日本皮膚科学会雑誌
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93 巻, 14 号
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  • 1983 年 93 巻 14 号 p. 1465-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
  • 若林 正治, 谷口 克, 富岡 玖夫, 岡本 昭二
    1983 年 93 巻 14 号 p. 1469-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    悪性黒色腫に対する生体の免疫機構,さらには免疫応答に関与する黒色腫抗原を免疫学的に解明するために C57BL/6 マウス由来のマウスメラノーマ細胞株 (B16) を用いて in vitro 一次反応系においてキラー T 細胞の誘導を行ない,キラー T 細胞の性状および,その抗原特異的活性を検討した. B16 メラノーマ細胞をマイトマイシンCで不活化したのち,同系 C57BL/6マウス脾細胞とともに5日間培養することによってメラノーマ細胞に特異的傷害活性を示すキラー T 細胞を誘導することができた.この際にメラノーマ細胞 (stimulator cell) と牌細胞 (respon・der cell) の比率を1 :50で混合し5日間培養した時に細胞傷害性は最高になる.また標的細胞とキラー細胞を1 :40の比率で12時間反応させた時に最も効率よく標的細胞破壊が行なわれることが判明した.この培養牌細胞集団を抗 Thy-1 抗体と補体で処理することによって傷害性が消失することから natural killer 細胞ではなく T 細胞によって標的細胞破壊が起こっていることがわかった.このキラー T 細胞は B16 メラノーマを特異的に傷害したが,同じ C57BL/6 マウス (H-2b) 由来の EL-4 リンフォーマ, C57BL/10 マウス (H-2b) 由来の S913 や A/J マウス (H-2a) 由来の S1509a 肉腫細胞に対しては何ら影響を及ぼさなかった.この腫瘍特異的活性は 51Cr で標識していない細胞を添加して行なった細胞傷害活性阻止試験においても確認された.したがって B16 メラノーマ細胞表面には同系免疫機構によって認識されるメラノーマ特異抗原が存在しており,マウス脾細胞を用いて,同系のメラノーマに対する in vitro 一次反応系が確立できたことは今後の腫瘍免疫反応の解析に大きく役立つものと思われる.
  • 井上 多栄子, 宮本 亨, 阿曽 三樹, 島雄 周平
    1983 年 93 巻 14 号 p. 1477-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    原発性限局性皮膚アミロイドーシス4例,苔癬型組織反応を呈する疾患6例について,真皮乳頭部~真皮上層に存在するアミロイド体とコロイド小体を組織化学的,走査島電顕的に観察した. 1)アミロイド体とコロイド小体の鑑別はアルカリ・コンゴー赤染色に対する偏光の有無によった.コンゴー赤で偏光を呈さないコロイド小体にチオスラピンT で白色の螢光を認めた. 2) SEM 用試料作成法において,田中らの O-D-O 法に更に改良を加えることにより,アミロイドフィブリル,コロイド小体のフィブリレの立体的像を得ることが出来た. 3)コロイド小体の割断面を SEM でみると,小型のものは円形~楕円形をとるが,大型化したコロイド小体は丸味を帯びた小体が癒合したような9μmX20μm(短径×長径)に達し,各小葉に分葉するかのごとき線が走っている,アミロイド体の割断面は1μmx7μm直径の卵形~楕円形の輪郭を示す部分と,その間をセメソト状に埋めた部分より成る.
  • 森岡 真治
    1983 年 93 巻 14 号 p. 1487-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    類天疱瘡における水疱形成機序について正常人皮膚器官培養法及び動物実験系を用いて検討した.本症類似の Dermal・Epidermal Separation (DES)は,培養系では類天疱瘡抗体 (IgG 分画)及び補体の添加では生じず,患者の新鮮水疱内容液添加によってのみ高率に形成された.この DES は α2-Macroglobulin 添加或るいは補体成分の非働化により阻害された.一方,モルモット皮膚に患者濃縮血清を局注すれば DES が形成されるが, Colchicine, Cytochalasin B , EDTA 等の,白血球遊走あるいは補体活性化の阻害剤を予め局注しておくとこの EDS は阻止された.以上より,類天疱瘡では,抗原部への抗体,補体の結合後,活性化された補体により多核白血球遊走が惹起され,これより発動される因子恐らくは蛋白分解酵素により EDS が生じることが示唆された.
  • 岩井 雅彦
    1983 年 93 巻 14 号 p. 1497-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
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    7症例9個の神経線維腫を体外培養し,位相差顕微鏡所見とともに,新しい S-100 タンパク染色所見を検討し,また微速度映画撮影により,動形態的検索も行なった. 1)全例ほぼ同じ成績が得られ,体外培養細胞は,基本的に Schwann 細胞系細胞と線維芽細胞系細胞の2系続からなる所見であった. 2)初代培養所見:従来の報告と異なり, Schwann 細胞系細胞は培養直後(24時間以内)から,マクロファージ様形態の細胞として遊出し,3日目頃から細胞質突起が現れ,次第に延長し,樹枝状形態の細胞となり, S-100 タンパク染色陽性であった.線維芽細胞系細胞は7日目頃から紡錘形ないし多角形の細胞として現れ,14日目から急激に増殖し, S-100 タンパク染色陰性であった. 3)継代培養所見:症例1では,記録的な約2年(726日)にわたる長期継代培養に成功した.継代を続けると, Schwann 細胞系細胞の数が減少して,線維芽細胞系細胞の数が増加してきた.さらに培養を継続した結果,約1年を過ぎる頃から,細長い突起を多くもつ細胞が優勢となり,1年半頃からほとんどすべてこの細胞となり, S-100 タソパク染色陽性であり, Schwann 細胞系細胞が示唆された.なお線維芽細胞系細胞が少数混在の状態であった. 4)微速度映画撮影所見:動形態を観察すると,Schwann 細胞系細胞と線維芽細胞系細胞の特徴は,さらに明瞭に観察できた.すなわち, Schwann 細胞系細胞は,初代培養において,マクロファージ様または樹枝状形態を呈し,相互に移行がみられ,運動性が活発で, dish 底面との付着性に乏しかった.長期継代培養したSchwann 細胞系細胞は,細長い細胞質突起をもち,その突起の運動性は,比較的活発であった.一方,線維芽細胞系細胞は,初代から紡錘形ないし多角形の細胞で, dish 底面との付着性が良く,アメーバ状のゆっくりとした動形態を示した.この所見は,長期継代培養後も変化はみられなかった. 5)培養初期に優位を占めること,さらに長期継代培養所見と合わせて,本腫瘍の腫瘍起源としては Schwann 細胞系細胞が主構成要素であり,線維芽細胞系細胞が二次的要素であることが示唆された.
  • 渡辺 晋一, 大原 国章, 久木田 淳, 森 茂郎
    1983 年 93 巻 14 号 p. 1513-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    特異な皮疹と無痛性の全身リンパ節腫張および多クローン性高ガンマグロブリン (以下 y-gl ) 血症を伴う22歳男性例と62歳女性例を記載した.この症例は2例ともたまたま施行された一般ルーチン検査で血沈亢進と高 γ・gl 血症を指摘されたもので,種々の検索にもかかわらず高 γ・gl 血症をきたす基礎疾患は発見できなかった.組織学的には,皮疹では小血管周囲性の強い形質細胞の浸潤を,リンパ節では皮質から髄質にかけて著しい形質細胞浸潤を認めた.これら形質細胞は光顕,電顕所見で異型性はなく,成熟した形質細胞であった.以上の所見から自験例を反応性の全身性形質細胞増多症と考えた.また自験例と同様な症例の報告があり,これらの症例を plasma cell type の Castleman リンパ腫 5)や高 γ・gl 血症を伴う lymphoid interstitialpneumonia7) と近縁な疾患,森らのいうところの idiopathic plasmacytic lymphadenopathy with polyclonalhyperimmunoglobulinemia と同じ範躊に属する独立疾患と考えた.
  • 友田 哲郎, 坂崎 善門, 小野 友道
    1983 年 93 巻 14 号 p. 1527-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    Isolated epidermolytic acanthoma の1例を報告した.症例:69歳男子,陰のうに数個の現状小丘疹を認め,組織学的に典型的に epidermolytic hyperkeratosis を示した.電顕的検索により病変部角層最下層にウイルス様粒子を認める細胞が観察され,本症の発症にウイルスが関与する可能性を示唆する所見を得た.
  • 寺尾 祐一, 石井 正光, 濱田 稔夫, 村田 良輔
    1983 年 93 巻 14 号 p. 1533-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    皮膚症状を伴わない脱髄性疾患である Alexander 病の皮膚を生倹し電顕的に観察した.その結果,皮膚神経軸索の空胞形成及び myelinの 層状構造の変化が認められ,診断上有用な所見と考えられた.
  • 須藤 成章, 高橋 省三, 五十嵐 良一, 諸橋 正昭
    1983 年 93 巻 14 号 p. 1537-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    成人 T 細胞白血病の患者の皮疹部の組織浸潤リンパ球の subset の検索を行なった.方法はリンパ球に対する OKT シリーズのモノクローナル抗体を使用し,間接法による酵素抗体法を施行した.その結果から浸潤リンパ球の大部分は OKT3 および OKT4 に陽性を示し, helper/inducer T cell と同じ膜抗原を有することが判明した.これらの細胞は表皮内へも浸潤がみられた.この結果は OKT シリーズのモノクローナル抗体による検索の限りにおいては mycosis fungoides や Sezary 症候群と同一の膜性状であり,3者の近似性を改めて示唆するものであった.
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