全身性強皮症に合併した間質性肺炎は,生命予後を規定する重要な因子の一つであるにもかかわらず確立した治療法がないのが現状である.近年,全身性強皮症に伴う間質性肺炎に対するシクロフォスファミドの有効性が欧米より報告されている.そこで,当科でも全身性強皮症患者に合併した活動性のある間質性肺炎に対し,シクロフォスファミドパルス療法を施行してきた.これまで,気管支肺胞洗浄液上リンパ球分画,好中球分画の上昇していた症例や胸部間質性陰影,呼吸機能,KL-6,SP-Dが比較的急速に増悪した計7例に施行した.これらの症例では10~40 mg/dayのプレドニゾロンに加え1カ月に1回15×{身長(m)}
2×22 mgのシクロフォスファミド点滴静注を6クール行った.7例のうち5例は胸部間質性陰影,呼吸機能,KL-6,SP-Dの増悪が抑制され,奏効したと考えた.治療抵抗性の残り2例に対してはシクロスポリン内服に変更した.シクロフォスファミドによると思われる骨髄抑制や出血性膀胱炎などの副作用は認めなかった.以上から,シクロフォスファミドは全身性強皮症に合併した間質性肺炎の治療に有効であることが示唆された.
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