肉芽腫は,病原性微生物や不溶性異物に対する生体防御反応として生じた慢性炎症の一つであり,単球・マクロファージ系細胞が重要な役割を担っている.肉芽腫性疾患は特徴的な臨床像をとるものもあるが,一般的には多彩な臨床像をとるため,確定診断には皮膚生検による病理組織診断が欠かせない.肉芽腫は病理組織学的に,異物型・化膿型・サルコイド型・類結核型・柵状・間質型の6つに分類される.本稿では主な非感染性肉芽腫をこれら6種類の型に分け,それぞれについてその病態や臨床像との相関を系統立てて解説する.
非感染性肉芽腫は,未知の物質に対する特発性肉芽腫,代謝性・変性線維性成分に対する肉芽腫,異物肉芽腫,膠原病や血管炎に関連する肉芽腫に分類される.特発性肉芽腫にはサルコイドーシス,肉芽腫性口唇炎,顔面播種状粟粒性狼瘡など,代謝性・変性線維性成分に対する肉芽腫には痛風結節,環状肉芽腫,リポイド類壊死症などがある.膠原病や血管炎ではリウマトイド結節,palisaded neutrophilic and granulomatous dermatitis,多発血管炎性肉芽腫症などがある.それぞれの特徴について解説する.
過去5年間の皮膚科専門医試験問題から肉芽腫症に関する問題を抜き出し,サルコイドーシス,その他の非感染性肉芽腫症,深在性真菌症,抗酸菌感染症に分けて,そのポイントを解説した.単に専門医試験の受験対策としてだけでなく,日常診療において肉芽腫症をより身近に感じ,診断と治療の精度を高める一助となれば幸いである.
症例1:27歳男性.初診5年前発症のSLE.深在性エリテマトーデス(LEP)に伴う頭部の難治性脱毛,体幹四肢の多発性LEPを認めた.症例2:33歳女性.SLE,ループス腎炎に対する全身治療を行うも鼻尖部から鼻翼部の凍瘡様紅斑が残存した.症例3:17歳女性.難治性の蝶形紅斑と被髪頭部の紅斑を伴う多発性脱毛斑あり.いずれの症例も各種全身治療においても難治で,ベリムマブ開始後全身症状と共に皮膚症状も改善し,ステロイド漸減可能となった.治療抵抗性のSLEの皮膚症状に対するベリムマブの有効性を検証した.