エリテマトーデス(LE)の表皮および真皮上層にみられる hyaline body は,電顕的に線維の集簇よりなり,flbrillar body とも呼ばれる.この線維は数十本以上が同一方向にカーブを描いているが,全体としての方向性はない.小体内にデスモゾーム・メラノゾーム・ミトコンドリア,vacuole 等が認められる.皮膚型 LE(CLE)と全身型 LE(SLE)での出現率は,前者が36%・後者10%と,前者が高率に出現している.形態的に両者に差はない.小体の表皮内での形態を比較し,以下の結果を得た. (1)小体の大きさ : 表皮内のものは,表皮真皮接合部・真皮内のそれに比べて有意に大であり,下方移動に際し圧縮されるか分断される事が想定される. (2)線維密度 : 表皮内では均質化していないものから均質化しているものまで認められる.真皮内は全て均質化している. (3)線維の幅:表皮内(65.2±10.5Å)と真皮内(76.5±14.0Å)で有意な差があり,後者が大であった. (4)小体の境界部:表皮内では,小体は表皮細胞問にあり,辺縁は一部にのみ一層の膜が存在している.大半は境界膜は存在しない.隣接ケラチノサイトとは,デスモゾームで接している. 真皮内では,周囲に電子密度のやや高い物質の不規則な沈着がみられかつ大半は周囲を組織球や線維芽細胞に取り囲まれている. (5)真皮内のみならず表皮内でも,この小体は貪食細胞による貪食・吸収を受ける. fibrillarbody は表皮変性細胞由来である事は一致した意見である.肥厚した基底板とは電顕的に異なる.この線維とアミロイド線維との異同が問題となる.
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