1.ステロイド外用などの従来の治療法に抵抗性・難治性の重症アトピー性皮膚炎(AD)を対象として,入院患者25名に外用PUVA療法を施行した.治療期間中ステロイドは併用しなかった.その結果,18名(72%)の著効例が得られた.治療に要した照射回数は平均18.2回であり,総照射量は平均44.7J/cm2であった.また,その18名中7名では比較的長い寛解期間(1~25ヵ月,平均6.3ヵ月)が得られ,外用PUVA療法は,ステロイド外用法など一般的治療に対して抵抗性を示す難治・重篤なADに非常に有効な治療法であることがわかった.2.PUVA療法が,どのようなAD患者に対して効果を発揮しやすいかということを検討するために,効果度と臨床的パラメーターとの関連性を解析した.その結果,PUVA療法は,1)女性,2)最少光毒量(minimal phototoxic dose:MPD)の低い者,3)重症度の高い者,4)末梢血中の好酸球数の高い者に,より効果を発揮する傾向にあることがわかった.なお,効果度と総照射量,血清IgE値,IgE・RAST値との関連性はほとんどみとめられなかった.これらの結果は,今後,症例数を更に増やしつつ検討することが必要とは思われるが,PUVA療法のADに対する適応基準を考える上において,現時点での一つの目安になりうるものと考えられる.
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