今回,我々は,家族内の4例に持続感染し,再発を繰り返す難治性MRSA癤腫症を経験した.開放膿分離MRSAのパルスフィールド電気泳動解析によって,本症例が同一MRSAによる家族内感染であることをつきとめた.MRSAのSCC
mec型がV型であったこと,MRSAがPanton-Valentine leukocidin陽性であったこと,さらに非β-ラクタム系抗菌薬の多くに感受性であったことなどから市中型MRSAと判定した.全例にST合剤の長期投与を行った.アトピー性皮膚炎のない2例は完治に至ったが,アトピー性皮膚炎を罹患する2例は再発の制御が困難であった.
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