重症多形滲出性紅斑という難病の研究班は重症薬疹であるStevens-Johnson症候群(SJS)とtoxic epidermal necrolysis(TEN)を対象とする研究班である.薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome,DiHS)は研究対象とはなり得るが,指定難病には含まれないという複雑な事情がある.本研究班が有する本質的な問題点を論じつつ,2016年に策定された新たな診断基準や将来の方向性についても言及した.
平成26年5月に「児童福祉法の一部を改正する法律」が成立し,それまでの小児慢性特定疾患治療研究事業が,平成27年1月1日より新しい小児慢性特定疾病対策として全面施行された.この法改正及びその後の検討により,対象疾病が大幅に増え,付帯事業も充実が図られた.本稿では,これらの制度改正により,慢性疾病を有する子どもとその家族のおかれる支援の状況がどのように変わったのかについて,小児慢性特定疾病対策の変更点を概説すると共に,当該対策のこれからについて紹介する.
皮膚癌の早期発見につながる有効な啓発活動の方向性を検討する目的で,皮膚腫瘍を主訴として当科を初診した患者1,179例の受診動機を調査した.受診動機を本人(自覚症状,他病のついで等),他人(家族の勧め,診察時に発見等),メディア(テレビ,新聞等)の3群に大別したところ,それぞれ68%,20%,12%を占めた.メディアを介した皮膚癌の啓発は中年女性をはじめとする特定の層での有効性が示唆された.また,皮膚科クリニックにおける積極的な皮膚検診は皮膚癌の早期発見とそれに伴う予後改善に寄与する可能性がある.