尋常性痤瘡(以下痤瘡と略す)は日常よく遭遇する皮膚疾患であるが,その発症機序は複雑であり,いまだ不明な点も多い.毛包内常在菌である
Propionibacterium acnes(以下
P. acnesと略す)は,痤瘡の発症に関与する最も重要な因子の一つであり,
P. acnesの菌数の増加が痤瘡の発症の原因となるため,治療においては
P. acnesの菌数を減少させることを目的として抗菌剤がしばしば用いられる.また痤瘡治療で汎用されるその他の薬剤としては,補助的な治療剤として種々のビタミン剤が用いられているが,その奏効機序は明らかではなく,
P. acnesに対する直接的な影響もいまだ十分に検討されていない.そこで今回われわれは,各種ビタミンの
P. acnesに対する影響を
in vitroで検討した.各種ビタミンを
P. acnesを接種した液体培地に添加,培養し,濁度およびリパーゼ活性を測定した.その結果,ビタミンB
2,K
3,K
5については
P. acnesの増殖を抑制することが,またビタミンB
5は増殖に影響することなく,ビタミンK
3,K
5は増殖抑制効果に並行してリパーゼ活性を抑制することが判明した.これらの事実は,痤瘡治療においてビタミンB
2,B
5,K
3,K
5を用いる根拠となるかもしれない.
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