日本皮膚科学会雑誌
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97 巻, 1 号
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  • 小林 裕美, 染田 幸子, 古川 雅祥, 茶之木 美也子, 濱田 稔夫
    1987 年 97 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    乳房外Paget病の女性2例に対し、ヒト培養リンパ芽球由来インターフェロン-α(HulFN-α)局注療法を行ない病理組織学的にも著しい効果が認められた.症例1:79歳,女子の両側大陰唇に1回100×104IUから300×104IUを隔日,計7,200×104IU,症例2:74歳,女子の両側大陰唇に1回300×104IUを週2回,計7,500×104IUを,いずれも病巣全体に行き渡るように局注したところ,局注前,表皮内に多数,胞巣形成性に見られたPaget細胞が局注後の同部位よりの生検組織にて消失していた.副作用としては,局所の発赤,疼痛がみられた以外には特に認められなかった.女性の外陰部Paget病で,高齢者の粘膜部にも及んだ場合は手術療法が行ないにくいので,インターフェロン局注療法は試みてよい方法と結論された.
  • 矢崎 喜朔, 臼田 俊和, 飯田 芳樹, 稲坂 博, 大越 尚, 深谷 嘉英
    1987 年 97 巻 1 号 p. 9-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    Sjogren症候群(SjS)13症例に応じた皮疹(環状紅斑3例,斑状丘疹性紅斑3例-SLE,MCTD疑の合併例を各々1例含む,女子顔面黒皮症様色素沈着3例,Chilblain lupus合併による角化性紅斑2例,Atrophie blanche様皮疹1例,広汎型DLE合併による円板状皮疹1例)の真皮上層血管を透過型電子顕微鏡にて観察し,その形態学的変化と細管状構造体(MTS)出現の有無について検索した.対照としてエリテマトーデス(LE)7症例についても観察した.SjS真皮上層血管の微細構造として,内皮細胞単位で細胞小器官が減少し,細胞質の染色性が低下しているもの,小胞体の開大による空胞化がみられるものなど内皮細胞の変性像がみられた.これらの変化はSjSに他の膠原病を合併した症例に,より顕著に認められたが,LEに比べて程度は軽く,LEにみられた原形質膜の破壊像は認められなかった.内皮細胞間(接合)の離開を示す血管が認められたが,その数は少なかった.有窓性毛細管が少数認められた.血管基底板は多層を示すものが多く,LEとの間に差はみられなかった.Chiblain lupusを合併した一症例に、フィブリンと赤血球の沈着による内腔の閉塞と内皮細胞の著しい変性像が認められたが,この症例以外ではフィブリンの強い沈着はみられず,また高電子密度の塊状の滲出物質の血管壁や血管周囲への沈着は認められなかった.MTSはSjS13症例中7症例に認められた(LEでは7症例全例が陽性).MTS陽性の症例は広汎型DLE合併例を除くと20代~40代の若成年者で,環状紅斑や斑状丘疹性紅斑を呈し,MTS陰性例は50代~70代の中高齢者であり,女子顔面黒皮症様色素沈着やChilblain lupusの皮膚症状を呈した症例であった.以上の真皮上層血管の微細構造とMTSの出現より考察すると,SjSに関係の深い皮膚症状の血管変化はLEと同種の機序による可能性が考えられた.
  • 古江 増隆, 堀江 直茂, 原田 昭太郎, 石河 利隆
    1987 年 97 巻 1 号 p. 23-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    異所性髄膜腫(ectopic meningioma)は頭蓋外あるいは脊髄腔外に異所性に認められる極めて稀な髄膜腫である.異所性髄膜腫の中で頭部皮下に存在した先天性皮膚髄膜腫の13歳,女子例を報告した.更に文献的検索に基き異所性髄膜腫の臨床的病型分類を試み,併せて本邦報告例の総括を行った.
  • 高田 実, 倉田 幸夫, 広根 孝衞
    1987 年 97 巻 1 号 p. 31-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    てんかん発作および精神発達遅滞を有する,および有しないBourneville-Pringle母斑症合計17例(女8例,男9例;0~38歳)に頭部CT検査を行い,10例(59%)に頭蓋内石灰化像が検出された.頭蓋内石灰化像がみられた最年少例は生後2ヵ月の男児であり,CT検査が結節性硬化症の早期診断に有用であることが確認された.また,石灰化陽性例における眼病変,精神神経症状,脳波異常の発現頻度(それぞれ67%,80%,50%)は同陰性例におけるそれらの発現頻度(それぞれ0%,0%,40%)より高かった.
  • 清水 宏, 木花 光, 多島 新吾, 西川 武二
    1987 年 97 巻 1 号 p. 35-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    Raynaud症状を呈する12名の患者(PSS 8名,MCTD 2名,Raynaud病2名)に抗血小板作用を有するチクロピジンを1日300mg,8週間連日投与した.投与前後で,皮膚末梢血流量(laser doppler flowmeterによる),および血小板凝集能(2μMADPおよび4μMADPによる)を測定し,12例の平均値を算出し,T検定により統計処理した.その結果皮膚末梢血流量は投与前1.8±0.4Volt,投与後2.5±0.7Voltで投与後に有意(p<0.01)に増加した.2μMADPによる血小板凝集能は投与前55±15%,投与後32±19%で投与後では有意(p<0.001)に抑制された.4μMADPによる血小板凝集能は投与前64±14%,投与後45±22%で,投与後では有意(p<0.01)に抑制された.12例中9例(75%)で,Raynaud症状の自覚的改善がみられた.以上の結果より血小板凝集能の亢進がレイノー症状の発現になんらかの影響を与えている可能性が示唆された.またlaser doppler flowmeterによる皮膚血流量の測定および血小板凝集能の測定は,各種薬剤のRaynaud症状に対する客観的効果判定に有用であると考えられた.
  • 藤岡 彰
    1987 年 97 巻 1 号 p. 39-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    全身に潮紅と鱗屑を来たす湿疹続発性紅皮症では血清LDH活性が上昇する.臨床例の検索,動物実験による検討を行い,血清LDH活性の上昇の機序ならびに臨床的意義を明らかにしようと試みた.紅皮症を来たした臨床例33例の血清LDH活性を調べ,湿疹続発性紅皮症について皮膚LDHの局在,皮膚LDH活性を検索した.動物実験として全身に潮紅を呈するGeneralized Rashをモルモットに作り,皮膚LDHの局在を調べ,血清,表皮,肝,肺ならびに脾のLDH活性を経時的に測定した.また1%DNCBによる接触皮膚炎をモルモットの背部に面積比をかえて2群作り,血清ならびに表皮のLDH活性を測定した.さらにGeneralized Rashモルモットについては表皮と血清のLDH分画も検索した.臨床例,動物実験ともに主としてLDHの局在は表皮にあったので,皮膚LDH活性の測定の対象を表皮に定めた.まず臨床例では病巣表皮のLDH活性は低下していた.次にGeneralized Rashモルモットでは,血清LDH活性は上昇し,表皮LDH活性は低下した.経時的変化を追うと逆相関関係を呈しながら回復していく所見を得た.肝,肺,脾のLDH活性は著変を呈さなかった.接触皮膚炎では病巣表皮LDH活性は低下するが,血清LDH活性の上昇には面積比が関与した.血清,表皮とも接触皮膚炎のLDH活性の変動はGeneralized Rashに比べて小さかった.Generalized RashではLDH分画を電気泳動で測定し,表皮LDH第Ⅴ分画の著減,血清LDH第Ⅴ分画の軽度上昇を認めた.以上の結果及び,臨床,動物実験ともに,病巣表皮LDH活性は低下,しかし他臓器のLDH活性に著変がないこと,動物実験で血清LDH活性が回復していくと,表皮LDH活性も回復すること等より,血清LDH活性の上昇は表皮由来と考えた.電気泳動でもこれを示唆する所見が得られた.臨床,動物実験から潮紅をおこす機序の違い,潮紅の占める面積比の差が血清LDH活性の上昇に関与するものと推測された.さらに血清LDH活性は肉眼的所見に先行して変動することが多いので,湿疹続発性紅皮症の病勢を判断する有力なマーカーとなることが示唆された.
  • 松田 真弓
    1987 年 97 巻 1 号 p. 47-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    日光弾力線維症の本態を明らかにするために項部菱形皮斑10例(男性)を材料として,本症に特徴的な弾力線維様物質の光顕的,電顕的観察を行うとともに,免疫組織化学的検索を行った.項部菱形皮斑真皮上層の弾力線維様物質は,エラスチカ・ワン・ギーソン(E.v.G.)染色で弾性線維と同様に黒紫色に濃染した.電子顕微鏡で連続切片の一つを通常二重電子染色で,次ぎの切片をタンニン酸加二重電子染色で観察すると,弾力線維様物質は,タンニン酸で濃染する細かい網目状に広がるエラスチンと,その網目を埋める細顆粒状またはフィラメント状物質から成っていることがわかった.免疫組織化学では,このような網目状のエラスチンが,抗エラスチン抗体とよく反応し,加えて真皮中層では細顆粒状部分も一部陽性反応を示した.一方,弾力線維様物質はマイクロフィブリルと交叉反応をする抗ヒト胸管リンパ細胞モノクロナール抗体(HB-8)と陽性反応を示さず,電顕レベルでも細顆粒状部分やフィラメント状物質には全く反応性を示さなかった.以上の所見より,日光弾力線維症では,弾性線維のエラスチン成分が,はじめはエラスチンとしての抗原性を保ちながら細顆粒状に変性するが,最終的な弾力線維様物質の細顆粒状部分とフィラメント状物質にはエラスチンとしての抗原性が全く失われていること,また弾力線維様物質がHB-8に全く反応しないことより,弾性線維のマイクロフィブリルは変性して抗原性を失ったか,あるいは全く消失していることが明らかとなった.
  • 森下 美知子, 永井 透, 佐藤 良夫
    1987 年 97 巻 1 号 p. 61-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    squaric acid dibutylester(SADBE)を65例の円形脱毛症患者に外用療法として用いた.2%SADBEアセトン溶液にて感作後,脱毛病巣の約1/2の範囲に潮紅が生じる程度の濃度のSADBEアセトン溶液(0.000001%~0.5%)を1~2週ごとに塗布し,対象の部位と比較した.激しい接触皮膚炎のため5例で治療を中止し,残る60例中56例(93.3%)に発毛効果を認めた.発毛は平均3ヵ月後にまずSADBE塗布部にみられ,ついで非治療部へおよんだ.新生毛が脱落することもあり,治療を継続した症例の最終的な有効率は73.3%であった.治療効果は通常型,全頭脱毛症,汎発性脱毛症の順であるが,有効例に低濃度SADBE使用例が多かった.本治療法は再発を防ぐことはできないが発毛効果は高く,特に小児例や病巣が広範囲におよぶ症例に有用な治療と思われる.
  • 長村 洋三, 神保 有光, 石原 勝
    1987 年 97 巻 1 号 p. 65-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    非ステロイド系消炎剤であるFlurbiprofenを用いた生体ヒト皮膚における経皮吸収量を,8体部で比較検討した結果,陰嚢が最大,以下下顎と頚,前腕,中下背,被髪頭部,胸と腹,大腿の順で,掌蹠は最小であった.その結果,角層の厚さ,あるいはその性状がこの体部差にかなり影響を及ぼすことが示唆された.
  • 1987 年 97 巻 1 号 p. 73-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
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