日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
111 巻, 10 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
生涯教育講座
  • 神田 奈緒子
    原稿種別: 生涯教育講座
    2001 年 111 巻 10 号 p. 1471-1475
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    SLEは多彩な皮膚症状,臓器症状,異常検査所見を呈する全身性自己免疫疾患である.皮膚症状にはLEに特異的な皮疹と,LEに特異的ではないが多くの膠原病に共通して出現する非特異的皮膚症状があり,皮膚病変の解析は,SLEの早期診断や予後の判定に有用である.SLE患者血清には抗DNA抗体,抗U1 RNP抗体,抗Sm抗体,抗SS-A抗体,抗SS-B抗体など多種の自己抗体が検出され,あるものは臨床症状と相関し,予後判定の指標となる.近年,自己抗体に対応する自己抗原が明らかにされてきている.SLEの発症には,T,B細胞両系にわたる自己抗原に対するトレランスの破綻やサイトカイン系の異常が関与している.SLEの治療に際しては,患者の病態を的確に把握し,副腎皮質ホルモンなどの免疫抑制剤の全身投与が必要な症例を見極めることが大切である.抗リン脂質抗体症候群はSLEに合併することがあり,抗凝固療法の併用を要する.
原著
  • 竹中 基, 松永 義孝, 片山 一朗, 岡田 茂, 田中 洋一, 伯川 純一, 山本 憲嗣, 石井 伸子
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 10 号 p. 1477-1483
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    我々は1995年より,毎年,長崎大学新入生を対象にアトピー性皮膚炎に関する健診を行っている.この6年間の健診結果を検討した.有病率は4.9~7.3%,平均6.2%と変動は見られなかったが,男性5.3%に比べ女性7.7%と有意に高率であった.しかし,重症度,家族歴,既往歴などには年次別,男女別の差違は認められなかった.発症年齢は9歳以下が70%以上であったが,10歳以後に発症する例が20%前後認められた.また,治癒年齢については,1998年度の健診では,5~15歳にわたって比較的広く分布していた.増悪因子についてみてみると,1996年~1998年はダニやほこりが50%以上の回答率であったが,2000年は41%に減少し,替わって発汗(54%)やストレス(18%)をあげた回答が多くみられた.アトピー性皮膚炎を含めた新入生全体から無作為抽出した学生における,血清中の非特異的IgE抗体価の陽性率は,1987年以降明らかな上昇は認められなかった(1987年:33.2%,1991年:37.2%,1995年:43.6%,1999年:37.0%)が,ヤケヒョウヒダニ,コナヒョウヒダニ,スギに対する特異的IgE抗体価の陽性率は1987年(順に36.8%,35.6%,23.6%)に比べ1995年(順に52.8%,53.6%,46.4%),1999年(順に54.0%,50.0%,43.7%)は有意に上昇していた.また,アトピー性皮膚炎学生を対象にしたパッチテスト,特異的IgE抗体価測定では,ダニ,ハウスダスト,カンジダにおいて陽性率が高率であったが,食餌抗原では低率であった.
  • 西嶋 攝子, 東田 敏明, 大島 茂, 中矢 秀雄
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 10 号 p. 1485-1488
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    1999年7月から2001年2月の期間に経験した水疱性膿痂疹(膿痂疹)34例とブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(Staphylococcal scalded skin syndrome,SSSS)6例から分離した黄色ブドウ球菌(黄色ブ菌)のコアグラーゼ型(コ型)と表皮剥脱毒素(exofoliative toxin,ET)の種類を,methicillin-sensitive Staphylococcus aureus(MRSA)とmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)に分けて検討した.その成績は①MSSA膿痂疹18例ではコI型が8株,全てET-Bを産生し,コV型が10株うち8株がET-Aを産生し,2株がET-AとBのdouble producerであった.②MRSA膿痂疹16例ではコI型が13株,全てET-Bを,コIII型が3株,全てET-Aを産生した.③SSSS 6例ではコ型はすべてI型であり,すべてET-Bを産生した.まとめると①膿痂疹,SSSSから分離した黄色ブ菌のコ型は,I型が26株(65%),V型が11株(27.5%),III型が3株(7.5%)であり,I型が最も多かった.②コI型はET-Bと,V型はET-Aと相関した.③コV型はMSSAのみから分離された.この結果から膿痂疹,SSSSにおいて,原因黄色ブ菌のコ型および産生ETの種類は,薬剤耐性の影響を強く受けていると考えられた.
  • 森 理, 橋本 隆
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 10 号 p. 1489-1493
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    当科通院中の難治性円形脱毛症患者,男性49名,女性76名の計125例について局所免疫療法の治療成績を解析した.先ずsquaric acid dibutylester(SADBE)にて治療を行った.SADBEにて感作不成立あるいは効果が認められない54症例では2,3-diphenylcyclopropenone-1(DPCP)に変更した.終毛が生えそろった症例はSADBEとDPCPの両者の合計で57例(45.6%)であった.局所免疫療法は有効ではあるが,いまだ満足出来るものではないと考えられた.脱毛症の型は予後因子として重要であったが,爪変化,罹病期間,発症時年齢は予後因子として統計的には重要でなかった.今回の結果からは局所免疫療法の有効性は50%以下でしかなく,特に汎発型と蛇行型に対する他の有効な治療法の確立が望まれる.
  • 川瀬 容子, 新見 やよい, 弓削 真由美, 川名 誠司
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 10 号 p. 1495-1499
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    小児汎発性膿疱性乾癬の2例に対し,シクロスポリンA(以下CyA)を投与したところ,短期間で症状が著明に改善した.症例1:6歳男児.5 mg/kg/dayより漸減.1カ月半で略治.漸減中に再発.症例2:14歳女児.4.4 mg/kg/dayより漸減し,2週間で略治.中止1年後の現在,膿疱の再発を認めない.過去の報告例を加えた小児の7症例につき,CyA療法の用法,効果,副作用,問題点を検討した.初期投与量は3~5 mg/kg/day,平均投与期間は4.75カ月であった.効果発現までの平均日数は11.8日で全例に有効であった.副作用は1例に歯肉肥厚と肝障害を認めたが,投与中止により速やかに改善した.減量,中止後の追跡調査をしたところ,7例中3例で皮疹が再発した.経過の不明な1例を除く2例で再投与により,皮疹は速やかに消退した.CyA療法は,小児汎発性膿疱性乾癬に対し,エトレチネートやステロイド内服に比べ副作用が少なく,短期間で効果を示す点で,有用な治療法と考える.ただし,減量,中止後の再発をどのように予防するかが,今後の課題である.
  • 清水 純子, 玉田 康彦, 中瀬古 裕乃, 矢野 克明, 松本 義也
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 10 号 p. 1501-1504
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    腫瘍細胞の浸潤範囲確認のため,乳房外Paget病(陰部)2症例にPhotodynamic diagnosis(PDD)を施行した.症例1は紅斑部にほぼ一致してPDD陽性であり,生検にて同陽性部に腫瘍細胞が認められた.症例2は再発性乳房外Paget病で,PDDにて,紅斑部のみならず一見正常にみえる植皮部にも赤色蛍光を認め,生検にて腫瘍細胞を確認した.これらの所見からPaget細胞の浸潤範囲はPDD陽性部にほぼ一致しており,PDDが腫瘍細胞の浸潤範囲の診断に有用であると考えられた.
  • 加藤 素生, 玉田 康彦, 松本 義也, 原 一夫
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 10 号 p. 1505-1509
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    19歳男性,約2年前より右大腿内側の結節に気付き,徐々に拡大隆起してきた.腫瘤は4.5×4×3 cm,弾性硬,褐色調,表面は多房性で八ツ頭状を呈していた.腫瘤は有茎性に突出し,その基部にも浸潤を触れる.MRIにて真皮より筋膜直上まで連続性に腫瘍影を認めた.HE染色では真皮中層から粘液腫様構造が結節性に増殖し,粘液基質内には血管の増生と散在性に紡錐形細胞を認める.粘液腫様の部分はアルシアンブルー(PH 2.5)染色陽性でヒアルロニダーゼで消化され,ヒアルロン酸が主成分と考えられた.免疫染色ではS-100蛋白,アクチンは共に陰性,Vimentin陽性,一部にCD 34陽性であった.以上より自験例をSuperficial angiomyxomaと診断した.
学会抄録
feedback
Top