接触皮膚炎は大きく一次刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎に分けられる.組織学的には両者とも湿疹反応を呈する.一次刺激性接触皮膚炎は接触物質の機械的・化学的刺激などにより誘発される皮膚炎症で,アレルギー的機序は関与しない.アレルギー性接触皮膚炎はIV型アレルギーに分類されるアレルギー反応であり,T細胞,樹状細胞などを主体として様々な免疫細胞が複雑に絡み合い病態を形成する.接触皮膚炎は皮膚炎症の基本形であり,その病態理解を通し,様々な炎症性皮膚疾患の病態解明,治療開発につながることが期待される.
患者にはパッチテストの方法と必要性を十分に説明して同意を得る.原因を見逃さないために,接触皮膚炎の原因として疑わしい製品とともにJapanese baseline seriesを貼布する.判定には皮膚科医の湿疹を診る力を要し,刺激と陽性反応を区別して患者に過度な生活制限をかけないように留意する.テスト後は,結果をもとに再度問診をし,疑わしい原因を避けて症状が改善するか因果関係を確認するため経過観察を怠らない.
ジャパニーズスタンダードアレルゲンシリーズ(JSA)には5種類の金属試薬が含まれている.1994年以降集計されているJSAの陽性率をみると,近年硫酸ニッケル,金チオ硫酸ナトリウムの陽性率は高くなり,塩化第二水銀や重クロム酸カリウムは陽性率が低下している.男女別で陽性率をみると,硫酸ニッケルと金チオ硫酸ナトリウムは女性の方が陽性率が高く,重クロム酸カリウムは男性の方が陽性率が高い.
当院では良性・悪性腫瘍を問わず皮膚外科手術は全て中央手術室で行っており,多くは局所麻酔下での外来手術である.限られた手術枠の中でいかに効率良くかつ安全に手術を行うかが継続的な課題であり,これまでに手術材料のキット化,スタッフ間での分業化の徹底,クリニカルパスによる情報共有などの様々な工夫を講じてきた.その結果,現在では年間900~1,000件の皮膚外科手術を手術室で行い,全件数の2割近くを占めている.手術の回転効率を高め,かつ安全性を担保するための当院の取り組みを紹介する.
小学6年生から大学生の916名を対象に,授業時に調査票を配布,回収して疫学調査を行った.平均発症年齢は男性13.3歳,女性12.7歳で,有病率は中学3年生で87.3%と最も高く,生涯罹患率は95.8%以上と推定された.痤瘡への対処として医療機関を受診するものは16.2%で,1999年の調査での11.8%よりも高くなっていたが,依然低い割合だった.面皰の認知率は,知っている5.8%,聞いたことがある11.9%であった.受療率を上げるためにもさらなる疾患啓発活動の必要性を示唆していた.
53歳,女性.30歳代初めより両上眼瞼に自覚症状を欠く発赤と腫脹が出現し,徐々に増悪した.初診時,両上下眼瞼に淡紅褐色調の腫脹と皮膚の菲薄化を認め,生検で真皮弾性線維の減少と断裂があり,blepharochalasisと診断した.アセタゾラミド内服で症状は軽度改善した.本症は一過性の眼瞼浮腫を反復したのち,眼瞼皮膚の菲薄化を生じる場合が多い.国内外の本症81例の報告を集計した結果,反復性の眼瞼浮腫発作を欠き,持続的腫脹を呈した例は10%程度あり,眼瞼腫脹をみた際,念頭に置くべき一疾患と考えた.