日本皮膚科学会雑誌
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120 巻 , 10 号
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皮膚科セミナリウム 第65回 皮膚炎
原著
  • 大江 秀一, 水野 可魚, 加藤 典子, 石黒 亜紀子, 村田 知織, 山﨑 文和, 岡本 祐之
    原稿種別: 原著
    2010 年 120 巻 10 号 p. 2015-2022
    発行日: 2010/09/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    ソラフェニブは進行期腎細胞癌に対する分子標的治療薬として2008年4月に発売されたが,臨床試験の段階でも高率に副作用として皮膚症状をきたすことが報告されていた.今回,当院で2008年4月から11月までに進行期腎細胞癌に対しソラフェニブを投与された患者の手足皮膚反応を中心とした皮膚症状について検討した.症例数は8例(男性7例,女性1例)で,年齢は53歳~75歳(平均年齢65歳)であった.そのうち7例で手足皮膚反応を認めた.自覚症状の程度は軽度のしびれ感から足底の疼痛による歩行困難まで様々であった.病理組織学的には全例で角化細胞の帯状または個別壊死および真皮上層の血管拡張を認めた.真皮上層の単核球浸潤も高率にみられたが,浸潤細胞は少数であった.治療はステロイドの外用やビタミンB6の内服とともに,重症度に応じてソラフェニブの減量を行ったところ,7例中6例でソラフェニブの継続投与が可能であった.現在,ソラフェニブの使用頻度は増加しており,今後,副作用としての皮膚症状も増加することが予測されることから,ソラフェニブ投与患者の診察では常に副作用を念頭において注意深く観察し,副作用がみられた場合には早急に対応することが必要である.
  • 鬼澤 沙織, 中村 泰大, 石塚 洋典, 古田 淳一, 石井 良征, 川内 康弘, 大塚 藤男
    原稿種別: 原著
    2010 年 120 巻 10 号 p. 2023-2030
    発行日: 2010/09/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    フッ化水素酸による手指化学熱傷の4例を報告する.症例1:35歳女性,実験助手.実験の後片づけで,1%フッ化水素酸が右3指に接触した.症例2:51歳男性,建築業.建築作業時に9.5%フッ化水素酸含有剤を素手で使用した.使用後より手指に激しい疼痛が出現した.症例3:38歳男性,建築業.建築作業時に9.5%フッ化水素酸含有剤を使用していたところ,着用していた右手袋の亀裂から同剤が流入し接触した.右2指に激しい疼痛が出現したのち,全指に疼痛が拡大,増強した.症例4:38歳男性,半導体製造業.半導体洗浄用50%フッ化水素酸を使用中に,着用していた右手袋の亀裂から同剤が流入し接触した.右4指に激しい疼痛が出現し当科を受診時には指尖部は壊死していた.治療に関しては,症例1,2はグルコン酸カルシウムの局注で症状は軽快消失した.症例3,4ではグルコン酸カルシウムの局注では効果なく,橈骨動脈からの動注に切り替えたところ,症状は速やかに軽快,消失した.フッ化水素酸による手指化学熱傷は,暴露濃度により重症度が異なり,重症度に即した適切な治療の選択が要求される.通常のグルコン酸カルシウムの局注や静注治療で軽快しない重症例では,速やかに動注を行う必要がある.
  • 岩本 和真, 三原 祥嗣, 高萩 俊輔, 信藤 肇, 田中 稔彦, 亀好 良一, 秀 道広
    原稿種別: 原著
    2010 年 120 巻 10 号 p. 2031-2037
    発行日: 2010/09/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    慢性蕁麻疹患者のQOL(Quality of life)を評価し,「蕁麻疹・血管性浮腫の治療ガイドライン」に準拠した治療が患者のQOLに及ぼす影響を検討した.広島大学病院皮膚科を受診した慢性蕁麻疹患者35名を対象に,治療前後でのQOLを解析した.QOLの解析には包括的な患者満足度を表す指標としてフェイススケールを,皮膚疾患特異的QOL尺度としてDLQI(Dermatology Life Quality Index)およびSkindex29を用い,症状は蕁麻疹日記をスコア化し評価を行った.初診時および再診時にフェイススケール,DLQI,Skindex29,蕁麻疹日記を記入させ,加えて再診時に医師が治療効果を判定した.治療によりフェイススケールは35名中23名が改善,10名が不変,2名が悪化した.DLQIでは下位尺度別に検討すると,「症状・感情」,「日常活動」,「レジャー」で改善がみられ,「仕事・学校」では変化がなく,「人間関係」,「治療」では治療前からQOLの障害の程度は低いことが明らかとなった.Skindex29では「感情」「症状」,「機能」とも,改善がみられた.治療ガイドラインに従った治療により,患者のQOLを向上させることができると考えられた.
  • 前田 七瀬, 猿丸 朋久, 木嶋 晶子, 吉田 直美, 西野 洋, 片岡 葉子, 平島 智徳
    原稿種別: 原著
    2010 年 120 巻 10 号 p. 2039-2049
    発行日: 2010/09/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    エルロチニブ(タルセバ®)はキナゾリン誘導体であり,上皮増殖因子受容体(EGFR)を標的とした選択的チロシンキナーゼ阻害剤である.本邦においては,2007年10月に「切除不能な再発・進行性で,がん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺癌」に対する治療薬として承認された.その副作用として皮膚障害が高い頻度で認められるが,これらは一般に薬疹とされるアレルギー性や中毒性の皮膚障害とは異なり,皮膚のEGFR阻害により発現する症状と考えられている.2007年12月から2008年12月までに,当院でエルロチニブによる治療を受けた肺癌患者29例(男性12例,女性17例,平均年齢61.8歳)のうち,27例(93.1%)でなんらかの皮膚障害を認めた.主な症状としては,ざ瘡様皮疹26例(89.7%),皮膚乾燥15例(51.7%),瘙痒症13例(44.8%),爪囲炎9例(31.0%),手足症候群8例(27.6%),脱毛2例(6.9%)であった.エルロチニブ内服後皮膚障害発現までの平均日数は,ざ瘡様皮疹6.4日,皮膚乾燥15.6日,瘙痒症10.3日,爪囲炎40.4日,手足症候群20.8日,脱毛90.0日であった.治療法は,ざ瘡様皮疹と手足症候群はステロイド外用薬と場合によってはミノサイクリン内服,皮膚乾燥は保湿剤外用,瘙痒症は抗ヒスタミン薬内服,爪囲炎はステロイド外用,臨床的に感染を併発したと思われる場合は抗生剤内服や外用,血管拡張性肉芽腫形成に至った場合にはテーピングや硝酸銀による焼灼を行った.これらによりほとんどの皮膚障害はコントロール可能であったが,皮膚障害が原因でエルロチニブが減量となったものが2例,投与中止となったものが4例あった(計6例(20.7%)).皮膚障害出現と肺癌に対する効果の相関性については,ざ瘡様皮疹では,その重症度と抗腫瘍効果に相関性はみられなかったが,皮膚乾燥・爪囲炎・手足症候群が出現した例は,しなかった例に比べて肺癌に対する効果が高いことが明らかとなった.
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