日本皮膚科学会雑誌
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67 巻, 12 号
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  • 磯部 曉
    1957 年 67 巻 12 号 p. 807-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    乾癬は極めて難治であつてb\々再發し易くその經過は10年余に亘る場合が少からざる皮膚疾患である.さて本症の原因に關しては數多くの説が擧げられているが未だ定説はない.近くはKrichevskii(1951),Shcherbakov(1954)によるvirus説がある.余は實驗的,臨床的の症状からvirus説を疑わしむる種々のものがあるので,かゝる疑問を實驗的に解明せんと考え以下に述べる實驗を行つた.
  • 宮澤 偵二
    1957 年 67 巻 12 号 p. 821-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    ペニシリン(以下PCと略す)感作実驗の報告は必ずしも少くない.亦血清学的檢索に於て抗原抗體反應を実証せんとする成績が報告され,PCによるアレルギー様或はアナフィラキシー様現象を抗原抗體反應機轉によるものと解釋する考えが強い.最近堂野前らは膿瘍滲出液に混じたPCを抗原とする場合,海猽にアナフィラキシー様ショックを招来することを認め,PC感作実驗に1つの興味ある指針を提示した.しかし從来の実驗に於ては,ブロカインを含有する藥品を用いた爲,その実驗結果が純粹にPCのみによらざるのではないかと考えさせる報告もあり,亦海猽に対するPCの有毒性を顧慮しない実驗もあつて,かゝる実驗成績は多くの價値を認めることは出来ない.亦誘発皮膚反應が他の藥品アレルギー,例えばサルバルサン感作に見られる如きArthus反應様所見を呈する実驗成績の報告は未だなく,其の反應は極めて軽微である.此れ等の点より余はPC感作実驗を再吟味する必要があると考え,家兎を用い原則的に藥品アレルギーの立場より実驗を行い,実験成績の成否を以て逆にPCのアレルギー様現象機轉を推測せんと企てた.
  • 丹治 弘
    1957 年 67 巻 12 号 p. 825-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    著者等は本誌上に皮膚疾患々者,特に皮膚色素異常症患者の血清銅及び血清オキシダーゼ値測定成績を報告し,血清銅の多寡は必ずしも皮膚メラニン量の消長と軌を一にしないが,之と血清オキシダーゼ値との関係は皮膚色素異常症の成因に関する有力な示唆を與える事を明らかにした.
  • 富樫 良吉
    1957 年 67 巻 12 号 p. 832-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    チロジンは古くから植物,下等動物のメラニン源として,実驗的に証明されていたが,哺乳動物に於ては実証に乏しかつた.然るに,Hogebom et al.,Greenstein et al.は,実驗的にチロジンの酸化酵素であるチロジナーゼの存在を,哺乳動物組織(それは惡性黒色腫に於てではあつたが)に発見した.その後多くの研究者により人體正常組織内にチロジナーゼ活性を証明しようとの試みが繰り返されたが,成功することが出来なかつた.然るに1950年Fitzpatrick et al.が人體皮膚に大量の紫外線を照射することによつて,組織化学的にチロジナーゼを証明することに成功した.敎室吉田はこれを追試し,同様の結果を得たが,伊藤は生理的なメラニン形成を論ずる場合,強力な紫外線照射は必ずしも適当ならずとの見解を示した.その後吉田,富樫は1955年CuSO4溶液,Estrogenによつて,in vivo,in vitroに於て,人間皮膚のチロジナーゼを賦活し,これを組織化学的に証明し得ることを発表した.本篇に於ては,我々のチロジナーゼ反應につき詳述すると共に,本反應に関し更に吟味された各種條件について記載する.我々の方法を記述する前,Fitzpatrick等のそれを記載し比較に便ならしめる.Fitzpatrick等の方法 紫外線紅斑量,連続7日間照射.切除.10%中性ホルマリン1時間固定.水洗.0.1%Tyrosine phosphate buffer solution(pH6.8)0~4℃,24時間浸漬.新たな0.1%Tyrosine phosphate buffer solution(pH6.8)37℃,24時間浸漬.10%中性ホルマリン再固定.標本作製.
  • 藤田 幸雄, 廣根 孝衞, 松本 鐐一
    1957 年 67 巻 12 号 p. 838-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    1874年始めてSir James Pagetにより記載された本疾患は,Bowen氏病と共に皮膚癌前驅症として同じ位置を占めるもので,その報告は今日では可成りの数にのぼるとは雖え,尚稀なる疾患たるの域を脱しない.特にPaget細胞(以下P細胞と略す)の本態に関しては多くの学者に依り論議されているが今日まだ一定した説の確立をみていない.我々は最近本症を診療する機会に恵まれ,特にその組織像に於て貴重なる所見を得たのでこゝに報告すると共に,本邦報告例101例をまとめP細胞の本態についていささか考察を加えたので諸家の御批判を仰ぎたいと思う.
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