日本皮膚科学会雑誌
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94 巻, 11 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 坂本 文野, 蜂須賀 裕志, 森 理, 野村 洋文, 笹井 陽一郎
    1984 年 94 巻 11 号 p. 1239-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
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    神経特異蛋白とされるNeuron-Specific-Enolase(NSE)に対する抗体を白色家兎に作製した.これを用いて,PAP法によりヒトおよびサルの皮膚における神経系につき検索し,S-100蛋白の局在と比較検討した.NSEはaxonに一致して陽性を示したが,Schwann細胞,endoneurium,perineuriumおよびepineuriumは陰性であった.また,Meissner小体やVater-Pacini小体のaxonもNSE陽性であった.サルの指において除神経後にはNSE陰性となった.一方,Schwann細胞は除神経後もS-100蛋白陽性であった.神経系以外では,血管の筋層,立毛筋,エクリン腺およびアポクリン腺の分泌部,顔面および頭部の横紋筋もNSE陽性を示した.
  • 徳留 康子, 田上 八朗
    1984 年 94 巻 11 号 p. 1247-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    角層が水分を失なうと脆く硬くなり,肉眼的には鱗屑や亀裂を生じるようになる.したがって角層の水分含有量の低い状態をより正確に把握するために,われわれは先に報告された高周波伝導度測定装置を乾燥性皮膚病変の水分量測定により適した型に改良を試みた.従来の電極と比較すると伝導度の低い状態では約3倍の鋭敏性を有する電極を作製し,この電極を用いて皮膚の角層水分含有量と相対湿度との関係および各種皮膚病変における角層の機能の解析を行なった.乾燥した鱗屑や痂皮部では鋭敏な電極を用いることによってより精密な角層の機能をとらえることができることが確かめられた.しかし,一方びらん面などの伝導度の高い状態における測定には測定値の変動が大きく非実用的であった.
  • 吉国 好道
    1984 年 94 巻 11 号 p. 1253-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    皮表脂質の有用性については種々の議論がなされているが,ここでは角層の重要な機能である水分を保持する働きに,皮表脂質が実際上どのような影響を及ぼしているかを調べた.脂漏部位として前額部と頬部を,非脂漏部位として前腕を選び,エチルエーテルを溶媒とするカップ法により皮表脂質を除去し,3.5MHz高周波伝導度測定装置を用いて角層の水分含有量,水分吸収能,水分保持能の変化を経時的に測定し,検討した.また同時にEvaporimeterRを用いてwater loss by evaporation(WLEv:経表皮的水分喪失と汗の和)の変化をも検討した.すなわち,エーテル処理により,1)角層の水分含有量と水分保持能は低下し,水分吸収能は亢進した.2)水分吸収能,水分保持能の変化は頬部,前額部では大きく,前腕では小さかった.3)WLEvの上昇は,前腕ではほとんど観察されなかったが,前額部と頬部では著明であった.以上より,皮表脂質は膜として,あるいは角層細胞間に浸透することにより,角層が過度に大気中の水分を吸収したり,あるいは逆に下方よりの水分を喪失することを防ぐ役割を果たすものと結論した.
  • 永田 正和
    1984 年 94 巻 11 号 p. 1259-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    栄養障害性表皮水疱症は,瘢痕をのこして治癒するのを特徴とする.これまでになされた研究は本症にあっては結合織に異常のあることを示唆している.そこでこの結合織異常を解明する1つの手掛かりを得るため,水疱内容液のGAGについて検索した.その結果,優性型栄養障害性表皮水疱症では,対照とした熱傷や水疱性類天疱瘡に比較して総GAG量が約1.9倍で,⊿Di-OSHや⊿Di-OSsが大部分を占めた.劣性型栄養障害性表皮水疱症では,総GAG量は熱傷などの3.2倍と高く,大部分が⊿Di-6Sであった.これらのことは,栄養障害性表皮水疱症における結合織異常にはGAGの異常が関与すること,そしてそれは優性型と劣性型の間で異なることを示唆するものと考えられた.
  • 沼田 時男
    1984 年 94 巻 11 号 p. 1265-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
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    単層細胞培養法と分光照射器とを用いて,in vitroの光毒性反応の作用波長を調べた.この方法から得た8-Methoxypsoralen(8-MOP),Demethylchlor-tetracycline(DMCT),3,3',4',5-Tetrachlorosalicyla-nilide(TCSA)およびProtoporphyrinIX(PP)の光毒性反応の作用波長はそれぞれ,300~380nm(ピーク330nm),310~430nm(ピーク380nm),310~400nm(ピーク360nm)および310~650nm(ピーク410nm,500~530nm,および590nm)であり,いずれも各薬物吸収波長の範囲内に認められた.上記薬物反応は次の4つのTypeに分類できた.(1)作用波長は吸収波長より長波長側に移行し,遅延反応型で,多少とも巨細胞の形成を伴うもの.洗滌の影響が少ない.8-MOPおよびUV単独がこれに相当する.(2)作用波長は吸収波長より長波長側に移行し,早期反応型で空胞を作るもの,洗滌の影響がない.DMCTによる反応が相当する.(3)作用波長が吸収波長より長波長側に移行し,早期反応型でShrinking-ballooning cellを形成する反応の場合.洗滌の影響がない.PPによる反応が相当する.(4)作用波長と吸収波長とが一致し,早期反応型でShriking-ballooning cellとなる場合.洗滌の影響がある.TCSAによる反応がこれにあたる.
  • 竹松 英明, 小幡 正明, 富田 靖, 加藤 泰三, 高橋 正昭, 阿部 力哉
    1984 年 94 巻 11 号 p. 1277-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
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    日本人の黒色腫の出現頻度は,白人に較べて低い.爪甲下黒色腫は,日本人でも稀である.しかしながら,われわれは,皮膚性黒色腫86例中16例(19%)と多くの症例を経験している.これらのうち,69%は手指に,31%は足趾に出現している.最も高頻度に認められたのは拇指であった.組織学的には,肢端黒子型が67%,表在拡大型が50%で,両者の組織型を有するものもみられた.結節型は認められなかった,多くはClark's LevelⅣあるいはⅤであった.
  • 影下 登志郎, 長野 博章, 城野 昌義, 小野 友道, 荒尾 龍喜, 今井 浩三
    1984 年 94 巻 11 号 p. 1285-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
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    メラノーマ細胞および母斑細胞におけるHLA抗原の存在を検討する目的で抗HLA-A,B heavy chain,抗β2-microglobulin,抗HLA-DRモノクローナル抗体を用いて免疫組織学的に比較検討を行なった.メラノーマ9例においてはβ2μは全例に,HLA-A,B heavy chainは6例,HLA-DRは3例に陽性所見が得られたが,陽性腫瘍巣内でも陰性腫瘍細胞の混在が認められ,腫瘍細胞間のheterogeneityを示す所見と考える.母斑細胞では8例中β2μが4例,HLA-A,B heavy chainが1例にのみ弱陽性を呈したが,HLA-DRはすべて陰性であった.
  • 1984 年 94 巻 11 号 p. 1291-
    発行日: 1984年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
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