日本皮膚科学会雑誌
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69 巻, 2 号
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  • 石原 勝
    1959 年 69 巻 2 号 p. 85-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    1)エリテマトーデス(E.)の特に皮膚現象の発生に当つて皮膚素因をなす,或は局所的発生要約をなすものを求める目的でE.の主として慢性型症例と対照例とに施行した諸種皮膚反應,その他の結果として次のことを知つた.a)紫外線照射,フォルマリン,ヴァリダーゼ,トリプシリン皮内注射に依り惹起された炎症の持続日数はE.症例では対照例に於けるより明らかに長く,組織学的に観て血管並びに組織反に対照に於けるより強いものがある.b)紫外線照射試験に於てE.症例には対照に証明し難い表皮基底細胞の液状変性,対照に比してより強い基底膜の変形を認め,フォルマリン,ヴァリダーゼ及びトリプシリン反應に就てはE.症例に対照に比して是亦より強い膠原線維の変性が見られた.これ等諸反應の場合一定期間,一定強度の炎症が持続する際,臨床的,組織学研にE.本来の皮疹に一致する病変の発生,即ちKobner現象の発生を認め得た.c)アセチールコリン,アドレナリン反應も亦対照に於けるより軽度乍ら強く,毛細管抵抗値も対照に比し軽度低値を示すものがあり,即ち,皮膚血管機能には正常と異なるものがある.d)E.症例はヒスタミン,溶連菌菌体物質に対し対照に比しより強く反應する.亞急性,急性型では紫外線紅斑の持続日数が慢性型より更に長く,人工皮疹も一層生じ易い傾向があるが,他方アセチールコリン,ヒスタミン,フォルマリン等の即時反應は慢性型は勿論,対照例に於けるよりも弱く,斯菌反應型はHypo-或はAnergie狁態にあることを想わせる.毛細管抵抗は亞急性,急性型の全例に於て明らかに低下し,慢性型に比しても亦若干低下する.2)E.症例の臨床的事項を統計,観察した結果,慢性型皮疹の発生誘因として日光照射の他,循環障害,外傷等を重視すべきものと考える.3)急性,亞急性型の急性喚発期に血清抗ストレプトリジンO償の上昇を認めたが,慢性型にはこれを認めなかつた.4)Chloroquine服用によりE.症例に於ける各種皮膚反應は一般に減弱して対照例に於けるものに近ずく.然して対照例に於ても亦,Chloroquine服用に依つて各反應は一般に軽度乍ら減弱する傾向を示した.
  • 石原 勝
    1959 年 69 巻 2 号 p. 132-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    著者は今日エリテマトーデス,特にその慢性型の優れた治療剤とされているChloroquine,7-Chloro-4-(4-diethylamino-1-methylbutylaminoquinoline diphosphate,即ちResochin(Bayer)の同症に対する,及びその他各種の紅斑症,濕疹等の効果を自家経驗例に就て述べ,その投與法,副作用等を詳細に檢討した.今日尚不明とされているその作用機序に就ては,諸実驗並びに本剤の臨牀使用成績から見て対血管作用,即ち血管透過性抑制作用,抗ヒスタミン作用,抗アセチールコリン作用,並びにその抗炎症作用を重視すべきだと考える.
  • 長堀 篤二
    1959 年 69 巻 2 号 p. 147-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    わが教室においては,10数年来,難治とされている皮膚結核の治療について人型結核菌の菌体より分離抽出せる特異抗原性物質溶液をもつて特異ワクチン療法が試みられており極めて良好な成績を収め,その成績は既に丸山によつてb\々報告されている.從つてわが教室には皮膚結核患者が相当数集り,その臨床的経過を詳細に観察することができた.余は結核疹中,バザン氏硬結性紅斑(以下バザン氏病と略す)についてその本態を知らんとし種々の観点より観察した.余は5ヵ年余にわたりバザン氏病患者50例を経驗したが,これを基礎とし本症の■牀について多角的に種々な檢索を行つたので述べてみたいと思う.
  • 小堀 辰治, 石原 勝, 池永 実, 鳴海 淳郎, 姉小路 公久, 宮崎 順一
    1959 年 69 巻 2 号 p. 183-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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  • 荒川 忠良, 西浦 環
    1959 年 69 巻 2 号 p. 194-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    臨牀的に皮膚を詳細に観察しようとする場合,その性状の複雑さと,Variationの多いのに驚くとともに,往々にしてその記載に困難を感ずる.ましてこの性状を計測値として表現することは現状として殆ど不可能といつても過言ではあるまい.假りに,よく使われている「顔色」とか,「いろめ」という表現の意味する所を考えて見ても,その中には,血色の良し惡し,色の白黒,肌目の荒れ具合(表面の粗滑,疎密),濕い,光沢など順次に移行する無数の段階を示す因子が互いに組合されて含まれている.例えば單に色が黒いという表現の中にも,健康な感じ(小麥色,明るい褐色)から惡液質を思わせるドス黒い感じまでの無数の段階があり,白いという表現現の中にも餅肌といわれるもの,透き通るような肌合,或は白粉を附けたような表在性の白さもあるという具合である.そこで,皮膚の構造を考えて見ると,表層には無核のHornlamellenが幾層かあつて,中に空気も含まれる.2~3層の顆粒細胞の下には数層の棘細胞層があつて,その間にリンパ液が多く,共に透明体とはいゝ難い.これらは基底細胞層の色素によつて形成される暗黒の背景の前に位置しており,しかもこの背景は乳頭体の存在によつて波状となり,その間には毛細血管が入り,背景の色調に変化を與えている.いわば表皮は光学的にはtrubes Mediumを形成することにより,こゝで光線は散亂反射し(Ulphenomen nach Goethe-Brucke),背景の色調によつて色々の感じが表明されることになる.勿論この場合,顆粒層を重視する意見もあり(Unna),またその下層の有棘細胞層をも含めてTrubes Mediumをする人もあるが(小野),いずれにせよその厚さが皮膚の感じに影響することは間違いない.從つて皮膚に射入された光線がどの程度に皮内で散亂透過するかを知ることは,皮膚の透明さと名付けてよいかも知れないが,とにかく皮膚の1つの物理的性状を物語ることになる.そこで吾々は光線の皮内における散亂透過の程度(以下透光度という)を測定するため1つの装置を試作し,これを臨牀的に應用したので,その成績の大要を報告する.
  • 谷奥 喜平, 徳田 安章, 小泉 雄一郎, 山田 佳也, 中山 創生
    1959 年 69 巻 2 号 p. 200-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    現在市販されている抗生物質軟膏としては,ペニシリン(PC)軟膏,クロールテトラサイクリン(CTC)軟膏,オキシテトラサイクリン(OTC)軟膏,テトラサイクリン(TC)軟膏,クロラムフエニコール(CP)軟膏,エリスロマイシン(EM)軟膏,ロイコマイシン(LM)軟膏,バシトラシン(BTRC)軟膏,フラシオマイシン(FRM)軟膏,グラミジン・J(GRMN-J)軟膏,コリスチン(Colistin)軟膏j,ポリミキシン・B(PMX-B)軟膏等があり,これ等の合剤としてはBTRC-FRM軟膏,GRMN-DHSM(ジヒドロストレプトマイシン)軟膏,BTRC-Colistin軟膏等,更にFRMーハイドロコーチゾン軟膏がある.且これ等の軟膏基剤としては主として白色ワゼリン,親水ワゼリンであるが,極く一部では親水軟膏(CP),ソルベース(GRMN-DHSM)が用いられている.又その軟膏中の抗生物質濃度は大部分5mg/gで,一部では10mg/g(CP),又は30mg/g(TC系3剤)である.以上の如き抗生物質軟膏基剤が主として白色ワゼリンであり,尚その濃度が同じく5mg/gである理論的実驗的根據が殆ど知られていない.他方最近PC・アレルギーに於ける感作源,誘発源として抗生物質が注目されている.・に於て我々は抗生物質軟膏療法の実驗的研究を企てた次第である.我々は抗生物質軟膏の選擇は次の基準によつて行うべきものと考えている.即ち 1)当該抗生物質のin vitro抗菌力 2)原因菌の感受性 3)軟膏貼用局所皮膚の抗生物質濃度 4)軟膏中の抗生物質力價の持続性 5)軟膏からの抗生物質の遊離度 6)軟膏中の校正物質の協力作用 7)抗生物質軟膏の肉芽組織に対する影響 8)刺戟又は感作による接触性皮膚炎等アレルギーの発生頻度 我々はPC等13種類の抗生物質を夫々白色ワゼリン,親水ワゼリン,吸水軟膏,親水軟膏,ソルベース,カーボワックスに配伍した抗生物質軟膏に就て,以上の8項目を檢討して,次に述べるが如き結果並びに結論を得たから,・に報告する次第である.
  • S.W. ベッカー
    1959 年 69 巻 2 号 p. 251-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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    Microscopic examiantion of a !arge specimen of nevus of Ota revealed active epidermal and dermal melanocytes. Nevus of Ota appears to arise when the normal inhibition to pigment formation is removed. Perineural and vascular melanocytes were found in certain areas of the specimen. The significance of these melanocytes is not known.
  • 1959 年 69 巻 2 号 p. 21e-
    発行日: 1959年
    公開日: 2014/08/29
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