人表皮樹枝状細胞に関する組織学的電子顕微鏡的報告は多いが,同じ重層扁平上皮である人口腔粘膜樹枝状細胞についてその報告は少なく,特に電子顕微鏡的報告は,Zelickson and Hartmann(1962),Haim(1964),二階(1965),Waterhouse(1965),Hashimoto et al.(1966),Schroeder and Theilade(1966),宝田(1966),Squier and Waterhouse(1967),Schroeder(1969)らの報告があるのみである.また口腔粘膜において皮膚疾患に合併する病変に色素沈着症,悪性黒色腫等があり,口腔粘膜の上皮樹枝状細胞の研究は,いまだ多くは行なわれていないのが現状である.著者は人口腔粘膜各部位,すなわち口唇内面,頬織学的電粘膜,軟口蓋,舌粘膜,歯肉,硬口蓋の樹枝状細胞を組子顕微鏡的に系統的に検索した.
薬疹の発生機序,特に固定薬疹において皮疹を固定させる機序に関しては,まだ不明な点が多い.固定薬疹の皮膚顕微鏡的観察としては,これまでにGilje et al.の報告が見られるだけである.それも爪廓の血管像の観察記録だけで,皮疹部の検鏡は行なわれていない.固定薬疹以外の薬疹の皮膚顕微鏡的観察の記録には皮疹部の検鏡所見も若干あるが,詳しいものはない.筆者は,薬疹,ことに固定薬疹の皮疹部の末梢血管の動きを皮膚顕微鏡的に観察し,その病因を末梢血管の面から追求した.検索した事項は表1の通りである.以下に,その成績を述べる.