皮膚疾愚厖者の血漿 cortisol 濃度および血漿 cortisol 濃度の日内変動を competitive protein-bindingradioassay により測定し,併せて ACTH-Z 3日間連続刺激試験による血漿 cortisol 濃度の変動および尿中 17-OHCS 排泄量を検討し,各種皮膚疾患と視床下部一下垂体一副腎皮質系機能 (HPA function) との関連を追求した. 1)いわゆる健常対照群30例の血漿 cortisol 濃度の平均値は 13.1±4.2μg/dl で,各種皮膚疾患患者356例の血漿 cortisol 濃度の平均値は 12.2μg/dl であった. Corticosteroid 剤を投与中および投与後の血漿 cortisol 濃度は異常に低い.皮膚疾患では寒冷蕁麻疹および神経性皮膚炎に早朝時の低 cortisol 濃度を示す例がめだつ. 2)健常者における血漿 cortisol 濃度は早朝に最も高く深夜に最低となる著明な口内変動がみられる.慢性蕁麻疹,薬疹,皮膚癌では異常リズムが高頻度にみられた.慢性蕁麻疹ではリズムのピークが早朝より正午にみられる;症例が多く,早朝の血漿 cortisol 濃度の上昇の立ち遅れを示すリズムパターンが特異である. 3) Corticosteroid 剤投与の既往をもたないと思われる各種皮膚疾患患者91例において原発性副腎皮質不全を示した症例は Addison 氏病の1例であり,続発性副腎皮質不全は Senear-Usher 症侯群湘よび先天性表皮水疱症の各1例に認めたのみで,自家感作性皮膚炎の2例では副腎皮質予備能の低下がみられた. 4)血漿 cortisol 濃度の日内変動のリズムは正常で,HPA function が正常と思われる症例に ACTH-Z を3日間連続刺激しても,血漿 cortisol 濃度の良好な上昇反応を示さない症例が55例中6例みられ,外因性の ACTHZ が注射局所等において不活性化される場合が一部に存在する. 5)長期にわたり corticosteroid 剤療法をうけて HPAfunction の抑制されている症例に ACTH-Z で連続的に刺激すると,血漿 cortisol 濃度は徐々に階段状に上昇し可逆性の反応をみるが,血漿 cortisol 濃度の上昇に比較し尿中 17-OHCS 排泄量はそれほど増量しない例が8例中4例あり,解離現象を示した.また corticosteroid 剤の長期投与をうけているにもかかわらず HPA function の抑制がなく,他種類の corticosteroid 剤に変更すると抑制を示す2例を認めた.
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