本邦における10歳代の足白癬の頻度や実態を把握する目的で,福岡県久留米市の中高一貫校生徒を対象に足白癬の疫学調査を実施した.全生徒(1,068名,男子生徒993名,女子生徒75名)における罹患率は1.97%(男子生徒2.10%,女子生徒0%)であり,病型としては趾間型が大半を占め,角質増殖型や足爪白癬の合併はみられなかった.菌学的所見より同定した分離菌はすべて
Trichophyton mentagrophytesであり,分子生物学的にはすべて
Trichophyton mentagrophytes var.
interdigitale/
Arthroderma vanbreuseghemiiと一致した.自宅通学生徒と比較し,寮生徒の罹患率が高い傾向にあった.これまでの全年代を対象とした疫学調査と比較すると,中学・高校生における足白癬罹患率は低いものの,寮生活など集団内で感染リスクが高くなる可能性も示唆されたことから,中学・高校生を中心とした10歳代においても足白癬の積極的な診断・治療が不可欠である.
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