乾癬皮疹部では角層下の microabscess の部に IgG ,分泌型 IgA (SIgA) を中心とした抗体の存在と補体の alternatepathway および classical pathway による反応の関与がみられ,表皮真皮結合部(D-E junction')には secretorycomponent (SC)が沈着している.著者はこれらの現象の出現機序について,尋常性乾癬患者の早期疹,完成疹生検組織における炎症性浸潤細胞を蛍光抗体法および peroxidase 抗体法を用いて検討した.蛍光抗体法では乾癬皮疹の真皮乳頭部に SC 保有細胞がみられた.これらの細胞には重染色法の所見から SC 単独保有細胞と IgA-SC の両者を有する浸潤細胞が区別された. peroxidase 抗体法による所見では,SC および lgA 保有細胞はIgG, IgM および C3 保有細胞に比べて多く,また対照として検討した貨幣状湿疹病変部における SC および lgA 保有細胞よりも多く検出された.表皮細胞層では角層部のmicroabscess 部を除いて,SC の存在はみられなかったことから, D-E junction における SC の沈着は浸潤細胞に由来することが推定され,また lgA 保有細胞も多く,本症患者における高 lgA 血症との関係についても何らかの関連があるものと考えられる.
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