日本皮膚科学会雑誌
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101 巻, 14 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 豊島 弘行, 堀 真, 吉田 彦太郎
    1991 年 101 巻 14 号 p. 1755-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    Epidermodysplasia verruciformis(以下EVと略)の皮疹部のうち,組織学的に澄明変性細胞を有する部分,Bowen病様の所見を示す部分などについて,顕微蛍光側光法を用いて,核DNA量パターンを比較・検討した.その結果,澄明変性細胞の見られる部分のDNA indexは1.0,6C以上のpolyploid cell出現率は0で,正常表皮とほぼ同様の核DNA量パターンを示した.Bowen病様変化の部分のDNA indexは1.20~1.29.,polyploid cell出現率は4~12%であった.EVにおいては,細胞に異型性の出現する段階になってはじめて核DNAレベルでの変化が始まるものと考えられた.
  • 平井 俊二
    1991 年 101 巻 14 号 p. 1759-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    乳房Paget病3例,乳房外Paget病19例(そのうち肛囲Paget病3例)について,モノクローナル抗体を用いて,免疫組織学的にPaget細胞における血液型物質関連抗原(Lewis A,Lewis B,CA19-9,sialyl SSEA-1)およびcarcinoembryonic antigen(CEA)の局在を検討した.乳房外Paget病19例においては,CEAは19例全例に陽性所見が認められたのに対し,Lewis AとLewis Bは15例,CA19-9は12例,sialyl SSEA-1は8例に陽性所見が認められた.各症例の,全腫瘍細胞に対する陽性細胞の割合はCEAでは平均約81%,Lewis Bでは約62%,Lewis Aでは約48%,CA19-9では約7.8%,sialyl SSEA-1は約11.3%であった.CA19-9陽性例は,全てLewis A陽性であり,そのうち1例では,表層よりも浸潤部に,2例では,原発巣よりもリンパ節転移巣にその染色性の増強を認め,悪性度との相関が示唆された.Sialyl SSEA-1は,肛囲Paget病の3例全例に陽性を示し,1例では強陽性反応を示した.肛囲Paget病の大腸,直腸癌に近い性格を示唆した.乳房Paget病3例では,腫瘍細胞の平均陽性率は,Lewis A40%,Lewis B63%に対し,CEAは5%と,CEAの発現が乳房外Paget病に比べて著しく低値を示し,乳癌と同様の傾向を示した.
  • 市川 弘城, 横山 繁生, 中山 巌
    1991 年 101 巻 14 号 p. 1769-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    脂漏性角化症,基底細胞上皮種,Bowen病,日光角化症に続発した限局性皮膚アミロイドーシスを臨床的,組織学的,免疫組織化学的,電顕的に検討した.アミロイド沈着は,これら4腫瘍339例中165例に認められ,各腫瘍における陽性率は,脂漏性角化症-29.9%,基底細胞上皮種-70.3%,Bowen病-52.6%,日光角化症-53.5%で,悪性ないしは前癌性腫瘍に,より高頻度であった.患者の年齢,性差,罹病期間,発生部位(露光部か否か),腫瘍の大きさとアミロイド沈着との関係を検討した.年齢では脂漏性角化症と日光角化症のアミロイド陽性群が有意に高齢で,性差では日光角化症で有意に女性の陽性率が高かった.また,罹病期間は陽性群と陰性群との間に有意差をみなかったが,部位との関係では脂漏性角化症において非露光部に有意に陽性率が高く,また脂漏性角化症とBowen病では陽性群が有意に腫瘍面積が大であった.組織学的にはアミロイド沈着は腫瘍近傍の間質に多く,小型類円形で集簇し,稀に腫瘍と離れた真皮や毛包周囲にも認められたが,血管壁にはみられなかった.脂漏性角化症と基底細胞上皮種ではその組織型によってアミロイドの沈着の頻度,程度に差があり,脂漏性角化症のadenoid type,基底細胞上皮種のadenoid,cystic,plexiform typeでは特に高頻度かつ多量に沈着が認められ,腫瘍細胞と間質の接触面積が大きいものほどアミロイド沈着の頻度,程度が高度となる傾向を示した.免疫組織化学的検索ではこれらのアミロイドはAmyloid P-component陽性で,Amyloid A-component陰性,Light chain陰性であった.さらにポリクロナール抗ケラチン抗体染色ではアミロイドに陽性所見を示すものが多く,モノクロナール抗ケラチン抗体ではKL-1(56KD)やCAT30903(56,56.5,58KD)で陽性例が存在したが,CAT30904(68KD)はすべて陰性であった.これらの結果から皮膚腫瘍に続発する皮膚アミロイドーシスの発生機序は,腫瘍組織の基底細胞から比較的低分子量のケラチンがアミロイド前駆蛋白として間質に放出され,その場でアミロイドが形成されると考えられた.
  • 檜垣 祐子, 小川 保子, 川島 真, 肥田野 信, 高村 悦子
    1991 年 101 巻 14 号 p. 1783-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎患者33名において,疱疹性湿疹発症時の角膜ヘルペス合併について検討した.細隙燈顕微鏡検査に結果5名(15.2%)が樹枝状角膜炎を合併し,うち2名は両眼性だった.角膜ヘルペス合併に関与する因子として,高熱,重症の眼瞼ヘルペス,疱疹性湿疹の頻回の再発が示唆された.皮疹の広範囲のものに合併しやすい傾向はなかった.またアシクロビル全身投与は角膜ヘルペス予防に役立つ可能性があると思われた.
  • 佐々木 哲雄, 中嶋 弘
    1991 年 101 巻 14 号 p. 1789-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    円板状エリテマトーデス(DLE)を伴った全身性強皮症(PSS)+Sjogren症候群(SjS)の1例を報告した.患者は初診時36歳の女性で,初診の5年前から耳前部,背部に,4年前から頭部に皮疹が出現し,初診の1.5年前からRaynaud現象,手指の腫脹,眼,口腔の乾燥感などを自覚した.前2ヵ所の浸潤性局面および頭部の脱毛斑は組織学的にDLEと診断した.Raynaud現象,強指症,食道運動機能低下を認め,抗セントロメア抗体陽性で,全身性エリテマトーデス(SLE)を示唆する他の異常を認めず,PSS(Barnett分類1型)と診断した.SjSの合併は眼科所見と耳下腺造影所見から確定した.DLEを伴ったPSSの報告は少ないが,これまでの報告では一定の臨床,検査所見はみられないようである.このようなoverlapは病因の共通性を示すものとも考えられるが,その意義はなお今後の問題と思われる.
  • 中澤 淳, 小澤 明, 菅井 順一, 大城戸 宗男, 猪子 英俊, 安藤 麻子, 辻 公美
    1991 年 101 巻 14 号 p. 1797-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    乾癬の発症,病態の機序を解明する1つの方法として,本症における腫瘍壊死因子(TNF)遺伝子の遺伝的多型性を検討し,HLA抗原遺伝子との連関から,その役割を考慮した.方法は,11名の尋常性乾癬患者の末梢リンパ球より,DNAを抽出し,作製したTNF-β遺伝子プローブ(pTB380-SM)を用いて,TNF-β遺伝子の制限酵素断片長多型性(RFLP)解析をサザンブロット法により行なった.観察されたTNF遺伝子のRELPのパターンは健康正常人と同様であり,DNAバンドパターンと乾癬で有意に出現頻度が高いとされるHLA-Cw6およびCw7との間に特徴的は関係は見出せなかった.しかし,DNAバンドパターンの頻度は,乾癬と健康正常人では異なっていた.
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