日本皮膚科学会雑誌
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111 巻, 11 号
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生涯教育講座
  • 田中 洋一
    原稿種別: 生涯教育講座
    2001 年 111 巻 11 号 p. 1565-1570
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2014/12/27
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    In a variety of skin diseases, tissue eosinophilia is observed. However, the mechanism of eosinophil infiltration into the skin remains to be clarified. Interleukin-5 (IL-5) is well known as an important eosinophil chemotactic factor. To date, a number or chemokines that potently chemoattract eosinophils, such as eotaxin, eotaxin-2, eotaxin-3, regulated upon activation in normal T-cells expressed and secreted (RANTES), macrophage inflammatory protein-1 α (MTP-1 α), monocyte chemotactic protein-3 (MCP-3), MCP-4 and MCP-5 have been reported. Among them, eotaxin is a selective and strong chemoattractant for eosinophls in vitro and in vivo. Local administration of eotaxin induces eosinophil accumulation in the skin, lung, and peritoneal cavity. IL-5 expression is observed in most skin diseases with tissue eosinophilia, including atopic dermatitis, bullous pemphigoid, and malignant lymphoma. Recently, eotaxin expression has also been demonstrated in atopic dermatitis, bullous pemphigoid, drug eruption, and malignant lymphoma. Cooperation between IL-5 and eotaxin is reported to strongly induce eosinophil infiltration into skin. IL-5 and eotaxin may be the most important factors in eosinophil accumulation in the skin.
原著
  • 湧川 基史, 藤山 美夏, 吉田 貴子, 安藤 巌夫, 高梨 真教
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 11 号 p. 1571-1576
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    Botulinum toxin type A(BTX-A)は,Clostridium botulinumによって形成される神経毒の1種であり,アセチルコリンの分泌を阻害することで神経筋接合部の活性を麻痺させる作用を持つ.その作用を生かし,欧米を中心に眼瞼痙攣,斜頸,表情皺,腋窩・掌蹠多汗症などの治療に用いられ,非常に有効な成績を残しているが,本邦では多汗症にBTX-Aを用いた報告はいまだなされていない.我々は,BTX-Aを用いた腋窩多汗症の治療効果について検討した.腋窩多汗症患者20名にBTX-A(Dysport®)を片側腋窩に50 unit(U)ずつ合計100 U皮内注射し,治療前と治療1カ月後の発汗量について桜井・Montagna発汗試験紙を用いて検討した.また,一部の患者については片側のみの治療とし,治療3カ月後までの発汗量について治療側,未治療側で比較検討した(half-side test).その結果,治療後の発汗量は全例で低下し,治療1カ月後の汗面積は平均で約6分の1にまで減少した.治療3カ月後の治療側での汗面積は,7例中4例では著明な発汗減少を保っていたが,2例においては再燃がみられた.ほとんど全例において,注射時の痛みがみられた以外,とくに副作用はみられなかった.以上より,BTX-Aは,腋窩多汗症の治療に大変有効な薬剤であることが確認された.
  • 前田 学, 山岸 篤至, 岩田 浩明, 山崎 隆治, 荒木 麻里
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 11 号 p. 1577-1582
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    9歳男児,平成12年6月11日悪寒,嘔吐,発熱のため近医処方の弟の感冒薬を内服,翌日39度以上の高熱のため坐薬使用,近医で抗生剤とアセトアミノフェン処方され内服,6月13日咽頭発赤と口内炎,眼球充血と顔面紅斑出現,6月14日咽頭痛と口唇糜爛,両頬部に水疱を伴う浸潤性紅斑出現,夕方発熱のため坐薬使用.舌の糜爛拡大し,前胸部にも紅斑拡大したために当院受診し,薬疹疑いで緊急入院.初診時両頬部を中心に水疱を伴う浸潤性紅斑がみられ,同様皮疹は胸部にも存在.口腔内は糜爛著明で開口不可能,口唇糜爛も伴い,眼瞼に浮腫性紅斑もみられ,眼球結膜充血(+).高熱,扁桃腺肥大(+).扁桃腺炎と薬疹疑いでヒドロコルチゾン250 mgを点滴静注,2日後よりデキサメサゾン6 mgに変更,開眼不能のために眼科にて連日処置,水疱は上半身から両下肢に数日の内に拡大,水疱及び糜爛形成は全身の約20%を占めた.デカドロンは徐々に減量し,皮疹は8月末には包皮部糜爛以外,色素沈着を残して略治した.病理組織学的には単核球浸潤を伴う表皮基底細胞の液化変性と水疱形成が著明であった.DLSTではアセトアミノフェン陽性,セフテラムピポキシル,セフィキシム共陰性.皮膚スクラッチ貼布試験では明らかな陽性所見なし.なお,発症3カ月後の全血のHHV-6(PCR)DNA法は陽性であった.
  • 矢島 千穂, 小林 仁
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 11 号 p. 1583-1589
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    患者は62歳,男で1998年7月17日に全身の鱗状皮疹と続発性に多発した局面状角化性皮疹を主訴として当院を受診した.既往歴に特記すべき事項はないが,家族歴で魚鱗癬様皮疹を有する者が母方の伯父をはじめとして自験例を含む3世代4男性に存在することが注目される.皮疹のうち,先行するほぼ全身の鱗状皮疹は生後間もなく発症,その後現在まで一貫して持続しているが,今回ステロイドサルファターゼ値を測定し,著しい活性低下が明らかになったことから,病理組織像,家族歴と併せ伴性遺伝性魚鱗癬と診断することができた.また約1カ月前から突然四肢を主に,ほぼ全身に出現,漸次増強傾向をたどっている厚い層状,銀白色の鱗屑に覆われた米粒大から胡桃実大までの境界明瞭な局面状皮疹は病理組織像からも尋常性乾癬と考えられた.以上,皮疹形態,病理組織像,臨床検査成績および経過を綜合的に判断,自験例を生来的に存在していた伴性遺伝性魚鱗癬に尋常性乾癬が併発したものと診断した.伴性遺伝性魚鱗癬はそれ自体比較的稀な遺伝性疾患であり,この30年間に本邦で報告された症例はわれわれの知りえた限りでは61例に留まる.さらに本症に魚鱗癬症候群の場合の部分症状と理解されている諸症状とは全く異なる,別の合併症を伴った症例の報告は非常に稀で,わずか11例に過ぎない.その具体的な内訳はレックリングハウゼン母斑症2例,筋ジストロフィー2例,自験例を含む尋常性乾癬2例,脳波異常,免疫異常,言語発達遅滞,多発性下腿潰瘍,内臓逆位各1例である.伴性遺伝性魚鱗癬はX染色体短腕遠位端p22.3領域に存在するステロイドサルファターゼ遺伝子の欠損が病因と考えられるが,これら合併疾患についてはいずれも遺伝学的ないしは病因論的な関連性を見い出すことができないことから偶発的な合併と考えられている.尋常性乾癬の合併についても同様遺伝病学的な関連性がみられず,単なる偶発的な合併と考えられる.しかし本邦における尋常性乾癬の単独発症率はおよそ人口1,000人に2人前後と考えられることから,調査母体としての症例を少人数しか得ることのできない伴性遺伝性魚鱗癬に直接当てはめることは危険であり,さらに多くの症例集積を待たずに推論することは困難ではあるが,自験例を含む2症例の存在を単なる偶発として見過ごすには多少の抵抗も感じられ,この両疾患の皮疹成立に拘わる角化機転に関し,遺伝病学的病因以外に何らかの共通因子が存在することを示唆しているようにも考えられる.
  • 常深 祐一郎, 松下 貴史, 長山 隆志, 高橋 毅法, 玉木 毅
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 11 号 p. 1591-1596
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2014/12/27
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    18歳,女性.麻疹の経過中,麻疹自体はほぼ治癒したと考えていた時期に高度な血小板減少を来した.骨髄生検にて血小板を含む血球貪食像を認め,virusassociated hemophagocytic syndrome(VAHS)と診断した.麻疹ウイルスによるVHASの報告は過去に4例しかなく稀であると思われた.また,麻疹の経過中に高度な血小板減少を来した場合,VHASも鑑別に入れ,骨髄の評価をする必要があると考えられた.
  • 谷口 裕子, 西岡 清, 加藤 卓朗, 浜 正勝, 荒 勝俊
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 11 号 p. 1597-1600
    発行日: 2001/10/20
    公開日: 2014/12/27
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    これまでに銭湯,プールなど裸足になる環境を歩くと,被験者の足底に白癬菌が付着することを報告したが,今回は会社社員寮およびロッカー室における菌の付着について検討した.対象施設は栃木県にある某メーカーの独身寮と同社のロッカー室(栃木県,東京都)で,白癬のない被験者が寮,ロッカー室の各所を裸足で10歩踏んだ後,Foot-press培養法を施行した.実験は夏季(2000年7月)および寮については冬季(1998年12月)にも行った.その結果,冬季,夏季とも多くの調査場所から白癬菌が分離され,季節による分離集落数には差がなかった.分離菌種はTrichophyton mentagrophytesがほとんどであった.分離集落数が多かったのは,男子浴室の脱衣室のジュータン,体重計,談話室のござ製カーペットであった.同寮には,事前の調査でFoot-press培養法により菌が分離された足白癬患者が生活しており,これらの患者より環境中に菌が散布されている可能性があると考えられた.一方,ロッカー室についても集落数は少ないが白癬菌が分離され,すのこなど靴を脱ぐ場所があると,白癬菌が散布されることが示唆された.
学会抄録
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