日本皮膚科学会雑誌
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92 巻, 11 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 勝俣 道夫, 比留間 政太郎
    1982 年 92 巻 11 号 p. 1135-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    11ヵ月男児の右上眼険にみられた小豆大,稗粒腫様小丘疹の集簇した小腫瘍につき報告した.病理組織学的には,真皮上層より中層にかけて10数個の嚢腫が密に集箇して認められ,その嚢腫壁は数層の扁平な上皮細胞よりなり,嚢腫壁上部に大形ケラトヒアリン顆粒,嚢腫壁下部に毛包,嚢腫内にケラチン様物質および毛の断端が認められた.この組織像は1956年 Epstein and Kligman が報告した毛包脂腺系由来の稗粒腫に類似し,その臨床像および病理組織像より,本症例を集簇性稗粒腫と仮称した.
  • 川岸 郁朗
    1982 年 92 巻 11 号 p. 1139-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    乾癬皮疹部では角層下の microabscess の部に IgG ,分泌型 IgA (SIgA) を中心とした抗体の存在と補体の alternatepathway および classical pathway による反応の関与がみられ,表皮真皮結合部(D-E junction')には secretorycomponent (SC)が沈着している.著者はこれらの現象の出現機序について,尋常性乾癬患者の早期疹,完成疹生検組織における炎症性浸潤細胞を蛍光抗体法および peroxidase 抗体法を用いて検討した.蛍光抗体法では乾癬皮疹の真皮乳頭部に SC 保有細胞がみられた.これらの細胞には重染色法の所見から SC 単独保有細胞と IgA-SC の両者を有する浸潤細胞が区別された. peroxidase 抗体法による所見では,SC および lgA 保有細胞はIgG, IgM および C3 保有細胞に比べて多く,また対照として検討した貨幣状湿疹病変部における SC および lgA 保有細胞よりも多く検出された.表皮細胞層では角層部のmicroabscess 部を除いて,SC の存在はみられなかったことから, D-E junction における SC の沈着は浸潤細胞に由来することが推定され,また lgA 保有細胞も多く,本症患者における高 lgA 血症との関係についても何らかの関連があるものと考えられる.
  • 嵯峨 賢次, 木造 敬, 加藤 光子, 西尾 千恵子, 神保 孝一
    1982 年 92 巻 11 号 p. 1147-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    表皮内にも黒色腫細胞の存在する転移性黒色腫,いわゆる Epidermotrop icallymetastaticmalignant melanoma (ETMMM)と原発性黒色腫との鑑別を目的として ETMMM の3例を組織学的に検討した. ETMMM の組織学的特徴は以下の通りである. 1)真皮内の腫瘍細胞の圧迫により表皮は薄くなり,真皮乳頭層は拡大し,周辺の表皮突起は内側へ向って延長している. 2)真皮内に内皮細胞に囲まれた腫瘍細胞が存在する.3)真皮内の腫瘍巣は表皮内と等しいか,あるいはそれよりも広い範囲にわたって存在する.4)リンパ球浸潤の程度が軽度である. ETMMM の肉眼所見は,1)半球状の丘疹であり,2)色調は一様で,黒ないしは黒褐色である. 3)周辺の紅斑は軽度であり,丘疹の周辺に色素斑を伴っていない. 以上の組織学的,肉眼的特徴を考慮することが ETMMM と原発性黒色腫との鑑別上重要である.
  • 石橋 康正, 井上 由紀子, 竹原 和彦, 久木田 淳, 村上 康文, 花岡 文雄, 山田 正篤
    1982 年 92 巻 11 号 p. 1153-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    一家族3例(12歳,15歳,42歳各男子)の Pringle 病患者に見られた顔面の adenoma sebaceum 及び頚部の局面状皮疹を体外培養し,それぞれの組織から得られた遊出非上皮性細胞(NEC)の DNA 量を,核10,000個及び細胞15,000個につき, cytofluororaeter により検索した. 1)細胞当りの DNA 量の分布曲線は,患者間及び病変の違いにより特に差を示さなかった.これに対し,2)核当りの DNA 量の分布曲線は,それらでは或る程度差を示し,同一病変間では変化の高度なもの程顕著であった.3)特に桑実状腫瘤からの NEC では 2C 及び 4C peak の低下,その幅の拡大及び S 期に相当する DNA 量の細胞の増加が明瞭であった.なお, 4) 4C を超える過剰な DNA 量を持つ細胞の存在を示唆する所見は得られなかった.
  • 浅野 翔一, 園田 優子, 相模 成一郎
    1982 年 92 巻 11 号 p. 1159-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    モルモット胎仔の背部皮膚を胎齢別・経時的に採取して,それぞれの皮膚内のリンパ管(LV)を光顕,電顕にて検索し,次の所見を得た. LV は皮膚の分化過程に伴い,まず胎齢25日頃にはじめて皮膚の深層に出現する.その後,同部に於て,次第にその管径を増して成熟化してくる.胎齢50日,即ち,表皮に角層が生じ,表皮下結合織が真皮と皮下脂肪織に分化する時期に至って成熟 LV としての構築を示す様になり,しかも弁を有する様になる.さらに,この時期には真皮上層にも細い幼若 LV が出現しており,これら両 LV は各々の部位で増数,発達して,胎生末期の胎齢60日には真皮上層の毛細リンパ管と皮下脂肪織下層の弁を有する LV よりなる上下2層のリンパ管網を形成するに至る.
  • 奥 知三, 田上 八朗, 岩月 啓氏, 山田 瑞穂
    1982 年 92 巻 11 号 p. 1171-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    炎症症状をともない,自然消槌する青年性扁平犯贅 (lvPJ) を,組織培養法を用いて解析を行なった. IVPJ 由来の表皮細胞には培養初期よりリンパ球,マクロファージの付着する傾向があり,5~6日目にピークを示した,この時期の表皮細胞には変性,細胞間の拡大,裂隙形成がおこり,生体内での変化と一致していた.また,同一患者より得た lVPJ と正常表皮を培養し,1週間後,末梢血リンパ球を添加した実験では, IVPJ 由来の表皮細胞にのみリンパ球が強い親和性を示したこと,lvPJ の T-リンパ球を抗T 血清,補体によって除去した実験では,しばらく正常表皮と同様の増殖がみられたことから,われわれはこの現象には細胞性免疫が重要な役割りをはたしていると考えた.
  • 1982 年 92 巻 11 号 p. 1177-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
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