日本皮膚科学会雑誌
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100 巻 , 11 号
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  • 清水 直也, 伊藤 雅章, 池田 和人, 佐藤 良夫
    1990 年 100 巻 11 号 p. 1115-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
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    三次元画像解析装置を用いて,in vivoのヒト表皮メラノサイトの三次元分布および体積を検討した.正常ヒト皮膚片に対し,メラノサイトの染色として,ドーパ(dihydroxyphenylalanine)とアンモニア化硝酸銀の二重反応を行った.厚さ900nmの連続切片を作製し,メラノサイトの二次元像から立体像を構築した.基底膜上のメラノサイトの分布は一様ではなく,偏りを示した.また,“核/細胞質”の体積比は,メラノサイトの方が基底細胞より小さい傾向を示した.この方法は,メラノサイトのin vivoにおける動態の検討に有用と思われる.
  • 中村 猛彦, 影下 登志郎, 荒尾 龍喜, 山崎 直也, 石原 和之
    1990 年 100 巻 11 号 p. 1121-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    High molecular weight melanoma associated antigen(HMW・MAA)はメラノーマ組織の85%以上に存在するが,正常組織では毛嚢などのごく一部しか存在せず,細胞膜からsheddingされることが少ないため免疫病理組織の分野のみならず,immunoscintigraphyやimmunotherapyなど臨床面で広く応用されるヒトメラノーマ関連抗原のひとつである.しかし,本抗原の担癌生体におけるimmunogenicityについての検討はあまりなされていない.今回我々は抗イディオタイプモノクローナル抗体を用いた新しいアッセイシステムにより,メラノーマ患者血清中の抗HMW・MAA抗体の検索を試みた.その結果,我々の用いたinhibition assayは従来検出されないと報告されていた抗HMW・MAA抗体の産生を一部の患者血清中に証明することができた.別に行った組織中の抗原の検索とあわせて検討すると,抗体の産生は病期によって異なり,今後本アッセイシステムによる抗メラノーマ抗体の検索の患者の予後や治療効果の判定に情報をもたらすものと考える.
  • 久米井 晃子, 中山 秀夫, 桜井 美佐, 鶴町 和道, 高岡 正敏
    1990 年 100 巻 11 号 p. 1127-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎(以下AD)患者49名及びそれ以外の皮膚炎患者(コントロール)18名,計67名にヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus,以下D.p.),コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae,以下D.f.),ケナガコナダニ(Tyrophagus ptrescentiae,以下T.p.)の生ダニ及び乾燥死ダニの虫体を粉砕してFinn chamberでas is patch testを施行し,次のような結果を得た.(1)死ダニでは全員陰性,生ダニでは11例の陽性反応が見られた.(2)雌雄別の検査では8:1で雌>雄に陽性反応を生じた.(3)粉砕虫体陽性例において,D.p.は11例中11例(100%),D.f.は5例中0例(0%),T.p.は4例中2例(50%)とD.p.に陽性が多く見られた.(4)ADにおける陽性率は合計で22.4%と低いが,陽性反応部に組織学的にspongiosisを生じ,組織球,リンパ球の浸潤を呈していることより,ダニ成分の接触によるⅣ型アレルギーのおこる可能性が示唆された.
  • 桜井 美佐, 中山 秀夫, 久米井 晃子, 鶴町 和道, 高岡 正敏
    1990 年 100 巻 11 号 p. 1135-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
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    アトピー性皮膚炎をアレルギー疾患としてとらえ,ダニ脂質の抗原性について検討した.(1)ヒョウヒダニの2種,即ちヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus,以下Dp).及びコナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae,以下Df)から各々脂質を抽出し,ダニ脂質抗原(Dp-L,Df-L)と仮称して貼付試験を施行した.飼料の抽出物(LC)とアセトンを対照した.(2)Df-L,LC,アセトンでは全例陰性で,Dp-LではAD21例中3例,非AD皮膚炎18例中3例計6例と少数ながらICDRG基準+以上の陽性反応を得た.(3)上記陽性反応の組織像はspongiosis,真皮上層の小円形細胞浸潤があり,好酸球も散見された.又,Leu6陽性細胞が表皮,真皮に多く認められた.(4)Dp-Lの脂質成分はリン脂質,中性脂肪が大部分を占め,リポ蛋白は含有されていなかった.以上より,ADにおけるダニ抗原は蛋白質のみでなく,脂質の検討も今後は必要と考えた.
  • 今井 龍介
    1990 年 100 巻 11 号 p. 1143-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
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    円形脱毛症患者末梢血中におけるHLA-DR+T細胞とnatural killer(NK)細胞サブセット占有率を種々の病型・病勢において検討した.自然治癒傾向の強い通常型の軽症例や全頭型(急性全頭脱毛症)では,これら占有率に異常を認めなかった.一方,自然治癒が困難であることが多い通常型の重症例や汎発型では,正常人に比較してHLA-DR+T細胞・NK細胞サブセット占有率の有意な増加を認めた.これら通常型の重症例や汎発型で認められた占有率の異常は,副腎皮質ホルモン療法による症状の改善に伴い減少傾向を示した.以上の所見は,これら難治性といえる通常型の重症例や汎発型の病像形成にHLA-DR+T細胞とNK細胞の関与する免疫異常が存在することを示唆するものと思われた.
  • 竹内 美奈子, 森嶋 隆文
    1990 年 100 巻 11 号 p. 1153-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
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    Pigmented spindle cell nevus(PSCN)とPigmented Spitz nevus(PSN)の異同につき,臨床的・病理組織学的に検討するとともに,これら疾患が悪性黒色腫の早期病変との鑑別に苦慮することが多いことから,手術前の穿刺吸引蛍光法,術中の病巣割面からのスタンプ蛍光法,術後の病巣中5-S-CD値の測定が悪性黒色腫との鑑別に客観的情報をもたらしてくれるか否かについて検討し,以下の興味ある結果を得た.1)病理組織学的検討:PSCNから5例,PSNが12例で,組織型に関し,PSCNでは境界型が2例,複合型3例,PSNでは境界型2例,複合型8例,真皮内型2例であった.腫瘍細胞の浸潤が乳頭下層までに限局するPSCNに比し,PSNでは乳頭下層までが5例,網状層に浸潤するのが7例であった.PSCN全例,PSN境界型,複合型全例で病巣辺縁部が表皮内胞巣で明確に境されており,表皮内の孤立性腫瘍細胞はPSCN5例中4例,PSN境界型と複合型10例中9例にみられたが,いずれもその数は少なかった.裂隙形成はPSCN全例でみられず,PSN境界型と複合型10例中5例にみられた.PSCN全例で腫瘍細胞内のメラニン量とメラノファージ内のメラニン量がほぼ同等であるが,PSN境界型と複合型では腫瘍細胞内のメラニンの量は全例表皮内胞巣やその直下の胞巣に限られ,メラノファージの存在が目立った.核分裂像はPSCN,PSNとも0~1,2個/nm2で,好酸球性小体はPSCN5例中1例,PSN12例中7例にみられた.2)臨床的事項:PSCN,PSNともに女性に多く,成人にもみられ,罹病期間は約1年,四肢に好発する.臨床像は,PSCNは径6mm以下,扁平台状に隆起,着色が一様な黒色色素斑であり,PSNは,時に径6mmを超え,黒色あるいは黒褐色で,半球状に隆起した丘疹や結節あるいは着色がまだらな黒褐色で扁平台状に隆起した色素斑であった.3)穿刺吸引蛍光法およびスタンプ蛍光法:穿刺吸引蛍光法ではPSCN3例中1例,PSN7例中2例において蛍光陽性腫瘍細胞が観察された.PSCN5例全例,PSN12例中11例で,割面のスタンプ蛍光法では蛍光陽性腫瘍細胞は観察されなかった.いずれの方法でも観察された蛍光陽性腫瘍細胞は1例を除けば,数は少なく,集塊をなし,樹枝状形態を示し,メラノサイト類似の細胞であった.4)病巣中5-S-CD値:PSCNでもPSNでも5-S-CD値が100ng/mg以上の高値を示した例はなく,PSCNにおける平均値は14.5ng/mg(5.2~25.3),PSNのそれは25.2ng/mg(ND~50.0)であった.5)以上の結果から,PSCNとPSNとは同義語ではなく,PSCNはPSNの一異型と考えられた.これら2疾患と悪性黒色腫早期病変との鑑別に,手術前の穿刺吸引蛍光法,術中の割面からのスタンプ蛍光法,術後の病巣中5-S-CD値の測定が有用であると結論された.
  • 安田 秀美, 小林 仁, 大河原 章
    1990 年 100 巻 11 号 p. 1167-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    昭和54年1月から昭和63年12月までの10年間に北海道大学皮膚科を受診した乾癬患者692名(男性423名,女性269名)を対象としてアンケート調査を施行した.寛解期間の有無,社会生活の制限,悪化因子,病院・医療・医師に対する意見,家系内の乾癬発症頻度などについて質問し,338名から回答を得た.乾癬患者における社会的,精神的側面を皮疹の重症度,性格,年齢等で解析した.乾癬に関する研究,治療の進歩にもかかわらず,多くの患者が社会的にも精神的にも大きな負担を感じていることが浮き彫りにされた.すなわち,62.4%が社会生活に何らかの制限を感じ,18.6%が職業の選択に影響を受けている.52.7%が乾癬のために特別な眼でみられていると感じ,伝染性とみられていやな思いをしたことがあると答えている.乾癬の悪化因子は季節(60.3%),ストレス(46.9%),睡眠不足(34.6%),不規則な生活(32.2%)の順で,従来の報告よりもストレスの占める割合が高くみられた.また重症な症例ほどストレスが悪化因子となることが多く,またストレスとして乾癬に対するイライラをあげるものが多くみられた.治療に対する満足度は低く(26.3%),乾癬についてもっと知りたいと感じているものが75.7%であった.乾癬患者の社会環境,家庭環境,自然環境とうまくつりあいを保ち,ストレス,その他の悪化因子をできるだけ取り除き,その上で治療にとりくむこと,また教育的治療の必要性,社会に対して乾癬の理解を求めることも重要な点と考えられる.
  • 藤本 亘, 神崎 寛子, 藤原 英城, 荒田 次郎
    1990 年 100 巻 11 号 p. 1173-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    22歳,女性.数年前よりアトピー性皮膚炎にて治療.初診の約6ヵ月前,誘因なく右肩甲背部の皮下に波動を触れる紫紅色斑が出現.漸次右側胸部へ拡大,ついで瘻孔を形成し,膿性もしくは漿液性~血性分泌液の排出を認めるようになった.組織学的所見は,真皮中~深層における非特異性炎と,組織球,巨細胞よりなる肉芽腫性炎を示した.組織片の培養により抗酸菌を分離しMycobacterium fortuitumと同定し,さらに分離菌が単一炭素源としてmannitol,inositolを利用して発育し得ることにより,biovariant “third group”と分類した.分離菌に対するMICはofloxacin,ciprofloxacinがすぐれており,doxycyclineついでofloxacinの内服により皮膚病変は略治した.亜種分類および薬剤感受性試験は迅速発育菌感染症の治療設定に有用と思われた.
  • 坂本 ふみ子, 伊藤 雅章, 小黒 啓子, 風間 隆, 藤原 浩, 手塚 匡哉, 佐藤 良夫
    1990 年 100 巻 11 号 p. 1183-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    83歳,女性の顔面に生じたadenosquamous carcinoma of the skinの1例について,電顕的および免疫組織化学的検索を行った.腫瘍は,扁平上皮細胞様細胞と印環細胞を含む粘液細胞からなり,腫瘍を覆う表皮内にも印環細胞様細胞が存在した.電顕的に,腫瘍細胞は多数の微絨毛を細胞辺縁に形成し,胞体内に張原線維,発達した粗面小胞体,およびムチン型分泌顆粒を有していた.印環細胞は,細胞質の大きな空胞内にムチン様の微細線維性構造物を含む細胞であった.また,腫瘍細胞間の所々に塊状物質を認め,それに面する腫瘍細胞に半デスモゾーム様構造と基底膜様構造が観察された.免疫組織化学的に,腫瘍細胞周囲の所々にラミニン染色陽性像を認め,また,腫瘍細胞はケラチン染色で重層上皮型ケラチンを発現していた.以上より,この腫瘍細胞は,表皮細胞を由来とし,それにムチンの異形成を生じた細胞と判断された.  
  • 麻生 和雄, 山本 聡, 近藤 慈夫, 下浦 孝子
    1990 年 100 巻 11 号 p. 1191-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    21歳,男,定形的臨床形態と経過を示す顔面の網状,毛細血管拡張性萎縮紅斑と共に,手・足背,肘・膝に著明な過角化病変を有し頭部毛,睫毛,眉毛の脱毛,若年性白内障,右橈・尺骨癒合症,歯発育異常のみられた定形的なRothmund-Thomson症候群の一症例を報告した.症例にみられた手・足背,掌蹠,肘・膝の過角化病変は本症候群に特徴的であり,診断的価値を有する.
  • 中島 澄乃, 森岡 眞治
    1990 年 100 巻 11 号 p. 1199-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    表皮細胞の遊走における表皮細胞由来のplasminogen activator(PA)の重要性について,表皮細胞培養系の創傷治癒モデルを用いて検討した.まず表皮細胞に各種プロテアーゼ阻害剤を添加培養したところ,セリン系プロテアーゼ阻害剤であるcamostat mesilate添加においてのみ,表皮細胞の遊走が著明に阻害された.又,plasminogenの添加では,遊走は促進され,更にPA(u-PA)活性の特異的阻害剤である抗PA抗体(anti-urokinase IgG)を添加すると表皮細胞の遊走は有意に抑制された.以上の結果から,表皮細胞の遊走という生理的機能の発現にPA/plasmin系が重要であるものと考えられた.
  • 川島 真, 上村 知子, 川上 理子, 肥田野 信, 松倉 俊彦
    1990 年 100 巻 11 号 p. 1203-
    発行日: 1990年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    腎移植後の免疫抑制患者に生じた特異な伝染性軟属腫(MC)の1例及び小児の通常のMC7例の皮疹より,全DNAを抽出し制限酵素BamHIで切断後,アガロースゲル電気泳動を行った.その結果,全例でMCウイルス(MCV)DNAの切断片が観察され,少なくとも3種類の異なる切断パターンに分けられることが判明し,仮にMCV-a,-b及-cと命名した.小児では全例MCV-aまたはMCV-bが検出された.切断パターンからMCV-aと-bは高い相同性を有することが示唆され,その関与しているMCの臨床像にも違いは認められなかった.一方,免疫抑制患者ではMCV-cの感染がみられたが,MCV-cのパターンはMCV-a及び-bとは全く異なっていた.MCVの多型性が明らかとなり,MCVの違いにより臨床像も若干の相違を示すことが示唆された.
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