日本皮膚科学会雑誌
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90 巻, 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 犬山 勝郎, 桑原 宏始, 浜田 尚徳
    1980 年 90 巻 5 号 p. 397-
    発行日: 1980年
    公開日: 2014/08/21
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    慢性砒素中毒症に合併した Bowen 病と砒素角化症にっき光顕的,電顕的観察を行なった.自験例は,57歳男性.23歳時梅毒に罹患,砒素剤の注射を受けた.2年前より下口唇に腫瘤形成,また1年前から頚部に色素斑が出現,臨床所見,組織所見から慢性砒素中毒症に生じた砒素角化症と Bowen 病と診断,手術時に採取した口唇腫瘤部,腫瘤辺縁口唇部および頚部色素斑部を材料とした.光顕所見では多数の空胞細胞を認め,電顕所見でも3病変部に多くの nuclear body が認められ,また電子密度の高い放射状の核内封人体が観察され,砒素との関連性を推測した.
  • 橋本 公二
    1980 年 90 巻 5 号 p. 405-
    発行日: 1980年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    本邦における自己免疫性水疱症患者のHLA抗原を調査し,1)尋常性天疱瘡及び落葉性天疱瘡においていずれも HLA-A 10の増加を認め,両疾患のHLA抗原関連疾患感受性因子が共通している事が示された.また尋常性天疱瘡における,かかる結果は Krain らの Ashkenazi 系ユダヤ人についての報告と一致しており Ashkenazi 系ユダヤ人及び日本人の如く,正常人における HLA-A 10 の頻度が高い場合に,尋常性天疱瘡と HLA-A 10 との関連が明確になるといえる. 2)水疱性類天疣瘡では特定の HLA 抗原との関連は認められなかった. 3)ジューリング疱疹状皮膚炎では特定の HLA抗原との関連はなく,白人種でみられる HLA-B 8 は認められなかった.しかし,なお本邦症例では表皮真皮接合部の IgA 沈着パターンはほとんど線状であり,この型は Katz らの言う如く, HLA-B 8 と関連する lgA 沈着パターンの顆粒状のものとは別症の可能性が示された
  • 前田 秀文
    1980 年 90 巻 5 号 p. 411-
    発行日: 1980年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    さきに石川らが皮膚ムコ多糖(GAG)の組織化学的証明のために開発した FAC 液で前固定した標本についてルテ二ウムレッド(RR)染色を行ない,真皮線維間基質の GAG 構造を再検討するとともに,さらに一部の試料につき酵素消化による GAG の同定を試みた.1.正常皮膚では,線維間基質の RR 陽性物質は径30~70Åのフィラメントを中心に,それにさらに微細なフィラメントが170~400Å間隔で側鎖状に多数附着する,いわゆるシダ状構造を示した.この構造は,形態学的に軟骨で証明された proteoglycati aggregates(Rosenberg) に類似し,酵素消化で proteoglycan aggregates と同じヒアルロン酸が中心となり GAG・蛋白複合体が附着していることを確認した.さらに,膠原細線維周囲でも絨毛状フィラメント構造の RR 陽性物質が見られ,一部にデルマタン硫酸を含み,形態学的に線維間基質の GAG の側鎖フィラメントと密接な関連性を有しているものと思われる.2.皮膚硬化症(汎発性鞏皮症,汎発性モルフェア,成人性浮腫性硬化症)では,本質的に正常皮膚と類似の GAG 構造を認めた.3.それに対し,丘疹状ムチノーシスでは明確な側鎖部分を欠くフィラメント(ヒアルロン酸)の網状分布像か見られた.また全身性ヒアリノーシスでは,径460Åの粒子か950Åの間隔で附着した径50Åのフィラメント(ヒアルロン酸と思われる)の密な網状構造が見られ,さらにまた,いわゆる crossbanded structure との間に移行像が観察された.酵素消化の結果と合わせ,丘疹状ムチノーシスでは proteoglycan aggregatesの構造異常か,全身性ヒアリノーシスでは proteoglycan aggregates あるいは糖蛋白の構造異常が示唆され,全身性ヒアジノーシスに見られる cross-bandedstructure は proteoglycan aggregates あるいは糖蛋白の沈着物と推定される.
  • 吉永 花子, 山田 瑞穂
    1980 年 90 巻 5 号 p. 425-
    発行日: 1980年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    末梢血に小型成熟リンパ球様細胞の増殖がみられ,成人T細胞性白血病と診断された症例の皮膚腫瘍および末梢血を電顕的に観察した.末梢血の小型成熟リンパ球様細胞はいわゆるセザリー細胞より核の切れ込みが軽度で細胞質に集合性高電子密度顆粒を有し,菌状息肉症の初期の皮疹および良性の慢性皮膚疾患の浸潤細胞内にしばしば見られる細胞と類似している.皮膚腫瘍では細胞質にポリゾームの多い核小体の明瞭な大型芽球様細胞の均一な増殖がみられ Lukes-Collins の分類に従えば immunoblastic sarcoma に相当すると考えられた.
  • 石橋 明, 中條 知孝, 豊田 博
    1980 年 90 巻 5 号 p. 429-
    発行日: 1980年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    皮膚に特異疹を随伴した Histiocytic medullary reticulosis(HMR) の55歳男子剖検例と皮膚およびリンパ節の生検により HMR と推測された31歳男子例を記載した.剖検例については,生検皮膚の電顕所見ならびに剖検標本の各種脂質染色結果も報告した.光顕的ならびに電顕的所見を検討し, HMR の病理組織,本態につき若干の考察を加えた.
  • 田上 八朗, 大井 正俊, 山田 瑞穂
    1980 年 90 巻 5 号 p. 445-
    発行日: 1980年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    これまで皮表角層の水分保有状態を計量することは難しいとされて来たが,高周波に対する皮膚の抵抗の計測によりこれを迅速,正確かつ容易に測定できることを確かめた.
  • 花田 勝美, 山本 雅章
    1980 年 90 巻 5 号 p. 449-
    発行日: 1980年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    中心静脈栄養施行中みられた後天的 Zn 欠乏症3例について,毛髪,爪甲内 Zn の経時的変化を観察し,併せて,患者毛髪の光顕的観察,健常人毛髪断面の Zn 元素分析を試みた.その結果, Zn 療法後,毛髪,爪甲の Zn は血清 Zn に平行して上昇する傾向がみられ,とくに爪甲では Beau's line の出現を境として上昇を示していた.患者毛髪では毛髄の消失が著明であったが,健常人毛髪における X 線分析では毛髄にとくに高い Zn 分布はみられず,Zn 欠乏症患者毛髪の Zn 低下が毛髄の消失によるものでないことが知られた.毛髪,爪甲内 Zn 測定は,Zn 欠乏症の生体内 Zn蓄積を知る上で簡便な非観血的方法と思われた.
  • 1980 年 90 巻 5 号 p. 453-
    発行日: 1980年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
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