ベーチェット病70名(完全型20,不全型47,疑わしい型3,男女比28 : 42)につき平均33ヵ月の経時的観察を行って,各病型,各症状の持つ経過上の意味を探り,併せて2,3の増悪因子,転帰,治療などにつき若干の検討を試みて,以下の結論を得た. 1)発病より第2症状新生までの期間あるいはアフタの単独先行期間,さらには症状新生の平均間隔の各々で完全型は不全型よりも一般に短い. 2)現病像の成立は,大半が初診以前であった. 3)初診時の病像は,その後の経過をよく示唆した. 4)皮膚粘膜眼の各症状では,罹病歴上早期に発現した症状ほど,以後に頻発する傾向がみられた. 5)陰のう潰瘍の経過上の反復回数は,他の皮膚粘膜疹よりも格段に少なかった. 6)妊娠出産は発病と増悪の一誘発因子であったが,慎重に対処すれば危険の回避は可能とみられた.7)転帰は,軽快33名47%,不定19名27%,悪化13名19%,死亡5名7%で,軽快,不定,死亡の各群には不全型が,悪化群には完全型が各々多数を占めた. 9)女性には相対的に高い発病年齢が多く,これらの例は転帰の悪いものが比較的高率であった. 10)病像の進展がゆるやかなものは一般に転帰良好であった. 11)転帰の悪い例では,発病から初診までが早く,その上初診以前に他機関を受診していることか多かった.
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