日本皮膚科学会雑誌
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115 巻, 11 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
生涯教育講座
皮膚科セミナリウム 第7回 皮膚科の治療
  • 森田 明理
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第7回 皮膚科の治療
    2005 年 115 巻 11 号 p. 1591-1597
    発行日: 2005/10/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    Narrow-band UVB(NB-UVB)やUVA1(340~400 nm)などの新たな選択的な波長特性を持つ紫外線療法が登場した.波長ごとの特性を生かし,安全性と有効性を高めるために開発が行われた.NB-UVBは,311~312 nmに分布する非常に幅の狭い波長で,乾癬,アトピー性皮膚炎,白斑などに有効性が認められている.また,ソラレンを用いないため,遮光などの生活の制限もなく,胃腸・肝障害などの全身の副作用もない.さらに照射プロトコールも比較的容易なものである.もう一つの選択的紫外線療法であるUVA1は,UVAのうち長波長側340~400 nmを用いる.現在までにアトピー性皮膚炎,色素性蕁麻疹,限局性強皮症,全身性強皮症,皮膚T細胞リンパ腫などに有効性が認められている.
  • 渡辺 晋一
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第7回 皮膚科の治療
    2005 年 115 巻 11 号 p. 1599-1604
    発行日: 2005/10/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    新しいレーザー治療原理を一言で言うと,照射時間が長ければ長いほど瘢痕をきたす可能性が高くなる,ということである.最近はレーザー治療の拡大に伴い種々のレーザーが発売されているが,瘢痕形成をきたす可能性が高い日本人は,白人のデータがそのままあてはまるわけではない.レーザー治療の原理を理解し,皮膚病変を正しく診断できれば,新規に発売されたレーザーが日本人にも有用かどうかおのずとわかるはずである.
  • 瀬戸山 充
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第7回 皮膚科の治療
    2005 年 115 巻 11 号 p. 1605-1610
    発行日: 2005/10/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    生検および治療目的で皮膚外科的処置を要する機会は多いが,皮膚は外界に接する器官であるため,その術後瘢痕はできるだけ目立たない様にしなければならない.また反面,瘢痕形成をおそれる余り,必要な生検を控えたり,簡単な治療的皮膚外科が行えないようでは心許ない.小さくきれいな瘢痕にするために,皮膚科医にとって必要な基本的外科的手法を述べた.
原著
  • 阿部 俊文, 安齋 眞一, 木村 鉄宣
    原稿種別: 原著
    2005 年 115 巻 11 号 p. 1611-1613
    発行日: 2005/10/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    脂漏性角化症と診断した481例について,脂漏性角化症における重要な病理組織学的所見である角質囊腫と表皮内付属器との関連を病理組織学的に検討した.280例(58.2%)に角質囊腫と正常毛包の連続,あるいは,角質囊腫内容物に毛が存在するという毛包との関連が,33例(6.9%)に角質囊腫が真皮内エクリン汗管と連続しているというエクリン汗管との関連が,そして,13例(2.7%)に毛包とエクリン汗管の両者との関連があった.両者との関連は,すべて同一病変内の異なる部位で認められた.今回の結果より,脂漏性角化症における角質囊腫は,付属器上皮における腫瘍細胞の増殖により形成されると考えた.
  • 花川 佳子, 藤山 幹子, 花川 靖, 村上 信司, 橋本 公二, 小松 奈保子
    原稿種別: 原著
    2005 年 115 巻 11 号 p. 1615-1621
    発行日: 2005/10/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    Netherton症候群は,曲折線状魚鱗癬,結節性裂毛,アトピー素因を3徴候とする症候群である.原因遺伝子は,角層のセリンプロテアーゼインヒビターであるlympho-epithelial Kazal-type related inhibitor(LEKTI)の一種で,セリンプロテアーゼインヒビターのKazal-type5(SPINK5)をコードする遺伝子である.遺伝子異常の結果,角層が過度に剥離し皮膚のバリア機能の破綻を生じることが,Netherton症候群の病態を形成すると考えられている.遺伝子診断によりNetherton症候群が診断されるようになると,アトピー素因以外の徴候がそろわない症例もあることが明らかになってきた.今回我々は,小児アトピー性皮膚炎におけるタクロリムス軟膏の外用試験において血中濃度が著しく上昇したため本症を疑い,遺伝子診断の結果,三徴候のそろわないNetherton症候群と診断した症例を経験した.
  • 山口 淳, 安齋 眞一, 塩見 達志, 木村 鉄宣
    原稿種別: 原著
    2005 年 115 巻 11 号 p. 1623-1628
    発行日: 2005/10/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    37歳,男性.5年前よりある背部の結節.結節は単発で径1 cm,常色,表面平滑で有茎性であった.病理組織学的には紡錘形細胞が束状に増殖する部分と管腔構造が集簇した部分とから形成されていた.紡錘形細胞には大きな核を持つものと小さな核を持つものがあったが,核分裂像はなく,紡錘形細胞の核のpallisadingやいわゆるVerocay bodyもなかった.特殊染色では管腔内の細顆粒状あるいは細線維状物質はコロイド鉄染色で陽性であった.免疫組織学的には紡錘形細胞は抗S-100蛋白陽性,抗AE-1/AE-3抗体陰性.管腔の上皮細胞は抗synaptophysin抗体陽性,抗S-100蛋白陰性であった.本症例における腫瘍の基本構築はneurofibromaであり,glandular schwanomaと対比して考えるとglandular neurofibromaとすべき症例と考える.
  • 簗場 広一, 中川 秀己, 山田 昭夫, 押味 和夫
    原稿種別: 原著
    2005 年 115 巻 11 号 p. 1629-1633
    発行日: 2005/10/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    HCVによる慢性肝炎,シェーグレン症候群を伴う71歳男性.2002年末頃より,両肘頭,膝蓋部に皮内結節を伴う紅斑が出現した.2004年6月初診時,両肘頭,両膝蓋部に対称性に淡い紅斑が見られ,紅斑内に米粒大から小豆大の紅色皮内結節が多発していた.病理組織学的には真皮全層にわたるleukocytoclastic vasculitisの像を呈していたため,持久性隆起性紅斑と診断した.皮疹はdiaminodiaphenyl sulfone内服が奏効した.また,自験例は2002年10月より好中球減少が出現し,血中抗好中球抗体の存在が証明されたため,自己免疫性好中球減少症と診断されていた.持久性隆起性紅斑の発症機序は不明であるが,自己免疫疾患を合併することが多くその発症には何らかの免疫学的異常が関与していることが推測されている.自験例のように自己免疫性好中球減少症,シェーグレン症候群に合併した症例はきわめて珍しく,その発症機序を考える上で興味深いと考えられた.
  • 榎並 寿男
    原稿種別: 原著
    2005 年 115 巻 11 号 p. 1635-1641
    発行日: 2005/10/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    Narrow-band UVB(以下NBUVB)単独療法あるいはNBUVBとカルシポトリオール軟膏との併用療法が難治性の汎発型尋常性白斑に対して有効であることが報告されている.我々はNBUVBの最少紅斑量(nMED)が大きいため決定できなかった汎発型尋常性白斑に対して,照射量を一定にした低量NBUVB療法が有効だった症例も報告した.今回はnMEDが非常に大きい分節型尋常性白斑1例,nMEDが平均値より低い汎発型尋常性白斑の患者2例およびnMEDがやや大きい局所型尋常性白斑患者1例における顔面あるいは頸部白斑の計4例に対して,この低量NBUVB療法を行い有効性を認めたので報告する.この療法は尋常性白斑の分類,nMEDの大小に関係なく主として顔面あるいは頸部の白斑で,白斑出現後早期の場合に行うと有効性が高く,出現した色素斑の色調と白斑周辺の正常皮膚との色調が良くカラーマッチしていて,この療法による皮膚障害は無く,より安全性が高い療法なので試みてよいと考えた.
学会抄録
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