日本皮膚科学会雑誌
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94 巻, 1 号
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  • 山田 清, 鄭 憲, 染谷 通, 島田 真路, 大原 國章, 久木田 淳
    1984 年 94 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    B16メラノーマ(mouse melanoma)又はC24メラノーマ(human malignant melanoma)に対してDTIC,ACNU及びAdriamycin等の抗腫瘍剤と温熱(43℃,30min)の併用療法を動物実験において試みた.DTIC及びACNUにおいて温熱との併用により作用増強を認めた.特にACNUとの併用では顕著な作用増強を認め,各腫瘍は縮小傾向を示し,生存期間では著明な延長がみられた.病理組織学的にも腫瘍構造の破壊及び広汎な核の空胞化を認めた.今後,臨床応用においても本療法が悪性黒色腫に対し効果的な結果をもたらすものと考えられる.
  • 谷垣 武彦, 佐藤 健二, 佐野 栄春, 羽倉 明, 湯通堂 満寿男, 樋口 冨士夫, 池永 満生, 渡辺 信一郎
    1984 年 94 巻 1 号 p. 15-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    著者らは今までに疣贅状表皮発育異常症(EV)の患者から3種類の異なるHPVを分離し,EVは数種類のヒトイボウイルス(HPV)に起因していることを明らかにしてきた.今回本邦におけるEVの実態調査を行った結果,その臨床像,皮膚悪性腫瘍の併発にも差異があることを明らかにした.本調査患者66例の家系中,近親結婚が44%を占め,本疾患は高い確率で遺伝が背後にあり,劣性遺伝といえる.患者分布は北海道,東北のような寒い地方は少なく,暖かい九州では多数見られた.皮膚悪性腫瘍の併発も南ほど多い傾向か見られた.癌の発生部位は,いわゆる露光部位が72.2%も占めた.本疾患は血族結婚をはじめとする遺伝的背景の上に,HPV感染が生じ,太陽紫外線らの環境因子によって皮膚悪性腫瘍が発生,つまりウイルス・紫外線及び宿主という三者の相互作用が発癌に関与していることが本疫学調査から明らかにされた.
  • 進藤 泰子, 秋山 純一, 高瀬 吉雄
    1984 年 94 巻 1 号 p. 21-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    Werner症候群の女子,43歳の1例を報告した.また同患者と健常人より採取した皮膚を用いて線維芽細胞の培養を行い,形態と3H-thymidine取り込み実験で比較した.患者の継代可能回数は5代で,対照健常人(60歳)の12代と比べて少なかった,患者の線維芽細胞は健常人と比べて,大きさは一定せず,一定走向を示さず,さらに空胞変性が認められた.3H-thymidineの取り込みが健常人の1/7以下であったことからDNA合成速度の低下が推測された.
  • 前川 嘉洋, 林原 利朗, 木藤 正人, 野上 玲子
    1984 年 94 巻 1 号 p. 29-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    Werner症候群は本邦で既に150例以上の報告があるが,著者らは昭和52年から56年までの5年間に本症候群の体型的特徴,premature senescenceを備えた6例(男5,女1)を経験した.皮膚生検標本による組織学的検索では本症候群に特有の所見は得られなかったが,真皮深層に膠原線維の増生,不整,網状を呈する症例があり,真皮乳頭層にヒアルロン酸(HA)と考えられる物質の沈着が見られた.患者皮膚線維芽細胞の培養可能継代数を健常人のそれと比較検討すると,明らかにその短縮が観察され,それらの線維芽細胞の産出するGlycosaminoglycansについても検討したところ,Dowex1×2によりHAのみが回収,同定された.また本症候群はHA尿を特徴とする報告も多く,本症候群は線維芽細胞のHA代謝に異常があるのではないかと推論される.
  • 猪井 孝, Manoi Mojamdar, 市橋 正光, 三島 豊
    1984 年 94 巻 1 号 p. 39-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    昭和52年8月以降当科で経験した悪性黒色腫のうち,22症例(stageⅠ7例,stageⅡ7例,stageⅢ8例)について,尿中5-S-cysteinyldopa(5-S-CD)の推移と治療効果との関係を分析した.StageⅠ,Ⅱの症例に対しては,原発巣摘除術を行ない術後当日よりDTIC(5-(3,3-dimethyl-1-triazeno)imidazole-4-carboxamide),ACNU(Nimustine hydrochloride)およびVCR(Vincristine)の三者併用化学療法を行なった.さらに症例に応じて適宜免疫療法も併せて行なった.治療に並行して経時的に尿中5-S-CD量を測定し,治療効果および予後との相関性を検討した.StageI,IIの症例では術後の尿中5-S-CD値が250μg/24h.以下であれば転移の可能性は低いと考えられる.stageⅢの症例では全例で同値が600μg/24h.以上あり,その上昇率の大きい程生存日数の短かい傾向がうかがわれた.
  • 森田 茂, 大橋 勝
    1984 年 94 巻 1 号 p. 45-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    いわゆるSecondary Systemic Amyloidosis(s-SSA)5例とFamilial Amyloid Polyneuropathy(FAP)4例のエックリン汗腺部位におけるアミロイドの組織化学的性状と沈着様式について検討した.s-SSA5例の皮膚のアミロイドは過マンガン酸カリ処理に感受性を示し,FAP4例は抵抗性を示した.これらのアミロイドは光顕的にはs-SSA5例では汗腺小葉内の腺房間・腺房周囲の結合織に,あるいは筋上皮細胞に接してみられ,小葉周囲には認めなかった.FAP4例では主として小葉周囲の結合織や小葉附近の神経・血管壁・結合織に沈着が認められ,小葉内にはわずかに認めるのみであった.電顕的にはs-SSA5例のアミロイドはFAP4例に比して汗腺細胞と筋上皮細胞のより近くに,あるいはこれらと密着して沈着していた.
  • 石井 正光, 寺尾 祐一, 北島 淳一, 濱田 稔夫
    1984 年 94 巻 1 号 p. 53-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    炎症性辺縁隆起性白斑の1症例を電顕的に検索し,Langerhans細胞におけるBirbeck顆粒の形成につき興味ある所見をみとめた.すなわち,細胞膜からのadsorptive pinocytosisを行なう大型のcoated vesideの形成に引き続いて膜の嵌入が管状におこり,その内腔にはBirbeck顆粒に特有のband patternをみとめるに至った.この現象はBirbeck顆粒が細胞膜のinfoldingによって形成されてくると言うHashimotoらの理論を裏付けたものと言える.CoatをもったBirbeck顆粒は細胞内方に移行しcoatは外れてvesicle部分がBirbeck顆粒の球部を構成するのではないかと考えられた.
  • 1984 年 94 巻 1 号 p. 57-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
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