1999年7月から2001年2月の期間に経験した水疱性膿痂疹(膿痂疹)34例とブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(Staphylococcal scalded skin syndrome,SSSS)6例から分離した黄色ブドウ球菌(黄色ブ菌)のコアグラーゼ型(コ型)と表皮剥脱毒素(exofoliative toxin,ET)の種類を,methicillin-sensitive
Staphylococcus aureus(MRSA)とmethicillin-resistant
Staphylococcus aureus(MRSA)に分けて検討した.その成績は①MSSA膿痂疹18例ではコI型が8株,全てET-Bを産生し,コV型が10株うち8株がET-Aを産生し,2株がET-AとBのdouble producerであった.②MRSA膿痂疹16例ではコI型が13株,全てET-Bを,コIII型が3株,全てET-Aを産生した.③SSSS 6例ではコ型はすべてI型であり,すべてET-Bを産生した.まとめると①膿痂疹,SSSSから分離した黄色ブ菌のコ型は,I型が26株(65%),V型が11株(27.5%),III型が3株(7.5%)であり,I型が最も多かった.②コI型はET-Bと,V型はET-Aと相関した.③コV型はMSSAのみから分離された.この結果から膿痂疹,SSSSにおいて,原因黄色ブ菌のコ型および産生ETの種類は,薬剤耐性の影響を強く受けていると考えられた.
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