日本皮膚科学会雑誌
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82 巻, 8 号
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  • 竹内 健
    1972 年 82 巻 8 号 p. 495-
    発行日: 1972年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    苺状血管腫の増大傾向のある新鮮なものおよび褪色・萎縮しつつあるものを材料とし,両者の微細構造を電顕的に比較観察し,微細構造上の差異を明らかにした.内皮細胞のミトコンドリアとGolgi装置は血管腫の萎縮とともに減少したが, pinocytotic vesiclesや細胞質性突起は萎縮の進行とともに増加した.細胞質内の細線維は,新鮮例ではあまり多くないが,萎縮の初期には明らかに増加し,萎縮が高度になると逆に少量しか見えなくなった.次に,基底膜の動きをみると,新鮮例では多量の均質無定形物質として現われたが,萎縮の初期には多層の層状をなし,配列は不規則で断裂も見られた.萎縮が進むと規則正しい連続性の多層構造を示すに至り,さらに萎縮が進行すると,薄い1層の状態となり,基底膜のすぐ外側に膠原線維が出現した.苺状血管腫(strawberry nevus)に関する臨床的または組織学的な研究1)-5)はいくつかあるが,電顕的研究6)7)は少なく,特にこの血管腫の萎縮過程についての詳しい電顕的観察はまだない.著者は,苺状血管腫の新鮮なものと萎縮過程にあるものとをとりあげ,それらの徴細構造を電顕的に観察し,所見を比較し,両者の差異を明らかにすることを目的として本研究を行なった.
  • 大城戸 宗男, 杉原 郁子, 大野 盛秀
    1972 年 82 巻 8 号 p. 511-
    発行日: 1972年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    表皮内でコレステロール,リン脂質,脂肪酸などの脂質が合成されているのはよく知られている.それらがacetyl CoA から合成されるのも分っている.しかし,このacetyl CoA がacetate より由来するのか, pyruvateに由来するのかについては議論が多く,いまだはっきりしていない.この研究の目的は,表皮内脂質がはたしてacetateに由来するかどうかをみることにあった. まず(1)ラット表皮とacetate-14Cをin vitroでインキュベートし,表皮内脂質へのアイソトープのとり込みを調べたところ,ごくわずかながらその合成が認められた.ついで種々の補酵素系の添加をおこなったが,脂質合成能の促進はわずかなものにすぎなかった.そこで(2)さらにラット肝より煮沸して得た抽出液を作成した.これ自体に脂質合成能はない.この抽出液をin vitro に添加すると,ラット表皮でacetate-14Cよりのコレステロ-ル,リン脂質および脂肪酸の合成がいちじるしく上昇した.そのため,ラット表皮ではacetateよりの脂質合成経路は存在すると結論した.さらに,この活性促進因子がなにであるかについての考案を試みた.
  • 宮里 肇
    1972 年 82 巻 8 号 p. 519-
    発行日: 1972年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    乳房外Paget病62例(66病巣)について臨床的事項および病理学的所見を検討した.初診時病巣内に硬い腫瘤を触れたものは19例(30%)であった.予後追求できた50例のうち本症の全身転移による死亡は10例に及んだ.また多臓器癌を併発した症例は5例であった.U.I.C.C.に準じたTNM分類試案により経過および予後をみると,有棘細胞癌の成績に酷似した.組織学的には表在性50%面皰癌24.2%浸潤癌25.8%であった.硬く触れた腫瘤の組織像はすべて浸潤癌あるいは面皰癌の像を呈した.腫瘤を触れなかった症例でも34%に浸潤癌あるいは面皰癌の組織像を示した.浸潤癌の初期像を表皮内病巣由来(I型)と面皰癌由来(II型)に分類した.また浸潤癌は組織構築上,腺癌あるいは単純癌の像を呈した.浸潤癌の組織化学および電顕所見は表在性乳房外Paget病と根本的な差異はみられなかった.以上により乳房外Paget病は初期には表皮内あるいは汗管内でcarcinoma in situ の状態にあり,進行とともに表皮内では増殖型,汗管では面皰癌の像を呈し,さらに進行すると浸潤癌の像を呈するようになり,リンパ節あるいは全身に転移を来たすようになると考えた.著者は乳房外Paget病を漠然と癌前駆症とするよりは癌(Paget癌)としてとり扱うことを妥当と考えた.
  • 大橋 勝, 加藤 雍子
    1972 年 82 巻 8 号 p. 541-
    発行日: 1972年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    急性エリテマトーデス1/8例,慢性エリテマトーデス8/13例に,真皮上層乳頭部で,電顕的観察により,アミロイド細線維塊を見出した.この細線維は超徴構造上,径70~100Å,入りみだれフェルト様構造を呈し,内部に小胞を認め,分枝せず,少量のコラーゲンの混入がある.この絹線維塊と周辺組織との関係ぱ,聞葉系細胞に一部分とりかこまれるか,または細胞と関係なしにも存在する.血管とは直接関係なく,コラーゲンは周辺に認められる.以上の所見は,アミロイド苔癖のそれに類似している.エリテマトーデス病変部皮膚で,その存在の知られている,ヒアリン,フィブリノイド,および形態上,類似性を有するマイクロフィラメントとの超微構造上の差異を論じた.
  • 1972 年 82 巻 8 号 p. 545-
    発行日: 1972年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
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