日本皮膚科学会雑誌
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122 巻, 9 号
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皮膚科セミナリウム 第88回 血行障害
特別寄稿
原著
  • 藤澤 康弘, 大塚 藤男, 悪性黒色腫全国追跡調査グループ
    原稿種別: 原著
    2012 年 122 巻 9 号 p. 2305-2311
    発行日: 2012/09/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    本邦では悪性黒色腫ステージII,III患者に対する術後補助療法としてDAVFeron(DTIC,ACNU,VCR,インターフェロンβ)療法が最も広く用いられている.そのほかにインターフェロンβを連日投与するフェロン療法や2から4週に1回を投与するフェロン維持療法があるが,そのエビデンスは確立していない.今回,日本皮膚悪性腫瘍学会の皮膚悪性腫瘍予後統計調査委員会が行っている全国追跡調査のデータを用いて,これら術後補助療法の効果をCoxの比例ハザードモデルを用いた統計学的解析を行った.UICC(2002)ステージII,IIIの合計831例とし,ステージ別に年齢,性別,病型,T分類,潰瘍の有無,N分類,DAVFeron療法,フェロン療法,フェロン維持療法の9因子(ステージIIはN分類を除く8因子)を独立変数とし,生存期間を従属変数として解析を行った.その結果,フェロン維持療法はいずれのステージでも有意に予後を改善したが,DAVFeron療法とフェロン療法は効果がみられなかった.本解析は前向きコーホート研究でありエビデンスレベルは高くないが,今回の結果はこれまで行われてきた術後補助療法について再検討する必要性を示している.
  • 池澤 優子, 松倉 節子, 高橋 一夫, 池澤 善郎, 蒲原 毅
    原稿種別: 原著
    2012 年 122 巻 9 号 p. 2313-2320
    発行日: 2012/08/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    ステロイド単独治療に抵抗性を示した,あるいはステロイド漸減中に再燃を認めた自己免疫性水疱症12例(尋常性天疱瘡:6例,落葉状天疱瘡:3例,水疱性類天疱瘡:3例)に対してミゾリビン(mizoribin:MZR)内服併用を行い,その効果や安全性について検討した.MZRの投与量は100~200 mg朝1回内服とし,3時間後の最高血中濃度を検討した.一定期間継続投与をし得た11例のうち10例に症状の改善を認め,内服ステロイドの更なる減量が可能であった.2例は副作用で治療を中止した.また症状の改善を認めた10例中8例で抗デスモグレイン(Dsg)1,3抗体あるいは抗BP180抗体価の減少を認めた.MZRの効果的な投与のためには薬剤血中濃度のピーク値をある程度以上に上げる必要があり,著効例ではいずれも最高血中濃度が1.2 μg/ml以上であった.またMZRの増量によりピーク値は上昇し,ある程度までは濃度依存性に効果が高まることが示唆された.同量のMZRを投与しても,年齢者や腎機能などにより血中濃度のピーク値には個人差があるため,MZRの適切かつ効果的な投与のためには1日1回の内服と患者個々における血中濃度のピーク値の測定が重要と考えた.
  • 渡邉 裕子, 蒲原 毅, 佐野 沙織, 白田 阿美子, 小野田 雅仁, 池澤 善郎, 相原 道子
    原稿種別: 原著
    2012 年 122 巻 9 号 p. 2321-2327
    発行日: 2012/08/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    58歳,男性.25歳時に尋常性乾癬が発症し,33歳時に霧視の自覚と共に非肉芽腫性前部ぶどう膜炎がみられ乾癬性ぶどう膜炎と診断された.シクロスポリン内服で加療されたが治療に難渋し,58歳時に膿疱性乾癬が発症した.シクロスポリンを中止しインフリキシマブを開始後,皮膚症状と共に眼症状の著明な改善が得られた.再発性,難治性の乾癬性ぶどう膜炎に対しインフリキシマブは有効な治療法と考えられた.自験例および本邦における乾癬性ぶどう膜炎のまとめでは,初発症状は,視力低下が最も多く,次いで霧視,充血,眼痛の順に多くみられた.ぶどう膜炎発症時の乾癬の臨床病型は,関節症性乾癬が31例中13例(42%)と最も多く,次いで尋常性乾癬が31例中10例(32%),膿疱性乾癬が31例中7例(23%)であった.乾癬性ぶどう膜炎患者の25例中23例(92%)で関節症状がみられ,23例中22例(96%)でHLA-A2がみられた.ぶどう膜炎に対し皮疹出現の先行例が約90%にみられ,皮疹出現から長期経過後にぶどう膜炎が生じている例が多かった.関節症状とHLA-A2を有する乾癬では,ぶどう膜炎を合併する危険性があり注意が必要と考えられた.
学会抄録
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