日本皮膚科学会雑誌
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81 巻, 7 号
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  • 小川 俊一
    1971 年 81 巻 7 号 p. 553-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    脂腺機能と皮膚疾患との関係は,古くから皮膚科領域における重要な課題の一つとして,諸家により検討されている.脂腺機能に関しては,主として皮脂の生化学的研究が取り上げられており,形態学的にこれを追求した報告は,必ずしも多くないが,近年,皮膚科領域における脂腺の形態学的研究としては,各種ホルモン,特に性ホルモン使用の影響に関するものが散見される.もともと,脂腺細胞の形態的変化と機能とは相応ずることが多いと考えられているが,脂腺の数・大きさは年令・性別によって差があり,同一個体においても,それらが部位によって異なることが知られている.しかも脂腺は全分泌腺である点が大きな問題であり,常に変動を示すこ個々の細胞は,正確な計測を一層困難ならしめている.一方,脂腺細胞の形態学的特徴は周知の如く,一般に幼弱な細胞が最も多く,成熟せる細胞は比較的少ないが,これらの腺細胞が多数の層をなしている.最外層即ち基底膜に接する周辺部における細胞は,低い円柱状を呈してほぼ一層に配列し,次の層から腺胞の中心部にかけて細胞は次第に大形となり,形も比較的不規則化し,細胞質内に脂肪滴を生じ,腺胞も成熟するにつれて肥大する.核は周辺部細胞では1個の核小体を有しているが中心部に近づくにつれて濃縮し,萎縮し遂に消失する.従つて,腺体は外層より内側に向つて,基底膜に接する部分を外層,核濃縮・細胞質脂質化を示す大型細胞の多い中心帯を内層および,その中間の層の3層に区別できる.今回,著者は健常人ならびに皮膚疾患患者についてひとつの試みとして脂腺細胞の成熟過程を個々の細胞における細胞容積と核体積の比の変化を指標として観察を行ない,2,3の知見を得たので以下に報告する.
  • 増田 勉, 本田 史朗, 中内 洋一, 伊藤 裕喜, 木下 正子, 原田 昭太郎, 矢尾板 英夫, 溝口 昌子
    1971 年 81 巻 7 号 p. 566-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    1961年Wilkinsonが3,3',4',5-tetrachloro-salicylanilide(TCSA)による光接触皮膚炎の爆発的流行を報告して以来,石鹸,シャンプー,化粧品,外用医薬品などにいれられている,TCSAと類似化学構造をもつ殺菌剤の3,4',5-tribromosalicylanilide(TBS),4',5-dibromosalicylanilide(4',5-DBS),3,5-dibromosalicylanilide(3,5-DBS),bithionol(2,2'-thiobis[4,6-dichlorophenol]),hexachlorophene(G-11,2,2'-methylenebis[3,4,6-trichlorophenol]),dichlorophene(G-4,2,2'-methylenebis[4-chlorophenol]),3,4,4'-trichlorocarbanilide(TCC),3-trifluoromethyl 4,4',-dichlorocarbanilide(TFC,Irgasan CF3)や抗白癬菌剤の5-bromo 4'-chlorosalicylanilide(BCSA,multifungin),fenticlor(S-7,2,2'-thiobis[4-chlorophenol])が光感作物質(photosensitizer)として注目され,これらによる光接触皮膚炎が諸家により報告されている(図1).著者らは東大皮膚科専門外来において昭和43年12月より昭和45年8月までにbithionol,TBS,Diaphene(TBSと4',5-DBSの8:2の合剤),hexachloropheneによる光接触皮膚炎48例を観察したので,検査成績および臨床所見をまとめて報告する.
  • 増田 勉, 本田 史朗, 中内 洋一, 伊藤 裕喜, 木下 正子, 原田 昭太郎, 矢尾板 英夫, 溝口 昌子
    1971 年 81 巻 7 号 p. 584-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    3,3',4',5-tetrachlorosalicylanilide(TCSA),3,4',5-tribromosalicylanilide(TBS),4',5-dibromosalicylanilide(4',5-DBS),3,5-dibromosalicylanilide(3,5-DBS),bithionol(2,2'-thiobis[4,6-dichlorophenol]),hexachlorophene(G-11,2,2'-methylenebis[3,4,6-trichlorophenol]),dichlorophene(G-4,2,2'-methylenebis[4-chlorophenol]),3,4,4'-trichlorocarbanilide(TCC),3-trifluoromethyl 4,4'-dichlorocarbanilide(Irgasan CF3,TFC)などの殺菌剤や5-bromo-4'-chlorosalicylanilide(BCSA,multifungin),fenticlor(S-7,2,2'-thiobis[4-chlorophenol])などの抗白癬菌剤が光感作物質として注目され,これらによる光接触皮膚炎が諸家により報告されているが,著者らもさきにbithionol,TBS,Diaphene(TBSと4',5-DBSの8:2の合剤),hexachloropheneによる光接触皮膚炎48例を報告した.これらの殺菌剤や抗白癬菌剤は光感作物質であると同時に接触アレルゲンであり,光線の関与なしに接触皮膚炎を生ずる可能性がある.しかし,接触皮膚炎の場合は,光接触皮膚炎に比べ皮膚障害の程度が軽いため皮膚科医の関心が低く,未だ接触皮膚炎についての報告はない.著者らは東大皮膚科専門外来において,昭和44年3月より昭和45年8月までの1年6ヵ月間に石鹸,化粧品などにいれられている殺菌剤のhexachlorophene,Irgasan CF3(以降TFCと略記),TCC,TBS,Diapheneによる接触皮膚炎33例を観察し,これらの殺菌剤は光接触皮膚炎と同時に接触皮膚炎の原因として考慮する必要を認めた.次に検査成績,臨床所見をまとめて報告する.
  • 安江 隆
    1971 年 81 巻 7 号 p. 588-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    プラスミン(以下PLと略記)が,その線溶作用とキニン生成作用とによって血液循環の恒常性の維持に役立つているのみならず,炎症,出血,ショックなどの生体内における各種の病的状態の発現に際してもまた重要な役割を演ずることが次第に明らかになつてくるにつれて,PLは多くの研究者の注目を受けるようになり,今日迄これらの研究者たちによつて線溶現象に関する多くの優れた研究がなされてきた.しかしながら,これらの研究の大部分が全身線溶ないし血中線溶のみを対象としており,局所線溶を対象としたものや,これを同時に検討したものは少なかつたということには問題がある.血中の線溶活性の上昇をほとんどきたすことなくして広範囲にわたる異常な局所的線溶活性の亢進が存在することがあることがすでに知られているし,また,血中のプラスミノーゲンアクチベーター(以下Plg-Actと略記)やPLのみならず,局所で遊離ないし活性化される各種の線溶性プロテアーゼがその線溶に関与する組織傷害部位や炎症部位では,その局所線溶の機序は血中線溶のそれに比しはるかに複雑である.今回の著者の研究は,Fibrinolysis autograph technique(以下FATと略記)によつて,各種皮膚疾患の病変部皮膚における局所線溶の動態を明らかにするとともに,この局所線溶に関与しているプロテアーゼについての検討を行ない,さらに,この局所線溶所見と,同時に検索を行なつたその血中線溶の動態との比較検討により,全身線溶系と局所線溶系の相互関係にもメスを加えることをその主目的としている.
  • 古谷 達孝, 池田 重雄
    1971 年 81 巻 7 号 p. 601-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    DOPA反応は現在主にBrocq原法を修飾したLaidlawおよびBlackberg法(以下L-B法)により行なわれているが,このものはその準備,標本作製に,また反応終了までに長時間を必要とし,かつ実験中の操作に複雑な手技を必要とし必ずしも容易なものではない.
  • 青山 久
    1971 年 81 巻 7 号 p. 603-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    著者は先に,機械的刺激が加わつたときに膨疹の発生をみる人工蕁麻疹の血清中に,皮膚描記症を正常人に移すことのできる物質が存在することを確かめ,この物質がIgAあるいはIgE分画に属する蛋白質であることを明らかにした.すなわち,皮膚描記症を呈する人工蕁麻疹患者の血清0.1mlを正常人の皮内に注射して,注射によつて発生した膨疹が消失した後(6時間後)に同部位に機械的刺激を加えたところ膨疹発生をみた.この血清成分は56℃,30分加熱によつて活性がなくなり,collodion backを通過せず,易熱性の高分子物質であつた.zink sulfateを使用して塩析を行なつた結果,活性は上清に残つた.上清中にはIgG,IgMがなく,原血清の2倍程度のIgAが存在した.この結果,血清成分がIgG,または,IgMでなく,IgA,または,IgEである可能性が考えられた.つぎに,抗IgE血清も含まれるBehringwerke社製の抗IgA血清にてimmunoabsorptionを行なうと活性は消失した.以上より,血清成分がIgA,あるいは,IgEであることが分つた.
  • 1971 年 81 巻 7 号 p. 604-
    発行日: 1971年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
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