日本皮膚科学会雑誌
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104 巻, 9 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 中山 樹一郎, 占部 篤道, 中川 秀己, 豊福 一朋, 堀 嘉昭
    1994 年 104 巻 9 号 p. 1121-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
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    von Recklinghausens's disease患者の神経線維腫(NF)をヌードマウス皮下に移植し,その可移植性を確かめさらに種々の増殖因子(マウスNGF,ウシbFGF)を移植NFに局注した.局注後,マウスをBrdUで標識した.その結果negative controlの生食局注標本ではBrdU標識細胞はほとんど見られず,NGF,bFGF局注標本ではいずれも核が陽性に染色された細胞がみられた(NGF群>bFGF群).すなわち,NF構成細胞は外来からのNGF,bFGFに反応してDNA合成をおこなうことがin vivoの実験系で明らかとなった.移植前のNFと,移植後増殖因子を局注したNFのvimentin染色パターンを比較すると,NGF局注標本が移植前のNFの染色パターンと類似しており,bFGF局注群のビメンチン染色パターンは前者でみられた波状パターンが明らかではなかった.従って,ヒトNFでの細胞構築の維持およびそのビメンチンのパターン形成にはNGFの関与が強く示唆された.移植NFでは,移植2週後では移植前NFに浸潤しているマクロファージはほとんど消失し,また血管壁のα-アクチンは弱陽性反応が一部の移植NFの血管にみられたのみであった.以上の結果より,ヌードマウス可移植性NFはNF増殖機構における増殖因子の役割を解明するための一つの有力な実験系であることが示唆された.  
  • 石原 政彦
    1994 年 104 巻 9 号 p. 1127-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    ヒトメラノーマ細胞株に,12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate(TPA)を作用させ,次に偽パラフィン包理処理を施し,これを免疫原としてマウス抗メラノーマ単クローン抗体を作製した.ヒトメラノーマ細胞株KHm-6を用いIKH-1,IKH-2が,ヒトメラノーマ細胞株A-375よりIKH-4が得られた.生化学的な性質としてIKH-1はTPA作用後のKHm-6細胞由来の34~60kDの糖蛋白と均質に反応した.次いでIKH-2は同じ細胞由来の33.5,34.5そして36.0kDの糖蛋白バンドと反応した.IKH-4では明らかに反応する蛋白バンドは見いだせなかった.免疫電顕所見として,IKH-1の反応産物はTPA処理KHm-6細胞々体内の主としてゴルジ―装置,リソゾームに認められた.そしてIKH-2の反応産物は胞体内のプレメラノソームに一致してみられた.IKH-4の反応はTPA処理A-375細胞膜上に強く認められた.IKH-1,IKH-2,IKH-4の臨床応用として通常のフォルマリン固定,パラフィン包埋組織切片を用い免疫組織化学染色をした結果,IKH-1とIKH-2では悪性黒色腫に対し各々94%,85%の反応性を示した.特にIKH-2はメラノサイト系腫瘍とのみ反応がみられ極めて高い特異性が認められた.一方,IKH-4は悪性黒色腫とは反応せず母斑細胞母斑の約40%で陽性であった.以上の結果よりIKH-1はメラノサイト系腫瘍全般を認識している抗体であり,IKH-2は一部の母斑細胞も認識するが悪性黒色腫とより強く反応し,しかも非メラノサイト系腫瘍とは全く反応しない性格を有していた.IKH-4は主として良性の母斑細胞母斑を認識したが悪性黒色腫とは反応せず,TPAの作用により増加したと考えられる蛋白が母斑細胞と共通の抗原を有している可能性が考えられた.以上よりIKH-1,IKH-2,IKH-4はパラフィン切片下でメラノサイト系腫瘍の識別に有用な抗メラノーマ単クローン抗体であると思われた.
  • 王 玉来, 宇原 久, 池川 修一, 斎田 俊明
    1994 年 104 巻 9 号 p. 1143-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
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    皮膚原発の有棘細胞癌(SCC)のうちで,とくに棘融解性のものを中心にビメンチン発現の有無を免疫組織化学的に検討し,腫瘍の分化度や予後との関係について考察した.検索した13例中,熱傷瘢痕部に生じ,角化傾向の乏しい棘融解性細胞が主体のSCC2例と同じく熱傷瘢痕部に生じた紡錘形細胞型SCC1例の計3症例においてビメンチンの強い発現が認められた.これら3例のSCCはケラチンも発現していたが,その程度は全般的に軽度であった.これに対し,日光角化症由来でいわゆる異常角化dyskeratosisを伴う棘融解性のSCC5例ではケラチンの強い発現が認められたが,ビメンチンの発現は全く認められなかった.ビメンチンの発現が認められた上述の3例のSCCのうち棘融解性の2症例は術後早期に広範な血行性転移を起こして死亡し,予後不良であった.従来より,棘融解性SCCは偽腺性SCCとも呼ばれ,その多くは棘融解性の日光角化症に続発し,一般に予後良好とされてきた.しかし,今回のわれわれの検討結果から棘融解性SCCの中には異常角化を伴わず,かつビメンチン強陽性のものが存在し,この場合予後不良である可能性が示された.SCCにおけるビメンチンの発現は,腫瘍細胞の脱分化を反映しているのみでなく,生物学的悪性度とも相関している可能性があり,今後さらに検討を要するものと思われる.
  • 高田 一郎
    1994 年 104 巻 9 号 p. 1151-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
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    尋常性乾癬患者50例(男,36例,女14例,平均49.3歳)と健常人40例(男,22例,女,18例,平均45.6歳)との血清総脂肪酸組成を分析し,比較した.乾癬患者では初診時ならびに治療経過中の2回~13回の早朝空腹時採血を行いその血清を用いた.乾癬患者群ではリノール酸(%)が24.13±0.600%,健常人では28.62±0.824%で健常人群に比し有意に低下していた(p<0.01).その低下にはリノレイン酸等の代償的上昇を伴っていなかった.リノール酸(%)のみの低下が特異的であった.その特異的低下は初診時,治療経過中,皮疹の改善増悪,治療内容の相違にもかかわらず常にみられた.従って特異的リノール酸低下には乾癬の病変の程度や治療内容は関与していないことが明らかとなった.このことから乾癬患者にリノール酸を多量に必要とするなんらかの代謝異常の存在が示唆された.
  • 刀祢 毅, 衛藤 光, 西山 茂夫
    1994 年 104 巻 9 号 p. 1157-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    Toxiic epidermal necrolysis(TEN)型薬疹と診断された症例で,病理組織所見が苔癬型の反応(lichenoid tissue reaction)を呈し,ステロイド剤の治療に反応し予後が良好であった3症例を報告する.症例1は19歳,男性.約2年間よりてんかんにてフェノバールを内服している.初診の2週間前より体幹より紅斑が出現した.症例2は51歳,女性.痙攣発作にて入院しアレビアチンの内服7日目頃より四肢より紅斑が出現している.症例3は71歳,男性.感冒にてフェナセチン投薬され,内服5日目に体幹背部に紅斑が出現し,その4日後に受診した.皮疹は滲出性紅斑より始まり,拡大融合しやがて広範囲の皮膚]R離を生じる.臨床像はTEN型薬疹と類似するも,進行はゆるやかで,紅斑の色調は赤紫色調を呈する.Nikolsky現象は明らかではないが,軽度の擦過で表皮は容易に]R離した.皮膚病理検査はびらん部周囲および小水疱を伴う紅斑部より施行した.組織所見は表皮上層から基底層直下の脈管周囲性に小円形細胞が認められ,表皮内へも浸潤している.表皮細胞は壊死性変化を示し,表皮真皮接合部では裂隙や水疱形成がみられ,組織学的にはGVHDあるいは苔癬型薬疹にみられる苔癬型組織反応を呈している.免疫組織学的所見は病変部表皮細胞と浸潤細胞は,HLA-DR抗原が強く陽性を呈し,表皮内への浸潤細胞および表皮直下の小円形細胞はCD8陽性細胞が優位であり,真皮内に浸潤している小円形細胞はCD4陽性細胞が優位であった.表皮内CD1a陽性のランゲルハンス細胞は症例1でほぼ正常に認められ,症例2では僅かにその数を減じ,症例3では痕跡のみ認められ,一定の傾向はなかった.以上より自験3例は,古典的なTEN型薬疹と比較すると臨床経過が緩やかで,病理組織所見が苔癬型組織反応を呈し,ステロイド剤の治療に反応し予後が良好なTEN型薬疹であり組織所見を重視し“苔癬型組織反応を呈したTEN型薬疹”(lichenoid TEN)と診断した.
  • 神崎 寛子, 中西 元, 阿部 能子, 秋山 尚範, 多田 讓治, 荒田 次郎
    1994 年 104 巻 9 号 p. 1167-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    繰り返すメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症により慢性膿皮症の臨床像を呈した術後感染症の症例を報告した.バンコマイシン(VCM)の投与によってもMRSAは除菌されず,摘出瘻孔内腔に球菌と桿菌の混在するbiofilmと思われる像を走査電顕にて確認した.慢性膿皮症では瘻孔内にbiofilmが形成されており,抗菌剤が有効に作用しないために感染を繰り返す可能性が示唆された.biofilm内のMRSAにはVCMも有効とは言えず,biofilm内のMRSAが連鎖感染のfocusとなり得るものと考えた.
  • 1994 年 104 巻 9 号 p. 1173-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
  • 1994 年 104 巻 9 号 p. 1212-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
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