日本皮膚科学会雑誌
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100 巻, 7 号
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  • 高見 佳宏, 千葉 雅史, 高橋 誠
    1990 年 100 巻 7 号 p. 749-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
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    10例の有棘細胞癌における,γ-glutamyl transpeptidase(γ-GTP)の発現と,腫瘍の分化度との関連について検討した.γ-GTP活性の強度は,高分化型で高く,低分化型で低い傾向がみられ,γ-GTP活性の発現が,腫瘍の分化度に関連している可能性が示唆された.γ-GTP活性の腫瘍内局在は,かならずしも腫瘍の分化度を反映していなかった.皮膚癌において,γ-GTPは発癌のマーカーであると共に,癌細胞の異常な分化に関連するマーカーである可能性が考えられた.
  • 花田 勝美, 秋田 尚見, 橋本 功
    1990 年 100 巻 7 号 p. 757-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    マグネシウム欠乏性皮膚炎の発症機序を検討する目的で,マグネシウム欠乏ヘアレスラットを用い,血中ロイコトリエン(LTB4,LTC4,LTD4)の測定を行った.また,5-リポキシゲナーゼ阻害剤である塩酸アゼラスチンの皮膚炎抑制効果を併せて検討した.マグネシウム欠乏ラットで上昇をみたのはLTB4のみで,LTC4,LTD4は著明な変動を示さなかった.皮膚炎は塩酸アゼラスチン投与群において抑制され,その抑制程度は投与量に依存する傾向を示したが,LTB4の推移とは併存しなかった.すなわち,マグネシウム欠乏性状態ではLTB4の上昇を伴うが,皮膚炎との因果関係は明らかでなく,塩酸アゼラスチンの皮膚炎抑制効果はLTB4の産生阻害によらないことが示された.
  • 盛岡 奈緒子, 土田 哲也, 上田 純嗣, 飯島 正文, 紫芝 敬子, 小川 喜美子, 大路 昌孝, 石橋 康正
    1990 年 100 巻 7 号 p. 761-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    昭和49年~63年に当科で経験した男性全身性エリテマトーデス(SLE)22症例について,ARA1982年診断基準11項目を中心に臨床的考察を行った.皮膚症状としてはwide spread discoid lupus erythematosusを初発症状とする症例が14例(64%)と多かったが,nodular cutaneous lupus mucinosis3例,vesiculobullous LE1例など,比較的まれな皮疹もみられた.臓器症状では11例(50%)が何らかの腎症状を呈し,このうち6例はネフローゼ症候群を生じた.免疫学的検査では1例にC4A欠損が検出された.男性のSLEは症例数が少なく,現在まで臨床的に一定の傾向がQdめていない.当科の症例はいずれも多彩な臨床所見を呈し,SLEの典型例からややはずれた亜型が多いと考えられる.また経過中,病像が著しく変化する症例も多く,今後も注意深い観察を要する.
  • 吉池 久美子, 塩沢 恵美子, 山田 裕道, 種田 明生, 高森 建二, 小川 秀興
    1990 年 100 巻 7 号 p. 773-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    最近15年間に経験した尋常性天疱瘡症例の内,経過を充分に観察し得た32例につき,その治療法と予後との関係を中心に検討した.全ての症例を治療法によって4群に大別した.即ち①ステロイド単独使用群,②ステロイド+免疫抑制剤使用群,③血漿交換療法+ステロイドまたは血漿交換療法+ステロイド+免疫抑制剤使用群,④その他(金製剤,DDS等使用群)に大別し,各群についてその臨床経過を比較検討した.その結果,血漿交換療法を行なった群が皮疹の消失する率が高く,治療後の経過も最も良好であるという結論が得られた.血漿交換療法施行群は症状が高度でかつ抗体価が高く,ステロイドの使用できない合併症を持つ症例や免疫抑制剤に対する副作用を有する症例が多いだけに,今回の結果は血漿交換療法の天疱瘡治療における有効性を示すものとして非常に意義のあるものと考えられる.
  • 飯島 茂子
    1990 年 100 巻 7 号 p. 779-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    開院以来約11年間に,組織学的に悪性リンパ腫による皮膚病変と診断された31例につき,臨床・組織学的に興味ある点・電顕所見・免疫状態・治療などを検討した.①治療前の状態で原発巣と続発皮膚病変の細胞形態が違う例をLennertリンパ腫に認めた.②寛解後再発(約3年未治療)のTCLの1例に腫瘍細胞赤血球貪食像を認めた.③MFの1例は,末期において好酸球増多が病勢を反映した.④MF,TCL,ATLの電顕所見を検討し,ATL,MFに表皮内LCが腫瘍細胞と接触する像を,ATLの腫瘍細胞などの中にTRSを認めた.⑤ツ反・DNCB試験による免疫能は,A群はB群に比べて明らかに良いが,DNCB試験での正常率はA群でも20%に過ぎなかった.⑥A群の非特異疹は末期例に多く,白癬・カンジダ病などの真菌性疾患が多かった.帯状疱疹は検討した31例中5例に認めた.⑦A群の治療は,皮膚に病変が限局している時期には局所療法を原則にしており,煩雑ではあるが,反応の早さ,再発までの間隔,治療の無痛性,副作用などの点から,軟X線療法が局所療法として優れた方法と思われた.またIFN局注療法も試みるべき治療と思われた.
  • 三砂 範幸, 西 隆久, 元木 清久, 幸田 弘
    1990 年 100 巻 7 号 p. 793-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    それぞれ異なった臨床像のATL3例にγ型インターフェロン(IFN-γ)を全身投与し,臨床的観察ならびに皮疹における浸潤細胞の変化について観察した.Pre-ATLと考えられる症例では皮疹の長期間の寛解が得られたが,病勢が進展した症例では臨床効果は一時的で,間もなく再燃がみられた.消退傾向のみられる皮疹では,HE染色で3例ともに浸潤細胞の減少をみたが,免疫組織学的にはLeu3a+3b(CD4)陽性細胞の減少が著明であった.また,治療後に3症例全例にLeu7(HNK-1)陽性細胞の増加,うち2例にLeuM5(CD11)陽性細胞の増加がみられた.なお治療前にpre-ATLの皮疹においてのみ,浸潤細胞に多くのLeuM5陽性細胞が認められ,生体の腫瘍免疫能の高いことを示唆した.そして,IFN-γはこの症例に有用である結果となった.
  • 池田 志斈, 真鍋 求, 小川 秀興, 稲葉 裕
    1990 年 100 巻 7 号 p. 805-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    全国アンケート調査から得られた単純型およおび劣性栄養障害型表皮水疱症患者の身長・体重の値を統計学的に処理し,全国平均の値と比較した.その結果,1)単純型では女性の身長が全国平均値より有意(1%以下の危険率)に低い.しかし女性の体重,男性の身長・体重には有意の差を認めない.2)劣性栄養障害型では,男女とも身長・体重が全国平均値より有意(1%以下の危険率)に低い,などが示された.本疾患々者の成長発育状態及び栄養状態を把握し,十分な栄養を補給を行うことがなされるならば,本疾患々者の予後が比較的良好となることが期待できるものと思われる.
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