日本皮膚科学会雑誌
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67 巻, 1 号
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  • 谷口 馨
    1957 年 67 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    正常皮膚に於て嗜銀線維が常に存在するのは,表皮,皮膚附屬器官,血管内皮等の基底膜等に限られて居る(Way).然し乍らWayも指摘する如く胎生期には真皮に多量の嗜銀線維を見る.Ranke,Hueck等によつて明らかにされた如く,真皮と限らず一般に間葉は,先づ核を有せざる原形質網として發生,後來核を生ずる(Mesenchymschwamm Hueck).此の海綿様原形質網にそれから2つの重要な變化が起る.その1はその一連の合胞體系から血球,組織球等が分化遊離することである.その2は原線維(primitive Mesenchymfibrille)の分化である.此のものは最初は嗜銀線維であるが,それから彈力線維及び膠原線維が分化する.基底膜の原線維が嗜銀性のまゝ残されることは上述の如くであるが、胎生期間葉の1部は未分化の儘血管外皮に残されるものと考えられて居る(Spielmeyer).このようにして血管外皮に残された未分化間葉(undifferenzierte Mesenchymzellen,Maximow)は,後來修復機轉として或は諸種の病的機轉としての間葉性組織の増殖の基點となる.そしてそれが修復や増殖性炎の場合であるならば,其處に線維の増殖が起るわけだが,その場合も亦最初に現れるのは嗜銀線維である.近時Massonは嗜銀線維形成性組織の1としてSchwann氏合胞體を重視して居る.即ちSchwann氏合胞體の表面は菲薄な嗜銀線維性被膜,Plenk-Laidlaw's webに依つて包まれて居るが,Massonは神經鞘腫の實驗的並に病理組織學的研究に於て此の嗜銀線維は結合織性の由來のものではなくて,Schwann氏合胞體自身に依つて生産されるものであるとした.そして嗜銀線維を含む所の薄い結合織性被膜に依つて包まれた圓儀状の合胞體を形成することを以て,Schwann氏合胞體の特徴として居る.更にまた最近に到つてMassonはこの見解を色素細胞母斑に及ぼし,嗜銀線維の形成を以て母斑細胞のシュワン性起源の證跡の1として擧げて居る.以上,皮膚に出現する嗜銀線維には間葉性起源のものと神經性起源のものと2者がある.著者は動物皮膚(豚鼻),正常人體皮膚(Haarscheibeその他),胎兒皮膚,色素細胞母斑標本62個をはじめとし,青色母斑,Recklinghausen母斑症,Bourneville-Pringle母斑症,黒色上皮腫(Melanoepithelioma Ota)その他のマルピギー細胞増殖等の組織につきPap氏法變法に從つて嗜銀線維を染色,皮膚に出現する嗜銀線維の2元性を念頭に置いてその所見を観察,孝按を考えた.猶,黒色上皮腫に關する所見の一部は川村敎授他敎室員と共著で報告したが,その後に得た所見を追加して綜括孝按した.
  • 小松 昭文
    1957 年 67 巻 1 号 p. 20-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    日光照射の影響により血清チロジン量の變動がみられることは既述したが,海水浴に際し海濱の強烈な日光により血清チロジン量に變化を起すであろうことは想像に難くない.またアスコルビン酸(以下VCと略す)がその還元作用によりメラニン形成を抑制することは既知の事實であるが,更にSealock等はVCと肝臓に於けるチロジン(以下チと略す)代謝との密接な關係を論じている.更に色素形成に副腎が關與する事實からアドレナリン及びACTHと血清チ量の關係もまた檢討せられるべきである.余は健康人に就き海水浴前後の血清チ量を測定し,また皮膚病患者若干例にVC或はアドレナリン及びACTHを負荷し,その前後の血清チ量の動揺を檢査した.測定方法は前報の方法に依つた.
  • 小松 昭文
    1957 年 67 巻 1 号 p. 25-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    チロジン(以下チと略す)代謝と肝機能の關係は既に多くの報告があり,また甲状腺ホルモンであるチロキシンがチ誘導體であるということから,余は皮膚病患者について血清チ量と肝機能能並びに基礎代謝との關係に就て檢査し,併せてアシュネル眼壓迫試驗との關係をみた.肝機能檢査は尿中ウロビリノーゲン定性及び血清高田反應により,基礎代謝はRead氏法によつた.尚チロジン量測定は既述の方法によつた.
  • 小林 完
    1957 年 67 巻 1 号 p. 28-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    從來より我々は皮膚代謝と含硫アミノ酸との関係について研究を行つて來ているが,今囘私はその1つであるチスチンについて色々實驗的研究を行つた.チスチンは皮膚代謝に極めて重要な物質で特に角化現象とチスチンとの關係については各方面にわたつて詳細に研究されている.他方臨床上でも種々の皮膚疾患にかなり廣範圍に使用されているに拘らず,そのうらづけに對する追求は皆無と云つてもよい.それ故に私は皮膚炎およびアレルギー性皮膚疾患とチスチンとの關係を追求する目的で家兎クロトン油皮膚炎の局所病巣,健常部皮膚,肝臓,血球および尿中のチスチン量を奥田氏法によつて測定すると同時に,アンペロ法によつて局所病巣および健常部皮膚のSH群を測定して兩者の關連性を追求した.又組織アレルギーの代表的反應であるアルツス現象に於てはその準備状態の皮膚,肝臓のチスチン量とSH群を測定し,更にアルツス惹起注射後における反應部皮膚,健常部皮膚および肝臓のチスチン量とSH群とを測定して準備状態におけると同様兩者間の關係を追求した.しかして此等チスチン量の病的動揺がチスチン製劑である強力パニールチン,綜合アミノ酸製劑であるマリアミン,乾燥血漿等の注射によつて如何なる影響を受けるかを檢討し,もつて臨床上各種皮膚疾患に對するチスチンの効果判定の一端を伺わんとした.
  • 1957 年 67 巻 1 号 p. 56-
    発行日: 1957年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
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