症例1,11カ月男児.生後2カ月から左下腿に単発性の褐色斑が出現した.症例2,10カ月男児.生後2カ月から体幹に小褐色斑が出現し,徐々に増数してきた.症例3,56歳男.数年前から体幹に小褐色斑が多数出現した.皮膚病変部の組織検査にて3例ともにトルイジンブルー染色で異染性を示す細胞の浸潤を認め,肥満細胞症と診断した.皮疹部組織を検体とした
c-kit遺伝子変異の検索では,全例において816番目のアミノ酸でアスパラギン酸(GAC)からバリン(GTC)への点突然変異(Asp816Val)を認めた.この点突然変異は成人例では検出されるが小児例ではほとんど見つかっておらず,今回3症例すべてにおいてAsp816Valを認めたことは興味深い.今後の臨床経過の慎重な観察と,同様な遺伝子変異を持った症例の解析が必要である.
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