マウスの DNFB に対する接触過敏症の系にBloom1) らのヴィールスプラーク法を応用し,抗原特異的核酸合成反応とも比較検討し,以下のような所見を得た.1.4日前に DNFB を塗布感作したマウスのリンパ節細胞は, DNBS (ジニトロベソゼンスルフォン酸)を添加して2日間培養すると, VSV=Vesicular stomatitisvirus (牛の水疱性口内炎ヴィールス)に感受性となり V-PFC (virus-plaque forming cell)を作る.抗原特異的核酸合成反応もほぼ並行して,2日間培養時に最高に達する. 2. V-PFC,核酸合成反応はともに DNP 基と TNP 基と識別しうるほどの抗原特異性を有する. 3.抗原刺激により特異的に産生される V-PFC (Ag-V-PFC とする)はほとんどがT細胞であり,抗原特異的核酸合成を行う細胞も多くは T細胞と考えられる. 4. Ag-V-PFC の前駆細胞(TVとする)および抗原特異・的核酸合成細胞の前駆細胞 (TPr とする)はともにナイロンウールカラムおよびセファデックス G-10 カラムに付着性である. 5. DNFB 感作の2日前に CY(サイクロフォスフアミド)の静脈内投与を行うと,接触過敏症反応は増強するが Ag-V-PFC, 抗原特異的核酸合成反応はともにほとんど消失する. 6. DNBSの静脈内投与により suppressor T-cell が生じている条件において Ag-V-PFC 抗原特異的核酸合成は全くみられなかった.また感作前にDNBSを静江すると, Ag-V-PFC, 核酸合成は完全に抑制された, 以上の成績に若干の文献的考察を加え. Ag-V-PFC と抗原特異的 DNA 合成細胞の大部分はかなり抗原特異性の高いT細胞で,接触過敏症の effector や helper TceH ではなく,ある種の suppression に関与する細胞である可能性が強く示唆された.
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