56歳,女.約10年間,落葉状天疱瘡に対してステロイドおよびカルシニューリン阻害薬を中心とした免疫抑制療法により加療されてきた.外出時に転倒し右膝蓋に裂傷を受傷した2カ月後,同部位に発赤と硬結が出現した.硬結は徐々に増大し,膿瘍や瘻孔を形成するようになった.皮膚生検を施行したところ,線維性被膜に覆われた膿瘍形成があり,Grocott染色で菌糸を認め,組織培養で
Scedosporium apiospermumが同定された.抗真菌薬内服により病変は緩徐に縮小している.外傷が契機となり,長期にわたる免疫抑制療法による免疫抑制状態が発症の背景になったと考えられた.
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