脳血管性痴呆疑いの77歳男性の体幹,四肢に生じた片側性coma blisterを検索した.病理組織学的に角層下および表皮下水疱で,表皮内および真皮内エクリン汗管に変性像を認めた.In situ nick end labeling of dUTPにより,光顕的および電顕的に,病変部マルピギー層の多数の表皮細胞にDNA断片化が証明された.これまで,coma blisterにおける表皮細胞の変化はネクローシスであると報告されていた.しかし,圧迫による皮膚の循環障害が発症機序と考えられていること,近年,心筋や中枢神経系において虚血によるアポトーシスが報告されていることなどから,今回我々が証明したDNA断片化はアポトーシスを示唆している可能性がある