日本皮膚科学会雑誌
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70 巻, 8 号
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  • 1960 年 70 巻 8 号 p. 770-
    発行日: 1960年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
  • 菅原 亨
    1960 年 70 巻 8 号 p. 777-
    発行日: 1960年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    廣義のエステラーゼは周知の如く有機酸又は無機酸とアルコール類から水を分離してエステルを生成し,逆にエステルを加水分解して酸とアルコールを生ずる反應を触媒する酵素である(RCOO+HOR'→←RCOR'+H2O).エステラーゼのうち,高級脂肪酸とグリセリンのエステルを分解するものがリパーゼ,低級脂肪酸と1價のアルコールとのエステルを分解するものが狭義のエステラーゼ(非特異性エステラーゼ),又脂肪酸とコレステリン・コリンとのエステルを分解するものがコリンエステラーゼである.しかし乍ら,リパーゼとエステラーゼの兩者は化学的に必ずしも劃然と区別されるものでなく,エステラーゼも脂肪を分解しうるし,リパーゼも簡単な低級脂肪酸エステルを分解しうるものともいわれている(Pearse).近年,Gomori,Nachlas et Seligmanは廣義のエステラーゼをアリエステラーゼとコリンエステラーゼとに分け,アリエステラーゼを更にリパーゼと非特異性エステラーゼとに分け,リパーゼとはグリセリンと長鎖の脂肪酸のエステルを主として分解するもの,非特異性エステラーゼとは1價のアルコール短鎖の脂肪酸のエステルを主として分解するものとしている.皮膚に於ける脂肪酸代謝に関與する酵素としては勿論エステラーゼがあげられるが,Porter,Wohlgemuth and Nackamura等が皮膚組織抽出液が短鎖脂肪酸のエステルを分解することを見出して以来,皮膚に於ける脂肪酸代謝には非特異性エステラーゼが重要な役割を演ずることが推測され,皮膚に於ける該酵素の活性に関する檢討が最近主として組織化学的手法によつて行なわれるようになつた.さて,非特異性エステラーゼの組織化学的証明法としては,從来Gomoriのツイーン法が主として用いられていたが,その染色特異性に関しては疑問が持たれており(Lison),近年では,Nachlas et SligmanにはじまりGomoriによつて簡便化されたazo-dye coupling method(ナフトールAS醋酸法,α-ナフチル醋酸法,インドキシル醋酸法)が汎用されている.これらの方法はその呈色の強弱,染色特異性などに就て夫々,一長一短があるが,ツイーン法と異なり,いづれも酵素作用によつて生じたアルコールを,ナフトール,ヂアゾ化合物との反應によるアゾ色素形成によつて捕捉するものであり,その特異性はツイーン法に勝る.さて,非特異性エステラーゼは生体内諸臓器に比較的廣汎に分布し,特に肝はその代表的なものであるが,皮膚に於ける本酵素の分布に就ての檢索は比較的少く,Gomori法では脂腺及び表皮角層に(Montagna-Parke 1948),ツイーン60によるRichterrich変法で毛孔の皮脂に(Steigleder 1956),或いは脂腺に(Montagna-Nobach-Zak 1948)僅かに認められるという.一方,アゾ色素法によるものとしてはNachlas et Seligman3)がβ-ナフチル醋酸を基質とする方法によつて檢討した結果,ヒトの皮膚では活性を認めなかつたと報じた以外は,Findlay,Montagna,Braun-Falcoはα-ナフチル醋酸又はインドキシル醋酸を基質とする方法により,いづれもヒトの皮膚に非特異性エステラーゼ活性を認めている.又,Nicolaides et WellsはナフトールAS醋酸法,インドキシル醋酸法により脂腺の皮脂排泄管に非特異性エステラーゼ活性を認
  • 菅原 亨
    1960 年 70 巻 8 号 p. 785-
    発行日: 1960年
    公開日: 2014/08/29
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    第1篇に於いて著者は非特異性エステラーゼ(以下非エと略す)の健常皮膚組織に於ける活性の分布を部位,性別及び年齢別に檢索してこの活性分布は表皮機能,就中,表皮角化現象及び汗脂分泌現象と密接に関連するであろうと推測した.そこで本篇に於いては,異常角化,異常汗脂分泌を主徴とする皮膚疾患を中心として,各種皮膚疾患に於ける非エ活性を追求した結果に就て報告する.
  • 近 小弥太
    1960 年 70 巻 8 号 p. 793-
    発行日: 1960年
    公開日: 2014/08/29
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    角膜の前面は発生学的には外胚葉性上皮と間葉性実質とから成り,皮膚と極めて近縁若しくは同列とも看做しうる.もとより角膜はその透明性に依つて眼光学系に於いて樞要な地位を占めるものであるから,その構造に於いて皮膚と甚しく異る面があることは勿論であるが,近時多くの学者に依つて研究されつゝあり然かも猶お疑問の残されて居る所の皮膚疼痛神経末の問題を異なる角度から考察するためには,角膜は興味深い対象である.何となれば角膜は肛門粘膜と共に身体のうちで最も痛覚に対して鋭敏な部位であるのみならす,後に述べる如くその中央部に於いては多小異論もあるが,専ら痛覚のみを有すると看做し得るからである.また角膜がその中央部に色素を有して居ないこと,適当な動物を選べばその全層を1枚の神経染色標本として観察出来ることなども神経の研究に好都合である.角膜神経に関する最初の記載はSchlemm(1830)に始まる.それ以前は角膜には神経が存せぬものと考えられていた.氏は角膜神経は毛様神経に由来し,角膜表在性神経枝及び深在枝の二種より構成さると稱えたが,1837年Bochdalekは其の説を肯定した.角膜神経の顯微鏡的研究はCohnheim(1867),Hoyer等によつて始められたが,其後Dogiel,Attias,Agababo等により染色した角膜神経の末梢に関する研究が行われた.本邦では中島(1929),横松(1931)が人間及び動物角膜神経に関する詳細な研究を行つている.Reiser(1936)はBielschowsky諸染色,殊にGros変法を用いて角膜に於けるTerminalreticulum及びpreterminales Netzwerkに就き記載して居るが,その論文の冒頭に於いて既往に,角膜神経に関しては200に近い研究が公にされて居るが,その詳細は必ずしも解明せられたとは云い難いと述べて居る.更に1937年には半月神経叢を剔出して角膜神経のWaller氏変性を起させて観察したが,兩報告を通じて角膜神経の末梢は総てpreterminales Netzwerkを経てTerminalreticulumに移行するものであつて,それ等の間に植物性と知覚性との別を設け難いと述べて居る.反之瀬戸敎授及び坂本氏は,角膜実質内並に角膜上皮内に特記すべき終末に移行することなく終る所の知覚線維を記載して居る.Rodgerも亦金染色に依り角膜上皮内に遊離神経終末を見て居る.元来角膜神経染色には,Cajal乃至Bielschowskyによる鍍銀染色,並びにメチレン青の生体及び超生体染色が最もb\々行われている.Szymonowicz(1935)はメチレン青法は神経の周囲の細胞原形質に対する状態を知るに好都合であると述べている.色素を有する皮膚組織では鍍銀染色はやゝもすると銀粒子の爲に末梢神経終末構造を見難くする欠点を有するが,角膜の如き透明組織に於いては,此の兩染色法は他の如何なる組織に於ける染色所見より遙かに美麗な組織像を與える.著者はBielschowsky-瀬戸氏鍍銀染色,メチレン青超生体色,Weigert-Pal変法による髄鞘染色,Schiff染色に於けるLiang氏変法等を諸種動物角膜組織に施行し,其の形態学的観察を行つた.一般に皮膚神経では知覚神経は主として有髄神経線維よりなり,疼痛及び瘙の一部が無髄神経に依つて傳達されると考えられて居る.また植物神経は一般に無髄神経線維である事が知られている.角膜では知覚神経も亦角膜輪状部を越えると其の殆どが髄鞘を失つて無髄神経線維となるため個々の線維が有髄神経に由来するものか無髄神経に由来するものかの判定は極めて困難である.
  • 木下 瞭
    1960 年 70 巻 8 号 p. 815-
    発行日: 1960年
    公開日: 2014/08/29
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    母斑組織が真皮深層にはじまり,上昇するに從つて複雑に分岐し,其の構成要素たる母斑細胞も亦層を追つて次第にその形態が推移してゆく状態は,夙にMassonに依つて植物の花の姿にたとえられた.その姿はまた,観点を変えて観れば,皮膚に於ける神経櫛起源性諸要素(メラノブラスト,Schwann氏合胞体,Terminalzellen)の配置と母斑組織の構築との間にも驚くべき共通点がある(川村,插圖95,96).然し乍ら一般の母斑組織に就て見れば,多数の構築單位入り乱れ縺れ合って居て,個々の構築単位の姿が上記の如きものであろうということが抽象的に理解されるに過ぎないものであつて,個々の單位構築の姿を実際に追求したものは無い.母斑構築の最小單位を求めうるとすれば,それは最も小規模な色素細胞母斑,即ち黒子に於いてであろう.我國で黒子と呼ばれるものの多くは,之を色素細胞母斑と看做してよいが(後述),黒子の原語lentigoの概念は,我國と外國とで多少趣を異にして居るので,その語義に就て予め述べる.
  • 野崎 憲久
    1960 年 70 巻 8 号 p. 835-
    発行日: 1960年
    公開日: 2014/08/29
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    周知の如く生体に於けるメラニンの生成機轉は頻る煩雑でtyrosine,tyrosinase,銅その他の金属元素,SH基,温度等直接色素形成に関與すると思われる因子の外に,下垂体(MSH),下垂体副腎系機能,副腎等の内分泌器官等の中樞的因子の支配にも與り,更に之等臓器を介して自律神経とも密接な関係が推測されている.かく種々なる分野に於いて古来内外多数の研究者達により膨大な研究業績の輩出を見るに拘らずメラニンの化学的本態が今日尚明白にされていないのは,メラニンが一つには凡ての溶媒に難溶性で純化が困難であるため,更にはその生成機序に參與する因子が極めて複雑多岐に亘るためで,その組成も黒色の重合体として所謂melanoidと蛋白の結合体であろうという程度しか判つていない状態である.然し乍ら1917年Blochがdopaoxydase説を発表してメラニン形成機序に劃期的一石を投じて以降,Fitzpatrick et al.が人間皮膚より組織化学的にtyrosinaseを証明しその性状が次第に解明されるに從つてSH基,金属元素等の因子が酵素作用に於いて果す役割も究明され,メラニンの生化学的性質の解決に曙光を見出しつゝある.金属元素殊に銅がメラニン色素に及ぼす影響に関しては,それが必須因子であることが既に古くより知られ,in vitro,in vivoでの観察が行われており,Kubowitz,Keilin & Manがtyrosinaseを銅蛋白複合体としてその活性に対する銅の意義を見出してより多数の研究者の文献に接し得るが,今日尚お生体内での銅等の代謝が十分解明されておらず色素形成に関しても之が酵素賦活性及びSH基との関連等その全貌を探究し得た所迄行かず,更にその量的実測値に就ても先達の成績が一定していない爲メラニンと銅の関係を論ずるに当つても矢張り多くの疑義を差狭んでいる実状である.著者は数年前より一つには金屬元素定量に関する先達の業績間に相当の差異を認めるに鑑み,組織内含有銅其他の金屬量を正確に知りたかつたこと並びにメラニン色素と銅其他の金屬元素間に果して有意の関連ありやという点の解決を念願として実驗に着手し,定性試驗は無機ペーパークロマトグラフ法で,定量試驗は混合比色定量法(本学理学部菅原研究室の指導による)によつて各種資料に就て檢索したが,一應見るべき成績を得たと考えられたので茲にその知見を報告したい.尚お本定量実驗はこれを以て完了したものでなく更に目的の核心に接近したいと意圖しているが茲に現在までの成績を取纏めて一文としたものである.
  • 加藤 平太
    1960 年 70 巻 8 号 p. 852-
    発行日: 1960年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    色素細胞の増殖に就て多くの議論がある.組織学的に色素細胞の分裂像を認めて記載したのはBizzozero(1906)のそれが最初である.彼の示したものは分裂末期のもので,分裂細胞は基底層に位し,樹枝状突起が認められる.近年メラニン色素,或は色素細胞に就ての研究が盛んになるにつれて色素細胞分裂像を認めたとの報告に次第に接しうるようになつた.Billinghamはモルモつト皮膚に於いて色素細胞の分裂像を観察し,分裂時樹枝状突起は消失,細胞体は球状となるとした.Massonは頬粘膜の標本で色素細胞の分裂像を認めた.それは分裂終期に相当する像を示した.彼は色素細胞の分裂は一般には無糸分裂であるが有糸分裂もまた行われるものと考えた.Pinkusは黒人の手の尋常性疣贅に於いて明瞭なる有糸分裂像を知見し,分裂中突起の消失はなく,細胞体は分裂間期の細胞に比し大であり,且つ球状をなすとしている.BeckerはThorium X照射後,14日目の分離表皮に於いて分裂像を見出した.Montagnaは毛嚢に於いて色素細胞は上皮細胞と同様有糸分裂を行うが,色素顆粒のため,分裂像を認知し難いのであろうと述べている.
  • 1960 年 70 巻 8 号 p. 855-
    発行日: 1960年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
  • 1960 年 70 巻 8 号 p. 173e-
    発行日: 1960年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
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