日本皮膚科学会雑誌
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105 巻, 4 号
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  • 桑原 まゆみ, 米田 和史, 竹村 正男
    1995 年 105 巻 4 号 p. 567-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    乾癬および正常ヒト培養線維芽細胞をサイトカインにて刺激した場合の培養上清の好中球遊走能とIL-8濃度および線維芽細胞の各種のサイトカインに対する遊走能を測定した.IL-1β 1ng/mlあるいはTNF-α 100U/mlにて刺激した後24時間の乾癬皮疹部線維芽細胞培養上清の好中球遊走活性は正常線維芽細胞に比べて高く,乾癬無疹部線維芽細胞は皮疹部と正常線維芽細胞の中間の値を示した.同様の刺激を加えた乾癬線維芽細胞培養上清を抗IL-8抗体で処理すると,好中球遊走能はいずれも抗体の濃度依存性に抑制された.培養上清中のIL-8濃度をELISA法にて測定した結果,IL-1βあるいはTNF-α刺激後3時間後により明らかな濃度の上昇が認められた.一方乾癬線維芽細胞培養上清中のIL-8活性を測定すると,IL-1β刺激では乾癬線維芽細胞の皮疹部が正常線維芽細胞に比べて有意に高いことが認められ,TNF-α刺激では乾癬皮疹部,無疹部ともに正常線維芽細胞に比して有意に高値であった.各種サイトカインに対する正常および乾癬線維芽細胞の遊走能を検討したところTNFに対しては有意な遊走は認められなかったものの,IL-6,IL-8および表皮細胞培養上清に対しては乾癬線維芽細胞に有意な遊走能の亢進が認められた.以上の結果より,乾癬線維芽細胞は正常線維芽細胞よりも遊走能が亢進しており,またIL-8を主とする好中球遊走因子を正常よりも多量に放出することから,乾癬の初期病変の形成に関与している可能性が示唆された.
  • 延藤 俊子, 影下 登志郎, 幸田 衞, 植木 宏明
    1995 年 105 巻 4 号 p. 575-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    soluble intercellular adhesion molecule-1(sICAM-1)は悪性黒色腫などの悪性腫瘍や尋常性乾癬などの炎症性皮膚疾患の患者血清中において増加することが報告されている.今回,我々はSLE患者における血清sICAM-1を測定し,臨床症状および検査所見との関係を検討した.SLE患者31人とコントロールとして健常人47人から血清を得,2種の抗ICAM-1モノクローナル抗体(CL207,HA58)を用いたdouble determinant immunoassayによってsICAM-1を測定した.9人の患者においては経過を追い,数回にわたって採血を行った.結果として患者血清中のsICAM-1は健常人に比べて有意に高値を示し,血沈やIgG,抗核抗体等の検査所見とも相関関係が見られた.経過を追えた症例では血管障害性病変の程度とよく相関して変動しており,SLEの疾患活動性の指標の一つになり得ると思われた.
  • 永山 三千代, 松倉 俊彦, 川島 眞
    1995 年 105 巻 4 号 p. 581-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    四肢に扁平疣贅様病変を有する14例について臨床,組織,免疫組織化学および分子生物学的に検討した.臨床的に個疹の性状から分類すると,扁平疣贅と診断しえた3例,淡紅褐色調の軽度角化を伴う扁平丘疹で扁平苔癬との鑑別を要した3例,老人性疣贅との鑑別を要した4例,辺縁不整やや大型の淡褐色調扁平丘疹で老人性色素斑との鑑別を要した4例の4グループに分けられた.扁平疣贅を生じるヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の組織学的細胞変性効果(CPE)とされている空胞化細胞,いわゆるbird's eyeを,扁平疣贅と考えた3例と扁平苔癬と鑑別を要した3例の計6例に認め,うち4例には角層のbasket-weave appearanceも認めた.免疫組織化学的に,この6例では空胞化細胞の核に一致してHPV抗原陽性所見がみられた.さらに,生検材料より全細胞DNAを抽出しHPV3型DNAプローブを用いたblot hybridization法でHPV DNAの検出を行い,CPE,HPV抗原陽性の6例と,いずれも陰性1例の計7例でその存在が確認された.そのタイプはHPV3型のvariant 3例,HPV28型のvariant 2例である可能性が強く示唆され,残り2例はHPV 3型の亜型あるいは新しい型と思われた.以上より,四肢に生じた扁平疣贅も通常の扁平疣贅を生じるHPV 3,10,28型とある程度の相同性を有する型が関与していることが明らかになった.また組織学,免疫組織化学的検討は扁平疣贅の診断に有用であったが,1例ではCPE,HPV抗原ともに陰性であったにもかかわらず,分子生物学的にHPV DNAの存在を確認しえたことから,ウイルス粒子の産生が少なく組織学,免疫組織化学的にHPVの存在の確認が不可能な例では最終的な診断には分子生物学的検討が必要な場合もあると思われた.
  • 三原 祐子
    1995 年 105 巻 4 号 p. 591-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    16例の老人性皮膚瘙痒症の腰部病変部を生検し表皮・真皮境界部の皮膚神経を組織学,免疫組織学,透過電顕を用いて検討した.組織学的には表皮,真皮とも著変はなく,肥満細胞の脱顆粒像もなかった.また,一定視野当たりの肥満細胞数は健常者と差異はなかった.免疫組織学的には抗neurofilament抗体,抗substance P抗体,抗vasointestinal peptide抗体,抗somatostatin抗体,抗serotonin抗体,抗β-endorphin抗体が一次抗体として用いられ,いずれの抗体でも乳頭層から乳頭下層にかけて血管周囲性あるいは血管とは無関係に陽性線維がみられた.特に抗somatostatin抗体及び抗β-endorphin抗体陽性線維がまれながら表皮内にみられた.ただし健常者には表皮内神経はみられなかった.電顕的には神経の分布密度は健常者に比べて差異はなかった.表皮下神経はいわゆるSchwann cell-axon complexとして存在し,まれに表皮内にもみられた.表皮内では完全な裸の軸索となり表皮基底細胞に直接接しているものもあった.しかし軸索及びシュワン鞘に器質的変化はなかった.電顕的にも肥満細胞の脱顆粒像はみられなかった.以上より老人性皮膚瘙痒症の瘙痒の発生は皮膚神経の終末部及び前終末部の異常に基因するものではなく,肥満細胞の脱顆粒による機序とも異なるかもしれない.
  • 浜中 浩子, 水谷 仁, 北出 勘治, 中村 保夫, 清水 正之
    1995 年 105 巻 4 号 p. 601-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    平成5年12月から平成6年3月までの4ヵ月間の短期間に,スパルフロキサシン(スパラR)によると思われる光線過敏型薬疹を13例経験した.男性10例,女性3例,平均年齢60歳で,投与期間は14日から67日(平均33.3日),総投与量は2.8g~12.6g(平均5.9g)であった.光線過敏症発症例の1日投与量は200mgが大部分であるのに対し,同時期に同薬剤を投与されながら光線過敏症を発症しなかった症例では1日投与量がほぼ100mgであった.加えて,1日平均1時間以上の日光暴露が大部分の発症例で確認できたため,スパルフロキサシンによる光線過敏症の発症機序は,薬剤用量(1日投与量)及び日光暴露量に依存する光毒性反応である可能性が高いと考えられた.persistant light reactionを示した症例がなかったが,光線過敏症が4週から6週持続している症例があり,遮光を中止すると皮疹が再燃する症例もみられた.ニューキノロン系薬剤は光線過敏性反応を発現する可能性を有するが,本剤を服用中は日光暴露をさけるように患者に指導するとともに投与量の慎重な設定が必要と思われる.
  • 田尻 雅夫, 武藤 正彦, 廣田 洋子, 沖村 博史, 清水 隆弘, 麻上 千鳥
    1995 年 105 巻 4 号 p. 607-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    24歳,男,小児期より加療中であったアトピー性皮膚炎の抗原が検索の結果スギ花粉と同定された.スギ花粉によるパッチテストはas isおよび10%スギ花粉のいずれも陽性であった.スギ花粉パッチテスト24時間後全身の激しい瘙痒とともに紅斑,漿液性丘疹が多発した.Flare up現象陽性と判断した.Flare up現象陽性時,鼻汁・くしゃみ・鼻閉は出現しなかった.病理組織学的に初診時背部の苔癬化局面は真皮中層にリンパ球,組織球の浸潤を認めた.パッチテスト陽性部は真皮上・中層に主としてリンパ球浸潤が認められたが好酸球浸潤は初診時皮疹同様認められなかった.Flare up陽性部(0・狽フ紅斑)は真皮にリンパ球および好酸球の浸潤がみられた.スギ花粉パッチテスト後Flare up像ならびに瘙痒の出現の有無をアトピー性皮膚炎7例,非アトピー性皮膚炎3例計10例で検討したがいずれの症例でも認められなかった.本例をスギ花粉による接触皮膚炎症候群と診断した.
  • 藤野 雅世, 大森 正樹, 旭 正一
    1995 年 105 巻 4 号 p. 613-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    69歳男性に発症したCutaneous lymphadenomaの1例を報告する.眉間部に生じた1cm大の隆起性腫瘍であり,組織学的には真皮に病変の主座を置き,内部に上皮様細胞,樹状細胞,小リンパ球,核小体の明瞭な大型細胞をいれ,辺縁をbasaloid cellによって囲まれた大小の小葉が線維性の間質に境される形で島状に分布していた.本邦では現在までCutaneous lymphadenomaの報告例はないが,海外では27例報告されており,本例と同様に再発はないとされている.
  • 小池 且弥, 高橋 英俊, 橋本 喜夫, 中尾 稔, 宮本 健司, 飯塚 一
    1995 年 105 巻 4 号 p. 619-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    34歳,男.左上腕部のダニ刺咬16日後から,同部位に浮腫性紅斑が出現してきた.紅斑中央部の生検皮膚片より,ボレリアの分離培養に成功した.分離株の解析の結果,ライム病患者からの培養株としては本邦で初めてBorrelia afzeliiと同定した.
  • 1995 年 105 巻 4 号 p. 624-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
  • 1995 年 105 巻 4 号 p. 631-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
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