日本皮膚科学会雑誌
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113 巻, 11 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
生涯教育講座
  • 井上 多恵, 真鍋 求, 板見 智, 佐々木 雄彦, 仲野 徹, 鈴木 聡
    原稿種別: 生涯教育講座
    2003 年 113 巻 11 号 p. 1641-1650
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    PTEN is a dual protein ; lipid phosphatase and hereditary heterozygous mutation of PTEN is associated in humans with Cowden disease, a rare autosomal dominant familial syndrome with a high risk of developing benign and malignant tumors in many organ systems. To investigate the role of PTEN in skin development and oncogenesis, we used the Cre-loxP system to generate a keratinocyte-specific null mutation of Pten in mice (k5Ptenflox/flox mice). k5Ptenflox/flox mice exhibit wrinkled skin as the result of epidermal hyperplasia and hyperkeratosis and ruffled, shaggy, and curly hair. Histological examination revealed that skin morphogenesis is accelerated in k5Ptenflox/flox mice. All k5Ptenflox/flox mice develop spontaneous tumors within 8.5 months of birth. PTEN is thus an essential regulator of normal homeostasis and oncogenesis in the skin.
原著
  • 長谷川 敏男, 溝口 将之, 須賀 康, 池田 志斈, 小川 秀興, 久保 健太郎, 松井 宏道, 加川 志津子, 黒柳 能光
    原稿種別: 原著
    2003 年 113 巻 11 号 p. 1651-1659
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    劣性栄養障害型先天性表皮水疱症と診断されている28歳,男性.右手背と手掌に生じた8×4 cm,5×3.5 cm,いずれも真皮深層に達する難治性皮膚潰瘍に対して軟膏治療,創傷被覆材による抗潰瘍治療を約1年間にわたり継続したが改善を認めなかった為,同種培養真皮による潰瘍治療を試みた.その結果,治療開始後10日目には良好な肉芽の形成を認め,6週目には潰瘍の著明な縮小が認められた.同種培養真皮は難治性となった先天性表皮水疱症患者の皮膚潰瘍に対して,将来有望な選択肢の一つとなることが示唆された.
  • 義澤 雄介, 川名 誠司
    原稿種別: 原著
    2003 年 113 巻 11 号 p. 1661-1669
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    市井におけるMRSAのnasal carrierの存在が最近注目されている中で,その社会環境を反映するかのようにMRSAによる伝染性膿痂疹(膿痂疹)やブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)の報告が増えてきている.我々は,膿痂疹やSSSSなどの外来患者から分離されたMRSAの抗菌剤感受性パターンが,院内感染によるMRSAの感受性パターンと往々にして異なることに着目し,外来患者から分離されたMRSAを感受性パターン別に分類することを試み,それぞれ疾患,罹病期間,FOM注射薬の併用効果について検討した.分離されたMRSA株は,CEZ,CTM,CMZ,CFPM,SBT/ABPC,LVFX,MINO,ABK,IPM/CS,TEIC,VCM,FOMの各単独薬剤のMIC(μg/ml),およびFOM(注射薬濃度)併用培地でのMICについて測定した(LVFX以外はすべて注射薬を用いた).MRSA28株が得られ,それぞれMINOとFOMの感受性パターンにより3群に分類した.MINOとFOMの両者に高度感受性のある株をType A,MINOに高度感受性,FOMに中等度感受性から耐性を示すものをType B,いずれにも中等度感受性から耐性を示すものをType Cとした.Type AとType Bはそれぞれ6例,10例に認められ,セフェム系(注射薬),SBT/ABPC以外の抗菌剤は感受性を呈した.両タイプとも膿痂疹などの急性感染症に多くみられ,FOM(注射薬濃度)併用培地では全ての注射用セフェム系抗菌剤とSBT/ABPCは他剤と同程度の感受性を示した.一方,12例に認めたType Cでは,うっ滞性皮膚炎の2次感染など遷延した感染症が多く(8例),ABK,TEIC,VCMのみに感受性を呈す高度耐性を示した.FOM(注射薬濃度)併用培地ではLVFXが感受性を示した.Type Cが存在する理由として,長期にわたる抗菌剤投与により高度耐性であるType Cが病巣部に残存したこと,長期にわたり多種類の抗菌剤を投与したことによりMRSAに高度耐性を選択させてしまったこと,さらに,長期間の通院における院内感染の3つの可能性を考えた.しかし一方で,Type Cによって急性感染の像を呈した症例が4例に認められ,Type AやType Bによる急性感染症例とともに市中感染による発症が推察され,市井におけるType Cのnasal carrierの存在が懸念された.本稿では抗菌剤感受性パターンによりMRSAを分類し,分類別に各種抗菌剤とFOM注射薬の相乗効果が予想できることを示した.これは膿痂疹やSSSSなどの表在性感染や上気道感染ばかりでなく,肺炎などの深在性感染を含むMRSA感染症全般に対して,抗菌剤注射薬の選択に有用であると考えた.Type AではMINO注射薬またはFOM注射薬の単剤投与,TypeBでは第1世代や第2世代の注射用セフェム系抗菌剤とFOM注射薬の併用療法の有用性が示唆された.一方Type Cでは,例えSSSSであっても重症の場合にはABK,TEICまたはVCMにFOM注射薬を併用する積極的抗菌剤投与の必要性が推察された.また小児を対象外としているLVFX(ニューキノロン系)がFOM注射薬併用でType Cに対し感受性を示したことから,成人患者にはFOM注射薬とニューキノロン系内服薬の併用療法の有用性が推察された.
  • 村澤 章子, 木村 鉄宣
    原稿種別: 原著
    2003 年 113 巻 11 号 p. 1671-1676
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2014/12/13
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    当科で臨床的に多形慢性痒疹と診断した,77例の病理組織学的検討を行った.病理組織診断は,虫刺症型反応が52例(67.5%),蕁麻疹型反応が15例(19.5%),海綿状皮膚炎が6例(7.8%),境界型皮膚炎―空胞変性型が1例(1.3%),慢性単純性苔癬が1例(1.3%),瘢痕―表在型が1例(1.3%),偽リンパ腫が1例(1.3%)であった.多形慢性痒疹の病理組織像としては,虫刺症型反応が最も多く見られた.虫刺症型反応とは,真皮上層から中下層の血管周囲にリンパ球,組織球,好酸球,時に好中球で構成される密な炎症細胞浸潤があり,膠原線維間にも同様の細胞が浸潤し,炎症細胞の分布が真皮上層で密,下方へ行くにしたがい粗となる楔状(wedge shape)を呈する,といった特徴的な炎症細胞浸潤様式を示すものを言う.
  • 岩田 洋平, 柳田 邦治, 臼田 俊和, 小寺 雅也, 菅原 京子, 山田 真, 村上 榮
    原稿種別: 原著
    2003 年 113 巻 11 号 p. 1677-1687
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2014/12/13
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    66歳,男性.1999年頃から体幹に?痒を伴う紅斑が出現し,次第に紅皮症状態を呈するようになった.2001年12月の皮膚病理組織所見では,convoluted cellの表皮内と真皮血管周囲性の浸潤を認めた.2002年1月には末梢血中にもconvoluted cellが出現し,発熱,全身の浮腫,表在リンパ節腫脹を伴って急激に紅皮症は増悪した.Southern blot法を用いた末梢血のTCR再構成の検索を行ったところ,Cβ1,Jβ1に再構成バンドが確認された.以上の臨床像,病理組織所見,血液検査所見よりSézary syndrome(SzS)と診断した.急速な臨床経過であり予後不良であると考えられたため,化学療法の施行について苦慮したが,患者の年齢を考慮して副作用の少ないnatural IFN-γを投与することとした.IFN-γによる治療開始後,末梢血液中のSézary細胞は著明に減少して紅皮症も改善した.発症後1年以上経過しているが,週に一回のIFN-γの筋注で皮膚症状は寛解状態を維持しており,末梢血中のSézary細胞も低値で推移している.また,経過中IFN-γによる副作用は認められなかった.予後不良とされるSzSをはじめとしたErythrodermic CTCLに対しても,IFN-γ療法は試みる価値のある治療法と考えられた.
  • 青木 見佳子, 川名 誠司, 坂本 篤裕, 青木 孝文
    原稿種別: 原著
    2003 年 113 巻 11 号 p. 1689-1693
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    反射性交感神経性ジストロフィー(reflex sympathetic dystrophy, RSD)の2例を報告した.症例1,54歳女,左第2指先端の毛細血管拡張性肉芽腫摘出後,1カ月で発症.症例2,32歳女,特に誘因なく左第1趾に発症.ともに患指趾の持続的で高度な疼痛,運動制限,腫脹,発赤,痛覚過敏を呈した.症例1はシーネ固定,運動療法,症例2は交感神経ブロックなどでともに発症後約1年で軽快した.RSDは皮膚科医が遭遇することは極めて稀であるが,診断が遅れると症状は非可逆性となり患者に強い苦痛を与える.皮膚科領域では指趾の小手術または生検後,帯状疱疹後,また悪性腫瘍や膠原病に随伴してRSDの発生が報告されており,また腫脹,発赤,冷感,発汗異常,爪・発毛の異常などRSDの皮膚症状を主訴に皮膚科を受診する可能性がある.RSDでは早期診断,早期治療が予後に大きく関わるため,皮膚科医も十分な認識を持つべき疾患である.反射性交感神経性ジストロフィー(reflex sympathetic dystrophy, RSD)はペインクリニックの領域では難治性疼痛をきたす代表的疾患であるが,皮膚科医が遭遇することは極めて稀である.しかし,早期診断,早期治療が予後に大きく関わるため,皮膚科医も十分な認識を持つべき疾患でもある.今回当科で経験したRSDの2例を報告する.
  • 岸本 和裕, 中村 晃一郎, 金子 史男
    原稿種別: 原著
    2003 年 113 巻 11 号 p. 1695-1710
    発行日: 2003/10/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    近年,BP180 NC16a・ELISA法の導入により高い感度,特異性を有する類天疱瘡の診断および病勢のモニタリングが確立されつつある.しかし,類天疱瘡では多彩な臨床所見を呈し,水疱発症機序も複雑である.そこで,類天疱瘡患者8例について治療経過中,臨床症状(水疱,紅斑,そう痒),血清IgE値,好酸球数,Indirect immunofluorescence(IIF)titerおよび抗BP180 NC16a抗体価の推移について解析し,それらの臨床的意義を検討した.臨床症状の軽快に伴い,ほぼ全例で血清IgE値,好酸球数,IIF titerおよび抗BP180 NC16a抗体価の低下を認めた.そのうち,好酸球数と抗BP180 NC16a抗体価はより鋭敏に,一方血清IgE値とIIF titerはやや症状に遅れて低下する傾向があった.また,症状の再燃時に好酸球数,IIF titerおよび抗BP180 NC16a抗体価の上昇を認めた例が散見されたが,特にELISAスコアが最も鋭敏であった.ELISAスコアとIIF titerを比較した際,ELISAスコア陽性/IIF titer陰性となる例とELISAスコア陰性/IIF titer陽性となる例を認めた.その理由として,前者は感度の違い,後者は認識する自己抗体の違いによるものであると推察した.通常の100倍希釈血清でELISAスコアが高値(Index値>150)を示した各症例において,至適希釈率および真の抗体価を求めた上でモニタリングしたところ,的確に病勢を把握することが可能であった.また,血漿交換療法を施行した難治性類天疱瘡患者に対して,その前・後においてELISAスコアの変動を解析したところ,病因となる血中自己抗体(抗BP180 NC16a抗体)の除去の確認が可能であり,その併用に伴う具体的な有用性が示された.これらの結果より,類天疱瘡の治療に際して多彩な臨床症状を念頭に置きながら,抗BP180 NC16a抗体価を中心として,血清IgE値,好酸球数,IIF titerを定期的に測定することは有意義であると考えた.
学会抄録
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