ぼさなかった. 4,副腎皮質ホルモンの大量投与では,感作処置前に投与した場合,むしろ反応増強がみられ,感作処置当日,感作1日後に投与した場合にも,反応の減弱は著明ではなかった. 5) cyclophospharaideを大量静注投与した場合は,感作前,特に感作2日前に投与された群で,著明な反応増強並びに持続延長が認められた他,組織学的所見においても,著明な単核細胞浸潤が認められた. 以上の実験成績から,マウスにおけるDNFB接触性過敏症の成立には,T cell が関与していることが示されたとともに,B cell 系が特異的あるいは非特異的に suppressor cell もしくは抑制作用をもつ抗体として,作用している可能性が示唆された.
抄録全体を表示